寒くてももっと楽しもう!わくわく冬の外遊び
毎日寒いからと、家の中にこもりがちになっていませんか?
冬だって、子どもが自然に触れられる遊びがあります。
身近な場所での遊びのヒントを、自然遊びのスペシャリスト・高橋京子さんに聞きました。
イラスト/柴田ケイコ
自然は多様性を育む先生!自己肯定感も高まる
「自然には、ひとつとして同じものはありません。それこそが、子どもの感性を豊かにしてくれます」と、自然保育コーディネーターの高橋京子さん。
同じ場所でも、季節や天気によって景色が全く違うので、子どもの五感が高まると言います。
「例えば、葉っぱを見比べてみても色や形はバラバラ。自然を使った遊びを通して“違うからこそ面白い”と感じ、多様性が育まれるのです」
多様性を認めると、自然と自己肯定感も高まるそう。
「いずれ大きくなった時に、人と違うことを恐れずに、自分を卑下することなく、“みんな違ってみんないい”と感じる心を育ててくれるのです。
それが自信にもつながります。幼児期にその素地を作るためにも自然遊びは大切なんですよ」
成長に合わせた遊びを、親も“大きなお友達”に
自然遊びは、近くの公園や散歩道でも十分楽しめます。
「身近なものを学びの場に変えることで、“違うこと”“珍しいこと”にも親しみなじんでいきます」。
遊ぶときのポイントは、親も“大きなお友達”になって、同じ目線で楽しむこと。
「親が楽しむ姿を見ると、子どもも本気で遊びます。幼いうちは、音や触感など、五感に訴える遊びを中心に。
この年頃は延々と遊びがちですが、途中で止めないこと。好奇心の広がりをシャットアウトしないことが大切です」。
ちなみに、親が苦手なことを無理にしなくてもいいそう。邪魔せずに見守りましょう。
「一方、年長になったら自分で考え工夫して何回もチャレンジしてみる遊びや、チームを組む遊びがお薦め。
自分で試したり、相手のことを考えながら遊ぶことで、“非認知能力”が養われますよ」
お話を聞いたのは
高橋京子さん
自然保育コーディネーター。ウレシパモシリ-保育と自然をつなぐ研究会-主宰。
身近な自然を保育教育資源として生かした遊びの創作や、幼稚園・保育園での体験イベント、保育者へのレクチャーを行う
[ウレシパモシリHP]
冬にも自然の魅力がいっぱい!外遊びのヒント
【光】
時間や天候によって太陽の光が変化することを体験できます。温かさを感じられるのも冬の特徴。陰を生かした遊びもできます。
【風】
目に見えない風を“見える化”して遊ぶのがポイント。風で飛んでいく葉を追いかけたり、つむじ風を見つけたりしてみましょう。
【木】
自分のお気に入りの木を決めて、木肌に触れてみましょう。遊ぶ前にあいさつをすると、風で揺れた葉や枝が返事をしたように見えて、親しみが湧きます。
【枝】
手軽なのは、たき火ごっこや井桁(いげた)に組んでタワーを作る遊び。枝の端を紙粘土でつなぐと、いびつな形だからこそ、思いもよらない作品に!
【葉っぱ】
形や色や匂いの違いに気付いたら、ちぎって音や感触を確かめるのもいいでしょう。太陽にかざしてみると、鮮やかに透ける色や葉脈の美しさに出合えるでしょう。
【氷・雪】
氷や雪は絵の具で遊ぶとアート性が増します。
氷にスポイトで絵の具を何色か垂らすと、偶然できるにじみが美しいです。雪に絵の具をかけるとかき氷ごっこに。
組み合わせるとこんな遊びに
木の影の迷路
【光 + 木】
木から伸びた影が自然の迷路に。はみ出さずに歩いてたどります。追いかけっこも盛り上がりますよ。枝分かれしているところで子どもは「どっちがいいかなぁ」と考えます。
カラフルシート
【光 + 風 + 木】
ポリ袋をテープでつないで、1枚のシートに。シートの下から日の光で透けたカラフルな空を見て大喜び。
風の動きが見え、木の下を通ると地面にもカラフルな影が映ります。
森のお弁当作り
【枝 + 葉っぱ】
木の実や葉っぱ、枝などをお弁当箱に詰めて、箸に見立てた枝を添えます。本物のお弁当箱やおかず用カップ、粘土など、身近なものと合わせると、おいしそうなお弁当に。
写真協力/やはたみずのとう幼稚園幼児ルーム
冬の外遊びで気を付けたいこと
Point 1施設の注意書きを読む
植物の中には、トゲを持つものや、かぶれるものがあります。森林公園などの施設には注意書きがあるので、遊ぶ前に確認しましょう。
Point 2枝で遊ぶときのお約束を決める
子どもにとって枝は魅力的な遊び道具。「木から枝を無理矢理折らない」「持って走らない」「人の顔の前で振り回さない」など約束しましょう。
Point 3午後早めに切り上げる
午後になると急に気温が低下します。
汗をかいているとさらに体が冷えてしまいます。早めに遊びを切り上げましょう。
Point 4原状復帰が基本
次に来た人が遊べるように、元に戻しましょう。「自然の中で遊ばせてもらっている」という自然への感謝の気持ちも忘れずに。
アイデアいっぱい
読者の冬の外遊び
読者が親子でやって盛り上がった冬の外遊びを紹介。さらに楽しくなるアイデアや部屋遊びでの応用を高橋さんが教えてくれました。
※2019年10/2 ~ 11/6にあんふぁんWebで実施した読者アンケートから
観察する
容器に水を張っておくと翌朝、氷ができていることに気付いた子ども。毎日楽しみに早起きしていました。
氷になってない日は「0℃じゃなかったんだねー」と教え、勉強にもなりました(千葉県・年長のママ)
高橋さんから
不思議に思うことを大切に。子どもと一緒に驚いたり、容器を置く場所も変えてみたり、一緒に試すことを楽しんで。遊びを通して子ども自身が気付くことが学びの根っこになっていくはずです
夏のスズメと冬のスズメを比べます。冬のスズメは羽毛がいっぱいあってふっくらしています(埼玉県・年長のママ)
高橋さんから
一年中出合える鳥は少ないので、素晴らしい気付きですね
洋服についた雪をよく見るときれいな結晶の形に。子どもが感動していました(千葉県・年少のママ)
高橋さんから
黒い布だとさらに観察しやすいですよ。バンダナくらいのサイズでOK。広げて、降ってくる雪をそのままキャッチしましょう
触れ合う
「キャー寒いー」と言いながらダッシュで風に向かって走るのをよくやります(笑)。気付くと温かくなり、「風が応援してくれてるね」と言い合います(千葉県・年少のママ)
高橋さんから
前ページで紹介した「カラフルシート」を持って走ると、風の形が見えて盛り上がります
冬の日陰は寒いので、日陰のところは小走り、日なたはゆっくり歩く、というふうにしてお散歩します(東京都・年中のママ)
高橋さんから
冬の寒さと日の光をうまく利用した遊びですね。お散歩がより楽しくなりそう
滑り台で発生する静電気でパチパチさせ合う。痛いことへのびっくりと、パチっという音に子どもは「もう一回!」と何度もやりたがります(千葉県・年中のママ)
高橋さんから
子どもは遊びの中で、静電気の不思議に偶然に出合いますね。家の中でも、下敷きやビニール袋などでも楽しく試してみましょう
手袋を付けた手をつないで「不思議な感触だね~」と話して、手袋をつけたまま顔を触ったりお互いの手をモミモミしたりして遊びます(埼玉県・年少のママ)
高橋さんから
手袋の上から息を吹きかけてみるのも面白い感覚!素手で触ることもお勧め。寒いからこそ肌のぬくもりが伝わります
作ってみる
落ち葉を集めて並べて地面に絵を描きましました。同じ落ち葉でも色が違ったり形が違ったりするので子どもは興味津々(千葉県・年長のママ)
高橋さんから
障子紙に落ち葉を張り付けると葉っぱのタペストリーに。部屋に飾ると長く楽しめます。また、画用紙に葉っぱを貼り付けてクレヨンで絵を描き足すと、手作り絵本にも。親子でお話の世界も楽しみましょう
松ぼっくりと紙コップをつなげたけん玉遊びは盛り上がります!(埼玉県・年中のママ)
高橋さんから
紙コップに目玉を描くなど表情を付けると、もっと愛着が湧くと思います
絵の具を水に溶かして凍らせて、クレヨンの代わりにしてお絵描き(神奈川県・年少のママ)
高橋さんから
シフォンケーキの型に水を張って葉っぱや松ぼっくりを入れて外に出したり、凍らせたりすると、天然のリースもできます
ごっこ遊び
枯れ枝や枯葉で病院ごっこ。枯れ葉を診察券にしたり、ドングリや枯れ枝を薬にしたりして遊びます(千葉県・年中のママ)
高橋さんから
葉っぱをすり鉢で細かくして折り紙で包むと粉薬に、それを水で混ぜると飲み薬になってさらに遊びが発展します。「大きくなる薬」「若返る薬」など、魔法の薬を自分で作ると、創造性も育ちます
白い息で怪獣ごっこ(千葉県・年中のママ)
白い息で機関車ごっこ(東京都・年中のママ)
高橋さんから
寒い日も、吐く白い息で楽しめますね。お部屋で過ごすときは、窓ガラスに息を吹きかけて指でお絵描きをしても楽しいです
色水で氷を作り、外のどこかに隠して宝探しゲーム。寒いので中々溶けません。雪の降る地域だと雪の中に埋めて探すと楽しいと思います(神奈川県・年中のママ)
高橋さんから
雪の中からカラフルな氷を発掘したら、ワクワクしそう!溶けてなくなってしまうのも楽しく不思議。色の痕だけが残るのかしら