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親がやりがちな8つのNG!少しの言い換えでイライラが減る

あんふぁん
子育てメソッドといわれるものにはさまざまなものがあります。今回私は「ちはっさく」というメソッドの活動を支える茅ヶ崎市役所の伊藤さんにお話を聞きました。実際にわが家で実践して感じた効果も紹介します。

子育てメソッド『ちはっさく』とは


親がやりがちな8つのNG!少しの言い換えでイライラが減る

『ちはっさく』は、市区町村の子育て支援の現場で実施されている簡易親支援プログラム。内容は、ママやパパが基本的な養育行動のごく一部を「楽しく適当に練習して身につける」ための講座で、講師養成講座も開催されています。
講座の中では、8つの前向きな養育行動と、8つの思わずしてしまうまずい養育行動を対比しながら、基礎から応用を練習し、前向きな養育行動を身につけていきます。

『ちはっさく』という名前の由来は、千葉県の児童相談所の所長をされている渡邉直氏が作った非暴力コミュニケーションパッケージ「機中八策®」をベースに、市町村や子育て支援団体など、身近な子育て支援の現場での講座用に作った「子どもへの対応技術の一部を簡単に練習する方法」です。
8つの青カード(八策、はっさく)を練習する、茅ヶ崎で作ったから「ち」、あわせて「ちはっさく」です。


おもわず出る言葉に注意して練習からはじめよう!


はじめに、子どもにおもわず言ってしまいがちなまずい言葉と、前向きな言葉を教えてもらいました。

【おもわず出る赤カード】
・あいまい…「よく見てよ」「ちゃんとやって」「もっと考えて」
・長い説明…理由や状況の説明に時間がかってしまうことで、子どもの集中力が切れてしまい、何をすればいいのかぼやけてしまう
・否定形(禁止形)…「~しないで」「~したらダメ」
・いやみ…「いつもこうだといいのにね」「それでいいと思ってるんだ」「よくそんなことできるね」
・おどす…「置いて帰るよ」「もう~はさせないよ」「~に叱かってもらうよ」
・罰…「1週間おやつ抜きね」「明日のお出かけはなしよ」
・質問風の攻撃…「なんでお茶をこぼすの?」「悪いことだってわからないの?」「何回言ったらわかるの?」
・怒鳴る…大きな声で叱る

【前向き青カード】
・代わりの行動を提案する…「~してね」
・ほめる…問題行動の反対の行動、普通のことをほめる
・一緒にやってみる…一緒に練習をして一緒に本番というように行動してみる
・待つ…子どもに切り替えの時間を与えるようにする
・気持ちに理解を示す…共感して「~なんだよね。わかるよ」復唱して「~なんだね」
・落ち着く…親子で深呼吸。一度離れて他のことを考えるなど
・環境…近くで、静かに。余計な刺激を減らす
・聞く、考えさせる…「何があったの?」「次からはどうすればいい?」前向きな方向で話してみる

子どもが問題行動を起こしたときに、つい言ってしまいがちな赤カードの言葉を青カードに切り替える。これがメソッドのポイントだそう。

「練習して少し成功すればいい」くらいの気持ちで


親がやりがちな8つのNG!少しの言い換えでイライラが減る

「赤カードの言葉を使っていたら悪いお母さんだというわけではありません。青カードの言葉に切り替えるのには練習が必要なのです。
それで、たまに成功すればいい。気軽に気長に続けられるのが一番いいと思います」と、ちはっさくの活動をサポートする伊藤さん。

【実践体験】
お話を聞いて、頭で理解したつもりでも、すぐに実践できるかというとなかなか難しいもの。
娘が通う保育園の懇談会で担任先生による『ちはっさく』の講習会があったので参加しました。はじめにお話を聞いて、練習からはじめました。まずは、大人同士で練習することからはじめるのがスムーズだそうです。

例:スーパーで買い物をしているときに子どもが店内を走りまわっています。そのときにどのように注意しますか?
子ども役と大人の役に分かれて練習をしてみました。


■大人が大きな声で「走らないで!」、「やめなさい」と注意した場合…子どもは「やだー」、「楽しいんだもん」と反発する

■大人が「ゆっくり歩こうね」、「一緒に手をつないで買うものを選んでみよう」と声をかけた場合…子どもは大人の言うことを受け入れやすい

このようにロールプレイングしてみると否定語で注意されたときよりも、大人の話を理解しやすく行動に移しやすいということを身をもって理解できます。
また大人同士で練習をしてみることで、赤カードの言葉だと、何をしたことで怒られているのか理解しにくいということがよくわかりました。その後も何度か大人同士で練習を繰り返して慣れてから、実際にわが子に試してみました。

子どもを怒りそうになったときに、一呼吸置いて青カードの言葉を意識して切り替えるということを続けてみたら、お互いイライラする時間と怒る回数が確実に減りました。とはいえ、とっさに赤カードの言葉が出ることもあるし、青カードの言葉を使っても全部成功するわけではなく、きょうだいによって反応も違います。そして、昨日はダメでも、今日はうまくいくことも。

現在も私が意識して言葉を選び、うまくいったら「やった!今日は成功!」くらいの気持ちで、気軽に気長に続けています。毎日の生活の中で、子どもが自分の行動を考えるようになったり、親子の関り方が変化してきたことを身をもって感じています。


取材協力:伊藤徳馬さん
プロフィール:民間企業を経て、2004年に茅ヶ崎市役所に入庁。
2007年から子育て相談・児童虐待対策担当になり、2010年から児童虐待予防及び子育て支援のための子育てを練習する講座の事業化に携わる。2011年から市町村の児童虐待の予防及び対応の研修講師をはじめる。2017年ころから「ちはっさく」の取り組みをはじめる。

<文・写真:ライターやまさきけいこ>

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