子育て情報『アスペルガー症候群(AS)の原因は?遺伝する確率はあるの?』

2018年10月5日 19:30

アスペルガー症候群(AS)の原因は?遺伝する確率はあるの?

アスペルガー症候群には遺伝的な要因が大きいと考えられ、どの遺伝子が関連するかという研究が盛んに進められてきました。

最も中心的な関連遺伝子と考えられているのが、シナプスの形成とシナプスの機能にかかわるタンパク質をつくるために必要な情報にかかわる遺伝子です。
たとえば、シナプスの形成に関与する遺伝子であるNLGN3やNLGN4、これらと機能的にかかわりの深いSHANK3などが自閉症スペクトラムとの関連が指摘されています。つまり、シナプスにおける神経伝達の軽微な異常によって、自閉症スペクトラムに見られる精神発達に障害が引き起こされると考えられています。
(飯田順三/編・著『アスペルガー症候群の子どもたち』合同出版,2014年/刊p.95~96より引用)

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アスペルガー症候群単独の研究ではありませんが、上記を含め、自閉症スペクトラムの関連遺伝子が数十報告されています。ですが、さまざまな遺伝子が複雑に関連しているため、原因となる遺伝子を特定することはできないと考えられています。

これらの遺伝的要因の関与度が高いことは、遺伝情報が一致している一卵性双生児における一致率(2人とも自閉症スペクトラムである比率)の調査からも推測されています。

2000年以降の大規模な双生児集団を対象とした調査では、遺伝要因の関与度を6~7割とした報告が多い。
最新の報告はスウェーデンで実施された大規模調査で、ASDにおける遺伝要因の関与度は約50%だった。
(鷲見聡/著『発達障害の謎を解く』日本評論社、2015年/刊p.17より引用)

http://www.amazon.co.jp/dp/4535806586
これらの調査から、アスペルガー症候群は遺伝的要因が大きく関与する先天的な脳の機能障害であることは確かですが、完全に遺伝子情報が一致している双子間でも発現率が100%ではないということもわかります。この結果は遺伝子以外の要因も関与しているということを示します。

それらが環境的要因と呼ばれるものです。どのような環境因子が関わっているかは研究段階ですが、遺伝的要因だけでなく環境的要因も相互に関係しあって脳機能に偏りを引き起こし、症状となって現れると考えられます。アスペルガー症候群の特性を生じさせていると考えられる脳機能の偏りについても、様々な説が研究されています。

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