子育て情報『「ボクは赤ちゃんじゃない!」成長を喜ぶ親心が、自閉症の息子を傷つけていた』

2016年11月3日 11:00

「ボクは赤ちゃんじゃない!」成長を喜ぶ親心が、自閉症の息子を傷つけていた

「ボクは赤ちゃんじゃない!」成長を喜ぶ親心が、自閉症の息子を傷つけていたの画像

Upload By シュウママ

はっと長男の顔を見直すと瞳は怒りにみちていました。
同時にとても悲しげで、私は胸をつかれました。


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幼いと思い込み、傷つけてしまった長男の気持ち

わかりきったことを何度も聞かれることを、彼は小さな体で精一杯拒絶しようとしていたのです。苛立ちを言葉にして表現できないため、答えずに私を無言で睨みつけるという方法をとるしかなかったのです。彼は感情を抑えているとき、ぎゅっと小さな指を握り拳をつくります。その時も、堅く結ばれた握り拳が私の目の前にあったことを覚えています。

「ボクは芸を仕込まれたサルじゃない!ボクは赤ちゃんじゃない!」
そんな叫びが聞こえた気がしました。

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自閉症があり発達がゆっくりだからといって、長男の感情を置き去りにすることは決して許されないことだったのです。

私は反省しました。大切な長男の尊厳を踏みにじっていたんだと……。



言葉が口から出ない間にも、子どもの心は育っていた

行動が幼いがゆえ、私自身も長男が7歳であることを忘れてしまうことがあります。

身長や体重と違い、心の成長は測ることができません。特に言葉の遅い子どもは、表出する言語が少なく判断する材料も少ない分、なかなか成長に気付けないのかもしれません。

でも行動が変わっていても、言葉が喋れなくても、長男は7年分ちゃんと成長していたのです。
もし、彼が本当に1歳の幼児であったなら、無邪気に親の言葉に従っていたかもしれません。でも言葉が出ない=赤ちゃんではないということを、息子の無言の抵抗が教えてくれました。

7年の月日の中で長男が味わい、感じた景色は、産まれてまもない赤ちゃんのままではなく、私が思っていたよりもずっと広がりがあったのです。少なくとも、誇りという確かなものをちゃんと手にしていたのだと気付きました。


「どうか、ぼくたち自閉症の子どもを幼いと思いこまないで!」

彼の小さな心の叫びが、すこしでも届けばと切に願います。

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