クラス替えでナーバスに…変化の大きい3、4月に息子を支えた絵本3冊
まだ風は冷たいけれど、少しずつ春の息吹を感じるこれからの時期、幼稚園のクラスは、進級や卒園に向けて雰囲気が変化してきます。
わが家の長男は、昨年初めて、年少から年中への進級とクラス替えを経験しました。
息子は、年中さんになることへの憧れや楽しみを持ちつつも、心配や不安が大きくなり、しばらくの間、癇癪を起こしがちになったり、気落ちする様子が多くなったりと不安定な状態に。
今回は、この時期の息子へのケアとして効果があったと感じたことをお伝えします。
息子に不安や心配について聞いてみると
息子にどんなことが不安なのか聞いてみたところ、「大好きな先生や仲良しのお友達と離れるのが不安」ということでした。
クラス替えとひと言で言っても、子ども達のとらえかたはさまざまで、クラス混合のお遊びの時間のように、「一度違うクラスに行くけど、また今のクラスに戻ってくるもの」のように考えている子もいれば、「今生の別れ」のように重く考えてしまう子もいます。
息子の場合は、「進級することは良いことだけど、クラスが替わることでもある」というように理解しているようでした。
しかし、「クラス替えによってどのようなことが起きるのか」は、ぼんやりとしかわからず、「雰囲気から察すると、とても悲しいことなんじゃないか?」と考えていたようなので、ゆっくり話をすることにしました。
まずはゆっくり向き合って、進級について前向きな説明をする
話しをするときは、簡潔に、そして前向きな説明を心がけました。
・年中さんに上がるのは、一つお兄さんになることで素晴らしいこと
・年中さんになる時にクラスが変わって、今のクラスの先生やお友達と一度バイバイしなくてはいけない
・でも、同じ幼稚園にいるからいつでも遊べるし、会うこともできる。先生に会いたくなったら、会いに行っていいしお手紙も書ける
このようなことをゆっくりじっくり、表情を見ながら話しました。
「離れても友達」を理解するために、効果を発揮したのは
お風呂の時間などに話してみたのですが、友達と離れることについての不安がいまひとつ払拭されないような表情をしている息子。
そこで、視覚からもわかるように、絵本を使うことにしました。息子は、絵本の物語を通すと、自分が抱える不安とお話の主人公の悩みがリンクしやすいようでした。
主人公がどのように問題を乗り越えるのかを見聞きすることは、共感力が高い息子にとってはとても効果的で、明るい顔になっていきました。
これは、普段から絵本が好きなお子さんにとってもよい方法かもしれません。
この経験で卒園に進級など、出会いと別れの季節にぴったりな絵本を見つけたので紹介します。
寂しい時や悲しい時は、この方法を試してみて!
「いつだってともだち」作: モニカ・バイツェ絵: エリック・バトゥー訳:那須田淳出版社:講談社
【あらすじ】アフリカに住む子象のベノは水玉模様の子象フレディと大の仲良しです。ある日、フレディが別の群れに行くことになり離れ離れになってしまいます。フレディのいない日々に落ち込むベノですが、森の賢者のフクロウからある3つの掟を教えてもらいます。
ずっと一緒にいた友達と離れることになって、新しい友達と遊んでいてもどこか上の空のベノ。新学期を迎え、新しいクラスで過ごしているとこんな気持ちになるかもしれません。
この物語には、離れても友達と繋がっていること、悲しい時はどうすれば良いか、新たな環境でも前向きに過ごす方法などが描かれています。
息子に読んでみたところ、とても心に響いたようで、フクロウの掟を何度も繰り返し自分に言い聞かせていました。
思わず涙しそうなあの歌が、そのまま絵本に
「みんなともだち」作: 中川 ひろたか絵: 村上 康成出版社:童心社
【あらすじ】卒園の歌として有名な「みんなともだち」がそのまま絵本になっています。幼稚園でお友達や先生と過ごした思い出深い日々が描かれています。”小学校に行っても、離れてもずっとともだち”というメッセージがダイレクトに伝わるお話です。
息子の年少終業式の時に、保護者に向けて園児からのプレゼントとして歌ってくれた曲でした。担任の先生が替え歌を作ってくれたのですが、年少の1年間が鮮明に思い出されて涙を流すママも多かったです。
「みんなともだちずっとずっとともだち」というフレーズに子ども達も励まされていたようで、いまだに年少で仲良くなったお友達は強い絆で結ばれています。卒園児向けの内容ですが、進級するお子さんにもおすすめです。
離れていても友達との絆は壊れないことが伝わる絵本
「いちばんたいせつなともだち ~ひなぎくちゃんとくうのものがたり」作・絵:ドーン・アパリー訳:垣内磯子出版社:フレーベル館
【あらすじ】うさぎのひなぎくちゃんとくまのくうはとっても仲良しです。
しかし、くうは冬眠の時期を迎えしばらくお休みすることになります。いつも一緒にいた2匹ですが、会えない日々が続きひなぎくちゃんは寂しい思いをしながらもくうが目覚めるのを待ちます。
冬眠という避けられない状況を迎え、離れ離れになってしまう2匹の姿に進級や進学の状況が重なります。
読み聞かせると少し悲しそうな表情をしていましたが、長い冬を越え春を迎えて、また再会したシーンには表情も明るくなっていました。
健気なひなぎくちゃんの姿はどこか凛としていて、そこから2匹の強い絆が見えてきます。仲良しは離れていてもちゃんと繋がっていること、想い合っていれば仲良しでいられることが伝わるお話です。
3・4月は変化の大きな季節!子どもの心の動きに注意して
春が近づくにつれ、なんとなくお子さんの様子がいつもと違うことがあるかもしれません。はっきりと口にはしなくても、小さなころの癖が出たり、おもらしが増えたりなど体に表れることも。
変化が見えたときは、慌てず、ゆっくり子どもと向き合うチャンスだととらえるのがおすすめ。この機会にわが子の心の動きをよく見てみましょう!
絵本の読み聞かせで親子タイムを作るのも効果的ですよ。
<文・写真:ライター秋音ゆう>