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子どもにいつから?何を?どう教える? お金のハナシ

あんふぁん
子どもにお金のことを教えたことがありますか?
「こんな小さいうちから必要?」「そもそもきちんと教えられるかしら」というママたちへ。
幼児期のマネー教育について、キッズマネースクールで講師を務める太田伸子さんに聞きました。

子どもにいつから?何を?どう教える? お金のハナシ


イラスト/杉浦さやか

子どもにいつから?何を?どう教える? お金のハナシ


■太田伸子さん
キッズマネースクール(一般社団法人日本こどもの生き抜く力育成協会)理事、認定講師。
前職の銀行員時代、息子へのマネー教育をきっかけにキッズマネースクールの活動に参加。
イベントやセミナーを通じて、日本各地で親子の金銭教育普及に取り組んでいる。

あんふぁんママに聞きました

子どもにいつから?何を?どう教える? お金のハナシ


子どもにいつから?何を?どう教える? お金のハナシ


幼児にマネー教育って必要なの?
「マネー教育って言われても…」と困惑する人もいるでしょう。
まずは幼児のマネー教育の必要性や、教え始めるタイミングについて紹介します。
文部科学省も力を入れる「お金の教養」。

アメリカやオーストラリア、香港などでは、子どもたちが楽しみながら理解できるように、ボードゲームや課外学習など、授業の中にマネー教育が組み込まれています。
日本も諸外国に後れを取らないために、金融庁や文部科学省がお金の教育に力を入れ始めています。
日本のマネー教育が遅れているのは、昔はお金の知識がなくても、郵便局や銀行に預けておくだけでお金が増えたから。
さらに、日本には「お金は汚いもの」「お金の話をするのは下品」とする風潮もありました。
でも今は金利0・001%の時代。貯蓄では物価上昇率に対応できず、実質「損」をしている人もいると聞きます。
これからの時代、年金や社会保障制度だけで暮らすのは難しいのかもしれません。
未来を生きる子どもが暮らしていくために、「お金の教養」は必須なのです。

お金の意味や大切さ、管理の方法、使い方、稼ぎ方、ため方、増やし方…。幼児期から親がお金について教えていくことは、そうした教養の最初の一歩になります。

「買って!」が始まったらマネー教育をスタート
マネー教育は「何歳から」と区切れるものではありません。買い物に行ったとき、お菓子やおもちゃを「買って!」とねだるようになったら、「お店のものはお金を払って買わなければ、自分のものにならない」と理解できている証拠。
お金の価値や大切さを伝え始めるタイミングです。
例えば100円のおもちゃをねだるときも、「100円ならいいか」ではなく、そのおもちゃが本当に欲しいのか、大事にするのか、しっかり考えさせましょう。
そして会計はできれば子どもに現金を渡して払わせ、「お金を払って買ったんだ」と実感してもらうのです。
また、お金は「ありがとう」と交換するものです。

店員さんはお金を受け取って、自分は欲しいものを手に入れて、そのことに対してお互いに「ありがとうございました」と言い合う。
こうした感謝の気持ちと、お金を使う喜びを結び付けて、お金の使い方を伝えていけるといいですね。

キャッシュレス決済でお金の価値を伝えるのは難しい
キャッシュレス決済は便利ですが、幼児に仕組みを理解してもらうのは難しいですね。
幼児期には、まずお金の概念を現金で学んでもらうことが先決。
ただ、キャッシュレス決済を「無限に使える魔法」だと誤解しないように、「カードに入っているお金を全部使うと、なくなっちゃうんだよ」「パパやママが働いたお金があるから使えるんだよ」といったことは折々で伝えてみてください。
少し大きくなったら、親子で一緒に交通系ICカードやスマホにチャージしてみると、「お金がここに入る」がイメージしやすいでしょう。

子どもにいつから?何を?どう教える? お金のハナシ


お小遣いってどうすればいい?
金銭感覚や管理方法を身に付けてもらうために、将来的にお小遣い制にしようと考えているご家庭は多いでしょう。
お小遣いは、子どもがお金について学ぶチャンス。
幼児期〜小学生にかけて、金額やルールはどのようにするとよいのでしょうか?

お小遣い額に正解ナシ! わが子に合わせて設定を
お小遣いは、お金の管理方法や使い方を実践で学ぶ、いわば練習のお金。
わが子の性格や理解力に合わせてスタートし、成長に合わせて仕組みを更新していくことが必要です。
幼児期はお小遣い制の前段階として、親が子どもと一緒に、お小遣いを管理しましょう。
例えば、毎週100円を10円玉10枚であげ、3つの瓶に分けて入れます。お金がたまったらお店に持って行き、お金を使ってみましょう。もう少し大きくなってお金の管理に慣れてきたら、お小遣い制をスタートします。親は「相場」が気になりますが、金額に正解はありません。他の子の額にそろえても、実際には「何にお金を使うのか」で妥当な額は変わります。

「かわいい文房具は?」「スイミング帰りのアイスは?」など、お小遣いから出すものと、親が出すものを話し合って、金額やルールを決めましょう。
決めたことは「おこづかい契約書」に書いて、親も必ず守るようにしてください。

[お小遣い制の主な種類]
■報酬タイプ
「お手伝いをしたらいくら」とすると、「お金は労働の対価」ということを学べます。
「何かお手伝いをしたら必ずお金をもらえる」という考え方にならないために、あらかじめ「◯◯したら◯円」と、報酬が発生するお手伝いと金額を決めておくのがポイント。幼児にも向いている方法です。

■定額タイプ
お金の計算やお小遣い帳の記入ができるようになり、欲しいものが増えて「◯円欲しい」という要望が出てきたら「毎月(毎週)いくら」という定額制がいいでしょう。
子どもはお金の計画や管理がしやすいですし、親は金額と渡す日が決まっていてラクです。

■ミックスタイプ
毎月定額をもらいつつ、さらに欲しいときはお手伝いをして報酬をもらうことができる、というのがミックスタイプ。

幼いうちは少額の報酬でいいのですが、成長すると必要額を稼ぐのは大変です。
報酬タイプから定額タイプに移行するときにおすすめの方法です。

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お小遣いは3つの瓶で管理しよう
お金は財布などにしまうのではなく、目に見える状態で管理すると良いでしょう。
透明な瓶を3つ用意して、用途別に分けて入れておくと、お金の「見える化」ができます。

子どもにいつから?何を?どう教える? お金のハナシ


■貯金
半年〜1年以上かけて頑張ってためるお金。いつかのために備えておく習慣付けは大切です。
「新しい電車の本が欲しい」というとき、全額貯金から出すのは無理でも「じゃあ1000円まで頑張ってためよう。そこまでためたら足りない分はママが出してあげるよ」などとするといいでしょう。


子どもにいつから?何を?どう教える? お金のハナシ


■ありがとうのお金
家族やお友達へのプレゼントなどに使うお金です。
自分のお小遣いを使って人に感謝される経験は、子どもの財産になります。例えば、祖父母への誕生日プレゼント。
孫がお小遣いから買ったものなら感激も倍増で、「ありがとう」の言葉も重みを増すでしょう。
また、街頭募金などに寄付するのも良い経験になります。

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■自分で使うお金
お菓子やジュースなど、自分が欲しいものを買うお金です。
この枠の使い道は子どもに任せます。親には無駄遣いに思えても口出しは厳禁。
お金がなくなって、本当に欲しいものが買えなくなれば、お金の使い方を考えるようになります。
ちょっとした無駄遣いや失敗から学ぶことは、とても大切です。

case study
■Aさん親子の お小遣いヒストリー
お小遣い制はそれぞれの家庭で異なるもの。
幼児期から成長に合わせた活用の一例として、Aさん親子のケースを見てみましょう。

〔 年少・年中 〕
月300円を親子で管理
毎月1日に、300円を100円玉1枚、50円玉2枚、10円玉10枚で渡し、3つの瓶に分けて管理。コインの表裏の模様を観察したり、10円玉が増えたら100円玉に両替したり、お金の基礎知識に触れました。たまに自分のお金の瓶から、好きなお菓子を買うことも。

〔 年長〜小学1年生 〕
お手伝い1回30円の報酬タイプ
食卓準備、お風呂掃除、洗濯物畳み、各1回30円で設定。お手伝い表を作って、やった日にはマークを付けていき、月末に集計して払いました。カプセルトイ代もお小遣いから出すルールにしたら、「お手伝い10回分なら、他のものを買いたい」と言って、やりたがらなくなりました。

〔 小学2〜4年生 〕
月400円の定額+報酬のミックス
お小遣い会議をして、お友達と遊んだときのお菓子代として月400円を定額に。足りないときは働いて補えるように報酬も残しました。リビング掃除、靴洗い、皿洗いなど、仕事の難易度を高めて1回50円に賃金アップ。計算ができるようになったので、お小遣い帳も付け始めました。家事のやり方も教えることができて、一石二鳥でした。

〔 小学5〜6年生 〕
必要なお金が増えて月1000円の定額に
お友達の誕生日プレゼントを買うなど、交際費もかかるようになったので、5年生から月1000円の定額に変更。報酬はなくしましたが、風呂掃除と靴洗いは子どもの仕事として定額の中に含むことにしました。5年生の冬から1200円、6年生からは塾の軽食代も含めて2000円にアップ。

Pointルール変更時は必ず「お小遣い会議」を
お小遣いの額やあげ方は、その子の性格やお金の使い道などによって、どんどん変わっていきます。
ですから、きょうだいでやり方が違ってもOK。ルールは親が決めるのではなく、親子の「お小遣い会議」で話し合いましょう。
ルールを変えたいときや、無駄遣いが目に余るときなども会議を。
そうした会話は「お金の教養」を蓄積できるとともに、親子のコミュニケーションを深めることにもつながります。

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