子どもが発達障害とわかったとき、周囲にはどう伝えるべき?
そのカミングアウトは誰のため?
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発達障害とわかったら、周囲の人に伝えるべきなのだろうか?子どもの特性をどういう言葉で伝えるか?…と、頭を悩ませる方も多いかと思います。
しかし、「何のために、そして誰に、どう伝えるのか?」と整理して考えると、答えが出てくることがあるかもしれません。
紆余曲折を経て、「息子のために伝えよう」と思えるようになった、私なりのカミングアウトをお話します。
息子の障害を隠し続けた理由
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息子が発達障害と診断されたのは7歳のとき。今から7年前のことです。
当時は学校の先生へは診断名を伝えたものの、周囲の人にはひた隠しにしていました。
学校の先生からは「同じクラスの子どもたちには、伝えたらどうか?」という提案がありました。
ですが私はそれを断り、通級指導教室に参加するために、息子がクラスを抜ける際も、「毎週病院へ行っている」と、苦しい言い訳をしていました。
周囲にバレないように、細心の注意を払い、息子の通級の送り迎えをしていたのです。
当時の私には、息子の障害をどう伝えたら良いのか分かりませんでしたし、何よりも親としての余計なプライドを捨てられず、周囲の偏見を恐れていました。
今思えば、息子の障害を受容したつもりでいましたが、気持ちの根底には障害を認めたくない自分がいたのかもしれません。
もうこれ以上は誤魔化せない!
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そんな中、あるきっかけで息子の障害をカミングアウトすることになりました。
通級のたび「病院へ行くので授業をお休みします」と説明されることに混乱した息子が、「ぼくは病院へ行っていない!」と学校でパニックになってしまったのです。
息子に予定を偽るなんて、この頃の私は自閉症の子どもの苦手な事を、まるで分かっていなかったのだと思います。
このまま偽り続ければ、息子がまたパニックを起こす可能性があります。こうして私は、クラスの同級生に「担任の先生から伝えてもらう」ことを決めたのでした。
相手は同級生でしたし「自閉症」という障害名ではなく「苦手なことがあって、それをお勉強しに行っている」という通級の説明を中心に伝えることにしました。
「子どもたちを通して、保護者の中で噂が広がるだろう!」
私は内心、とてもハラハラしていました。
しかし、そんなネガテイブな考えとは裏腹に、噂や誤解は広がりませんでした。少なくとも私の耳には入りませんでした。
それどころか、困っている息子を積極的に手伝ってくれる同級生が何人も現れたのです。
通級へ行く息子を見送ってくれる子、通級から戻ったときに先生を呼びに行ってくれる子、教室に入れず、1人で給食を食べている息子に、おかわりを持って来てくれる子…。
こんな同級生の様子を見て、息子よりもむしろ私が救われたのです。
伝えることが息子のためになる、とわかり…
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息子と同級生との関わりを見て、「カミングアウトすることで生きやすくなる場合がある」と知り、私は息子の障害を隠さなくなりました。
でも、はじめから障害名だけを伝えることや、懇談会などで大勢を前に伝えることは、ほとんどありません。
大切なのは、息子のために、協力者となって欲しい人に、分かりやすく伝えるという視点。
また、伝え方も工夫しています。
「あれが苦手」「こういう配慮は混乱しやすい」など、ネガティブな言葉だけで終わらずに、療育で学んでいる話など前向きな情報も一緒に伝えるようにしています。
ネガティブで深刻な話というのは、聞くだけでも気持ちが重くなり、相手が負担に思うかもしれません。
私の経験から言うと、周囲の人は、親が子どもの障害と向き合っているという事実に安心するような気がします。
怖かったカミングアウトだけれど、伝え方を考えることで深まったのは…
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診断前は、息子の行動や私のしつけに関して、批判されることもありましたが、障害を受容し、療育に励むことで周囲からの批判は収まってきました。
私は今、発達障害児の保護者のコミュニティを運営していますので、息子の障害については、かなりオープンにしています。
不思議なことに息子の障害をオープンにしてから、あれ程心配していた嫌な思いをしたことは、ほとんどありません。
そしてオープンにするにつれて、私自身の障害への理解、そして障害を受容することも、深まってきたと感じています。
カミングアウトは、家族それぞれの形があって当然ですし、私の経験は一例にすぎません。場合によっては、言わないということが賢明なこともあるでしょう。
ですが、言う言わないはひとまず考えずに、「伝え方」だけイメージしてみるのはいかがでしょうか。
子どものために、「学校に」「友達に」「保護者に」、そして「身内に」、どうやって伝えるか?
それは様々な場面にいて、子どもが過ごしやすい環境を考えることでもあります。
子どもにも周囲にも、メリットをもたらす伝え方を考えることで、そのプロセスがより子どもを理解し、受容させてくれるかもしれません。