「技術の力で障害の概念を変える。」ロボットの研究から義足開発へ転身した遠藤謙のライフストーリー
今回は、ソニーコンピュータサイエンス研究所の研究員として、そして株式会社Xiborg(サイボーグ)の代表として、義足の研究開発をされている遠藤謙さんにお話をお伺いします。
ご自身が立ち上げたXiborg社の公式サイトには「すべての人に動く喜びを」と掲げ、「才能がない、障害を抱えている、高齢だからといって、この喜びが奪われる事はあってはならないと考えています。」とあります。
http://xiborg.jp/
Xiborg社 公式サイト
「人間の身体にはまだまだ隠された機能があります。それを引き出すことによって人間の生活スタイルは激変する可能性を秘めています。
例えば、損なわれた機能を補うだけでなく拡張することができれば、障がい者、健常者、高齢者の身体機能の境界線がなくなり、身体能力の欠如に対するネガティブな考え方も変えることができるのです。
私のゴールは、世の中から身体の障がいをなくすことです。」
https://www.sonycsl.co.jp/member/tokyo/199/
そう語る遠藤さん。
一体どのような幼少期・学齢期を過ごしてきたのでしょうか。そのライフストーリーをお伺いしたいと思います。
なぜ「義足」の道を進んだのか?
編集部:遠藤さんがおっしゃる「世の中から身体の障がいをなくす」という言葉、とても共感しているんです。そのお話からまずは。
遠藤:ありがとうございます。僕は人の身体にまだまだ可能性があると思っているんですよ。目の前の目標としては、義足の開発を通して障害を無くしたいと考えてます。
2020年のとオリンピック・パラリンピックでは、障害の定義が「脚があるかないか」と関係なくなってくる。じゃあ、一体何が「障害」なんだろうとか、そういう議論が起こるだろうと。
編集部:義足の開発は、その議論を起こすきっかけになりそうですか?
遠藤:なると思います。
具体的にいうと、今僕たちは陸上競技用の義足を作っているのですが、それはこれまでの義足のように「無い脚を埋める」だけの義足ではありません。
脚のない人が、義足によって「より自分の能力を引き出せる」ことを目指して作っている。陸上選手で言えば、「義足の方がより早く走れるようになる可能性を秘めている」ということです。
すると健常者のほうが障害者よりいいタイムが出るという、これまでの概念が崩れていくのではと考えています。