意外?給食当番は学校生活の「壁」だった…息子のために私ができること
給食当番は超マルチタスク!?息子に付添登校して分かったこと
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息子は、小学校へ入学するとすぐに「学校行かれへん!」と登校を渋るようになってしまいました。そこで、息子が落ち着くまでは私が付き添い登校をして、学校での様子を見守ることになりました。
実際に付き添い登校をしてみると、小学校には家庭や幼稚園とは異なる大変さがたくさんあることに気がつきました。そのひとつが「給食当番」です。給食当番には、発達障害のある息子にとって、「苦手なこと」のオンパレードだったのです。
4時間目終了を告げるチャイムが鳴り、先生が「さあ、給食だ」というと、教室の緊張が一気に緩みます。
他の子どもたちは楽しみにしていた給食の時間に向けてすぐに準備を始められるのですが、息子の特性のひとつは「エンジンがかかるのに時間がかかる」こと。
給食当番の子どもたちはエプロンをつけて給食室に向かわなければなりません。
息子は気持ちの切り替えが苦手なため、給食室への移動に乗り遅れることもしばしば。ついには、「あかん!やっぱり無理や!」と軽いパニックを起こしてしまいます。
息子をなだめてなんとか給食室へ行くと、次はペアの子と一緒におかずの入った鍋を運ぶ試練が待っています。
息子は「こぼしたら大変だ」というプレッシャーを他の子どもたちよりも感じやすいようで、表情はこわばっています。
また、他人と息を合わせて行動するのも苦手なので、ペアの子と歩調を合わせて鍋を運ぶのは息子にとって重労働です。3階まで鍋を持って上がるころには、息子はへとへとになってしまいます。
教室に戻ると次は配膳です。
お皿を両手に持って運びつつ、まだお皿が置かれてない机を目で探します。
そして教室の中の通路は狭く、ゆずりあいが必要です。
発達障害特有の不器用さもあり同時作業が苦手な息子にとって、お皿を傾けずに運ぶというのがそもそも難しい作業。それに加えて道をゆずりあうなど、複数のタスクを同時にこなすことが配膳には必要でした。
息子が自立するためにも、この壁を乗り越えてほしい
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息子にとっては、給食当番を「さぼってラクをしたい」わけではなく「難易度が高すぎるためにできない」だけなのですが、他の子どもたちには「○○君はどうしてやらないの?」「私ばっかり、重たいものを持たなきゃいけないの、もうやだ!」と不満に思われていました。
こう言った言葉を聞くのは私もとても耳が痛かったです。
でもこれは家庭では練習できない、社会に必要なスキルを磨くことができるチャンスなのだと思いました。
「ありのまま」の息子の特性を尊重することは確かに大切ですが、それだけでは、いつか親の手を離れて生きていかざるを得なくなった時に、周囲も自分も大変な思いをしてしまいます。
「息子が社会の中で何らかの役割を担えるカラダとアタマをつくる」というのが、私の強い願いです。
そのため私は、「簡単じゃないのはわかるけど、見守ってるから、こぼしちゃってもいいからトライしよう」と息子に伝え、「やってみよう」とする姿勢の大切さを話しました。
そして息子が少しでも給食当番の役割を担えるよう、家で配膳の手伝いをしてもらったり、学校では1人だけでできる仕事やプレッシャーのかかりすぎない仕事を息子に任せてもらえるよう、先生にお願いしたりしました。
こうして少しずつですが、息子は給食当番で自分がするべき仕事を学んでいきました。
まだまだ壁はあるけれど…学校だからこそ練習できることがたくさんある
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しばらくすると、息子が鍋を運ぶ姿が見られるようになりました。
息子の調子にはまだまだムラがあり、教室に入れない日や給食を食べられない日もあります。ですが、当番の仕事ができた日はそれだけでも「ああ、また1つ学んだな」と感じます。
ある日、給食当番の息子にクラスメートの子どもが「ありがとう」と言ってくれました。
ところが息子は、「係の仕事をやってるだけやのに、お礼言われたくない!」と騒ぎだしてしまいます。
息子いわく、「ありがとう、っていう言葉が重いっていうか、爆弾なみに破壊力あるねん」とのことです(笑)
まだまだ予想外の言葉に対する受け止め方やリアクションが難しいようです。
クラスの子どもたちに、息子に「ありがとう」と言わないように頼もうと思ったこともありましたが、思いとどまりました。
社会に出れば、お礼を言われることもあれば、批判されることもあります。息子が将来自立するためには、コミュニケーションを学び、ある程度適切なリアクションをする力を少しずつ身に付ける必要があるからです。
これからの学校生活では、給食当番以外にも様々な試練や壁があると思います。「ありのまま」でいられる環境を親や学校が無理に作るだけでは、息子は自立できなくなってしまうでしょう。
これからも学校側と相談しながら、息子にとって適切な支援を考えて成長を見守っていきたいと思っています。