[第4回] アスペルガー症候群でも、自分をきちんと理解すれば「会話のつまづき」は解消できる
伝わり方が違う。
編集部:と、いいますと…
畠山:例えば、診察を始めてすぐに「はい、◯◯ですね。じゃこのお薬で。」というよりも、「痛かったでしょう、いつから?あ、そうですか、なるほど。それは痛かったですね…」というやりとりがあった方が、患者さんの立場だったらどうです?
編集部:うーん、安心感、がある。「わかってもらえた」という気持ちになるかもしれないですね。
畠山:そう。
伝わり方一つで「診てもらえていない」と感じ、不安や納得できないなと思ったら、薬を飲んでいただけない場合もあったんですね。
そこで、少しコミュニケーションを変えれば、医師としてもしっかりと治療ができるし患者さんも治る。
であれば、僕はコミュニケーションの引き出しを増やしたほうがお互いに良いと気づいたんです。
そう思って引き出しを増やしました。
編集部:なるほど。
僕にとって、コミュニケーションは論理的につくるもの
畠山:それでいうと、自分の雰囲気をつくる、というのは大事だなと考えています。
堅苦しく始めるよりも、自分からよく話して笑うほうが、良いコミュニケーションが取れると思いませんか?
なので今日は最初から明るく喋っているんです。(笑)
編集部:あっ(笑)
畠山:僕は、人の気持ちはわからないんです。
でも、「コミュニケーションというものがある」のであれば、それを意識して動こうと思っています。
相手の感情が伝わってくるから楽しく喋っているわけではないんです。
でも、楽しい雰囲気というのは、コミュニケーションを円滑にする。
だからこうする、というように僕にとってコミュニケーションは論理的につくるものなんです。
編集部:たとえ頭ではわかっていても、意識し続けるのはしんどい、という方もいるのではないでしょうか。
畠山:そうですよね。それは、「見えていない」んだと思います。
「コミュニケーションが(自分はあまり)見えていない」ということを自覚しているかどうか。見えていない事を理解していないと、努力しているのになぜ?としんどくなってしまう。
自分はコミュニケーションがわからない、というのを前提に努力すれば、「なんで人とぶつかってしまうんだろう」と悩むことはないんです。
自己認識する、というのは言葉でいうは簡単ですけど、それを日常で実践するのは難しいんですよ。
編集部:難しい、ですね。