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強迫性障害 (強迫神経症) とは?症状・引き起こす要因・治療・相談先・周りの人の対処法まとめ

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強迫性障害とは

強迫性障害 (強迫神経症) とは?症状・引き起こす要因・治療・相談先・周りの人の対処法まとめ

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強迫性障害は自分の意思に反して不安・不快な考えが浮かび、抑えようとしても抑えられない、もしくはそのような考えをなくそうと無意味な行為を何度も繰り返すことで日常生活に支障が出てしまうこころの病気です。

具体的な症状としては、汚れているのではないかと不安になって手を異常なほどに洗ったり、鍵をかけたか何度も確認して生活に支障が出てしまったりするような例があります。そういった行為には何にも意味がなく、やり過ぎだと自分で分かっていてもやめられないことが特徴です。

英語ではObsessive Compulsion Disorderと表記され、略してOCDと呼ばれます。発症率は100人あたりおよそ2.3人といわれていて、決してまれな病気ではありません。10代~20代に多く発症しますが、小児期から症状が始まることもあります。

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強迫性障害の症状とは

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「手をいくら洗っても、きれいになった気がしない」「ドアの戸締りが気になり、無意味に何度も確認してしまう」など、なんらかの考えが自分の意思に反して繰り返し浮かび(強迫観念)、それによって生まれる不安や恐怖などの感情を解消するために、同じ行動を繰り返すことを自分に強いる(強迫行為)のが「強迫性障害」の症状です。

強迫観念は繰り返し、そしていきなり浮かんでくるもので、コントロールするのは困難とされています。
強迫観念によって引き起こされる不安や恐怖は強迫行為を行うことで一時的に和らぐものの、強迫観念の出現は時間をおいて繰り返されます。

強迫行為を行うと、一時的には不安を抑えることができますが、特定の場面に遭遇すると再び強迫観念が現れ、また強迫行為を繰り返してしまいます。この悪循環にはまってしまうと、自分で症状をコントロールすることが困難になり、強迫行為の程度が悪化していく人もいると言われています。

一口に強迫性障害といっても、人によって症状の現れ方はさまざまです。以下では、中でも代表的な3つの症状を紹介します。

■不潔恐怖
汚染への強い恐怖により、長時間洗浄してしまうことをいいます。身体が汚れる、もしくは健康を害してしまうという強迫観念が、汚れや細菌汚染に対して恐怖を感じさせ、過剰に手を洗ったり繰り返し入浴・洗濯するといった強迫行為を引き起こします。またドアノブや手すりなどを不潔と感じ、手を触れることができないこともあります。


■確認行為
鍵をかけたか不安になり、何度も確認するような症状が出現します。「もしかしたら開いているかもしれない」「実は消えていないかもしれない」という強迫観念が玄関の施錠や、ガス栓・電気器具のスイッチを異常なほど確認する強迫行為を引き起こします。確認しても大丈夫だと確信を得ることができず、心配になって頭から離れません。自分で確認することに満足せず、家族に確認させる「巻き込み型」となることも少なくありません。その場合重症化することも少なくないので、注意が必要です。

■加害恐怖
誰かを傷つけたり犯罪を犯してしまったという思いに駆られ、確認したり罪の意識に苦しむことをいいます。誰かに危害を加えたかもしれないという強迫観念が新聞やテレビ、警察や周囲の人に確認する確認行為を引き起こします。危害を加えていないことを確認しても安心することができず、何度も確認してしまいます。

このほか、自分の決めた手順でものごとを行なわないと恐ろしいことが起きるのではないかという不安を抱く儀式行為や不吉な数字・幸運な数字、配置や正確性・対称性に異常なほどこだわることなどが挙げられます。

強迫性障害は、症状が重くなることで日常生活や社会生活に大きな支障をきたす可能性のある病気です。

強迫性障害の人の中には、強迫行為に大半の時間をとられて他のことをする余裕がなくなってしまったり、自宅の外に感じる汚染への恐怖や戸締りの心配を理由にひきこもりになってしまったりする人がいるのです。

強迫性障害の症状について理解するうえで重要なのは、患者さん本人は自分自身が強迫行為をしてまうことに対して精神的な苦痛を感じているということです。頭では意味のないことを繰り返しているとわかっていながら、それでもやめることのできない自分に対してネガティブな感情を抱いてしまうのです。

症状に苦しむ生活が続くことで、気分が落ち込みやすくなるなど精神的に不安定な状態に陥ってしまうこともあります。そのため、強迫性障害の患者さんはうつ病を発症する可能性も高いと言われています。

強迫性障害を引き起こす要因

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強迫性障害の発症に関わる決定的な要因は、未だに特定されていません。
しかし、気質要因、環境要因、遺伝要因・生理学的要因が何らかの形で影響を与えることがわかっています。

■気質要因
幼少期に教え込まれたこと、または感情や行動を強く否定されたことがあることが考えられます。

■遺伝要因・生理学的要因
セロトニンという神経伝達物質との関連や脳の部位に機能的な異常がみられる可能性も指摘されています。これにより強迫性障害が発症する背景には、脳の部位を結ぶ神経ネットワークに問題があると推定されています。

■環境要因
強いストレスを引き起こすような出来事や虐待などは強迫性障害の発症の危険性を高めると考えられています。また神経免疫機能との関連が考えられています。

以上のような要因に加え、受験や結婚、育児などのライフイベントによる強いストレスから発症することもあります。

強迫性障害になりやすい人

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強迫性障害を世界的に研究している機関OCCWG(Obsessive Compulusive Cognitions Working Group)によると、几帳面な人や完璧主義などの性格の人が強迫性障害になりやすいと言われています。


しかし、こういった性格があるからといってすべての人が強迫性障害を発症するわけではなく、その他の要因や環境との相互作用によって症状があらわれます。自分の性格を理解し、ストレスをためこまないよう上手にコントロールしましょう。

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強迫性障害と併発しやすい病気

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強迫障害の人は他の精神疾患を併発することが多いと言われています。不安障害、強迫性パーソナリティー障害、チック症の併存が見られる場合があります。

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不安障害とは不安を主症状とする神経症で長時間続く病的な不安をいいます。強迫性障害と関連のあるものとして、人との接触を恐れる社会不安障害や特定のものや場所・条件を恐れる恐怖症、突然パニック発作が生じるパニック障害が挙げられます。

強迫性パーソナリティー障害とは秩序や規則に対して強いこだわりを持ち、本人や周りの人が日常生活を送る上で支障が生まれることをいいます。強迫性障害と似ていますが、異なります。
両方の症状がある場合は、両方の診断を下すことができます。

チック症とはまばたきや首振りなど一見癖のように見える行為が現れる精神疾患です。

摂食障害とは食行動に関する障害で、一般には拒食症、過食症と呼ばれます。食欲が単に増減するということではなく、体重や体型の認知が歪み、自分で食欲がコントロールできず、極端なやせ願望や太ることに対する恐怖心があることが特徴です。摂食障害のある人は食について、「食べてはいけない」という強い強迫観念を持つようになります。

強迫性障害の診断におけるチェックポイント

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国際連盟の専門機関の一つであるWHO(世界保健機関)が作成する疾患の分類である『ICD-10』によると、強迫性障害において重要とされるのは以下の3つのポイントです。・強迫観念や強迫行為といった症状が2週間以上の間、ほとんど毎日現れること
・自分が行う強迫行為は過剰で無意味なものであると自覚していること
・症状が社会生活や日常生活の妨げになっていること

診断基準によって細かい違いはありますが、もし何らかの強迫観念にとらわれることがあり、症状の様相が上記のポイントを満たす場合には強迫性障害と診断されることがあります。

強迫性障害に関する相談先

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強迫性障害かもしれないと思った時は精神保健福祉センターなどの専門機関へ相談、または精神科もしくは心療内科を受診しましょう。


強迫性障害はうつ病や統合失調症の初期や脳炎、脳血管障害、てんかんなど、脳器質性疾患と似たような症状をもっています。医療機関では識別するため、血液・髄液(ずいえき)などの検査や頭部CT、MRIなどの画像検査をする場合があります。

http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/mhcenter.html
全国の精神保健福祉センター一覧|厚生労働省

他の強迫性障害の患者さんとの交流を通して、普段は話さないような悩みに共感し合ったり、治療法や症状への対処法に関する知識を共有を行うのもよいかもしれません。

強迫性障害に特化した自助グループやコミュニティがありますので、ご紹介します。

■OCDの会
強迫性障害で悩む患者と家族のサポートグループです。

http://ocd-net.jp/column/c_93.html
OCDの会

■OCDサポート 強迫症/強迫性障害の案内板
強迫性障害の症状をかかえる人や家族が、他の患者さんや家族と交流し、情報交換をしています。

http://kyou89.fc2web.com/k5_unei.htm
OCDサポート強迫症/強迫性障害の案内板

■強迫友の会OBRI(オブリ)
強迫性障害という個性を持った子どもたちと家族のための自助グループです。情報交換や啓発活動を行っています。

http://www7b.biglobe.ne.jp/~obri/
強迫友の会OBRI(オブリ)

強迫性障害の治療方法

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強迫性障害の治療法としては、薬物治療と認知行動療法の2つがあります。この2つを併用すると、より効果的であるとされています。強迫性障害は発症の仕方や症状が人によって異なります。本人の状態や併存する他の疾患を考慮に入れたうえで、治療方針を相談しましょう。

薬物療法とは投薬することにより治療する方法です。一般的には「SSRI」という脳内のセロトニンに効果のある薬が使われます。一定期間継続して服薬しすることで、強迫行為をしたくなる衝動が薄れ、気分に余裕が生まれるといった効果が期待できます。

強迫性障害では、薬のみの治療で症状をある程度改善できる人とそうではない人がいるようです。

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認知行動療法とは、ものの受け取り方や考え方を見つめなおし、気持ちを楽にする精神療法です。そのなかでも、強迫行為を引き起こす不安な状況に慣れる訓練をする「曝露反応妨害法(ばくろはんのうぼうがいほう)」という方法がよく取られています。

認知行動療法は、実施できる専門家がまだまだ少ないのが難点ですが、薬物と同等以上の効果があります。認知行動療法を希望する場合は、かかりつけ医もしくは保健所や精神保健福祉センターなどに相談しましょう。

強迫性障害に対する望ましい周囲の対応

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強迫性障害のある人は、家族に不審がられることをためらって相談できないケースも少なくありません。またクセや強いこだわりと捉え、心の病気だと気付かないことがあります。

放っておくと症状がエスカレートしやすくなるので、普段とは異なる行動がみられる場合や、生活に著しく支障を及ぼす場合は、早めに専門医を受診することを促しましょう。一方で、強迫行為を無理やり止めることは避けましょう。本人も止めたいと思っているのに止められないのが強迫性障害です。無理強いさせてしまうとパニック状態に陥ったり暴力をふるってしまうことがあります。

薬物療法や認知行動療法などにより改善するものなので、強迫行為を無理に止めるようなことはせず、早めに医療機関などに相談しましょう。

また、強迫症状が進むと自らの強迫行動を監視させる、強迫行為を強制するなど家族を巻き込むような行動がみられ、家族の日常生活に影響を及ぼしてしまうこともあります。こういった、「巻き込み型」の強迫性障害は約3人に1人が発症すると言われています。拒絶すると本人の不安を強めてしまいますが、むやみに従うと、かえって症状を悪化させるおそれがあります。

そのため、基本的に家族は強迫行為や、患者本人の強迫観念を一時的に和らげるための行為に協力しないことが重要になります。主治医と相談し、適切な治療方法を相談した上で対応しましょう。

http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_compel.html
出典:強迫性障害|厚生労働省

まとめ

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不安や恐怖にさいなまれたり、自分の意思と反して同じことを何度も繰り返したりしてしまうのが強迫性障害です。強迫性障害の治療には、本人はもちろんのこと家族や学校など周囲の理解・支援が不可欠です。正しい知識を得るとともにお互いに適切な距離感を保ちながら生活しましょう。

症状の再発・悪化を予防するには、強迫性障害の悪循環にはまらないことが大切です。強迫観念→強迫行為→強迫観念→強迫行為・・・・という悪循環にはまりそうになったら一度落ち着き、深呼吸をしましょう。

また、強迫観念が現れた時への対処法としては、「他のことに注意を向ける」のも有効とされています。あえて他のことを考えたり、気分転換に音楽を聞いたりするのです。このとき、「強迫観念をなくそう」と意識してしまうとかえって頭から離れなくなってしまうので、「この曲を聞きたいから聞くんだ」というように、強迫観念とは別の動機で他のことに注意を向けるようにすることがポイントとされています。さらに、疲れを溜めないよう、適度な休憩をとるようにすることも大切です。ストレスとうまく付き合い、無理のない生活を送ることで、少しずつ症状をコントロールできるようになることを目指しましょう。

http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_compel.html
厚生労働省「知ることからはじようみんなのメンタルヘルス強迫性障害」

http://www.nhk.or.jp/heart-net/kokoro/ks/index.html
NHK「若者のこころの病 情報室「強迫性障害」ってどんな病気?」

http://www.ncnp.go.jp/cbt/about.html
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター「認知行動療法とは」

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原井 宏明、岡嶋 美代『図解やさしくわかる強迫性障害』

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