娘が本好きに育ってくれたのは母が「女優」になったから!?
読書の秋ですね。読み聞かせしていますか?私は妊娠中、「読み聞かせは1日1冊、できれば月に100冊読むと本好きな賢い子どもに育つ」という情報を仕入れたのですが、いざ出産し、子育てとなると、体力的にムリでした。
「今日は疲れているからまた明日ね!」が口ぐせになっていったのです。
子どもの時の特別感
私は子どもの頃、祖母と離れて暮らしていて、たまに会えるのを楽しみにしていました。一番の楽しみは、きょうだいが交代で祖母と同じ布団で寝るイベント。祖母は布団の中で孫に怪談を読み聞かせるのです。雑誌の切り抜きを孫のために持ってきて、「のっぺらぼう」「肉づきの面」などメジャーなものから、民間伝承のマイナーなものまで、内容はいつも怪談でした。
怖いはずなのに、聞きたいと思わせる魅力があり、祖母が来るのが待ち遠しかったです。
祖母が亡くなり、大人になった今でも「言わねばよかった、通らねばよかった」という祖母の怪談のセリフを覚えています。
ある日、子ども達に絵本の読み聞かせをしたところ、下の子がそっぽを向いていることに気がつきました。私は疲れているのを押して、読み聞かせをしているのに、どういうことかとイライラしたのですが、ふと、幼い頃の体験を思い出したのです。
祖母は長旅で疲れていただろうに、そんなことは感じさせないくらい情趣豊かに読み聞かせをしてくれました。その声量や話の進め方はまるで女優。
そこで私も祖母を目指すことにしたのです。
ママは女優になって、登場人物になりきる
読み聞かせは、ママと子ども達の大事な時間。文字面だけをたどっていても、子どもの心はつかめない。
それならば、私は絵本の登場人物になりきろう!と決意したのです。
最初に選んだのは、子どもが好きな「おしりたんてい」。本だけでなく、子ども達はTV放映も楽しみにしています。子どもがテレビを見ている時間は、ママの家事が片づく時間でもありますが、たまにはと、家事の手を止めて一緒に観ました。おしりたんていはしっとりした話し方、愛犬のブラウンは高い声、マルチーズ署長は高くてしゃがれた声。
練習する時間はないので、その夜、一発本番で、イメージのまま声色を変えて読み聞かせをしたところ…。びっくりするほどの食いつきでした。2人の目が本をしっかり見つめているのです。
「コアラちゃんはもっと高い、かわいい声だよ」と長女の冷静なツッコミが入りましたが、子どもたちの集中力が見違えるように変わりました。