何を聞いても「イヤ!」反抗ばかりの息子と私を救った、コミュニケーション法
学校でのストレスが思わぬ方向で現れた息子。どうしよう…
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小学校入学直後から「学校いかれへん!」となったショックで、まるで赤ちゃん返りしたかのように母親から離れられなくなった息子は、気に入らないことがあると、暴れるようになりました。
「学校に行ってみようよ」「あかんで!」
「お風呂に入ろう」「いらん!」
「もう寝る時間だよ」「起きてる!」…
何を言っても反抗、途方に暮れる日々が夏休みまで続きました。学校には付き添い通学で少しずつ慣れることにしましたが、ゼロ歳の妹の世話や家事もあり、日々を過ごすだけで精一杯です。
少し気力があれば学習のフォロー、また2年生からの特別支援学級入級への手続きをしなければ…と、くたくたで笑顔も出ない状態でした。そんなとき、9月に家族と訪れた病院の待合室でふと目についたのが、花風社の『自閉っ子、こういう風にできてます!』という本でした。
この本を見て、「もしかして、息子もこんなふうに世界を見てるのかも?」と思ったのを覚えています。
児童精神科の医師に聞いてもはっきりと答えてもらえなかった、「自閉症スペクトラム」の世界観に触れ、その謎が初めて少し解けたように感じたのでした。
私はそれから少しずつ、自閉症について気になることを、本で調べるようになりました。
1冊の本が、息子とのコミュニケーションを変えてくれた
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夢中になって読んだ本の1つが、『伸ばそう!コミュニケーション力―不器用でも、体力なくても、友だちいなくても、今日からできるワクワクトレーニング』(花風社)です。
このを読んだとき、息子を観察してうっすら感じていた「言葉のやりとりも学習も、全て『身体が動くかどうか』がキモかもしれない」という思いを強くしました。中でも「ボールの投げ合いっこ」という遊びにピンときました。
私はさっそく息子と試すことに。「投げるでー、取ってや!」と声をかけて、投げてみました。すると、反抗的だった息子がこちらを向いて取ってくれたのです。
今度は「お母さんに向かって投げ返して。」と言うと投げ返してくれました。息子と向き合えている、考えるより先に体が動いてる、いいかも!と直感で思いました。
だんだん慣れてきたら「今から100回、投げ合いっこしよう」と伝え、始まりと終わりをくっきりさせました。
狙いはコミュニケーション力で、ボール投げの上達ではありません。
「お母さんがつかみやすいように投げ返してね。」こちらも子どもの真正面に、とりやすい球を投げるようにしました。
このように、「やりとりする経験」がただただ楽しくて、夢中で積み重ねられる。遊び×スポーツにこんな力があったのかと、目からうろこでした。
まずは「楽しさ」を大事に!ってことであんなモノもこんなモノも投げてみる
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ボール投げで使うのは、ボールだけではありません。投げるものはその時々で決めます。百円ショップのボール、ビーチボール、タオル、赤ちゃん用のやわらかい布のボール、ムササビのぬいぐるみ、紙飛行機というときもあります。
いろいろ面白がって投げてるうちに、「次はこれ」と、息子自身が自分でボールを決められるようになってきました。
テレビを見るのをやめてほしいな、宿題をやってほしいなというときも、とりあえず投げてみる。まずは楽しく、注意をこちらに向ける。それから話をすると、少しこちらの話を聞いてくれるようです。
小3の現在、ペットボトルをバットに見立てて打ち返すことを思いつき、やってみるようになりました。うまくできなくてもパニックにならずに「次投げて!」と言えるようになった息子。
クラスメートとのチームプレーにはまだまだほど遠いですが、コミュニケーション力は伸びてきていると感じています。
コミュニケーション力がついてきたら、いろいろな力が伸びてきて…
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九九の暗唱の宿題も、キャッチボールを組み合わせ、交互に言いながら投げ合いっこをする、というスタイルにアレンジ。
これは大人も脳トレになります。
他のアプローチもいろいろ試したので、これだけのおかげとは言えませんが、だんだん本も読めるようになりました。おそらく眼球コントロールに慣れたのだと思います。
以前は読み飛ばしが多く、意味が理解できずイライラしていたのですが、正直ここまで成長するとは、想像できませんでした。
また、1度だけ怒りながら投げ合いっこしたこともあります。
その日はどうしても私の気持ちが収まらないことがありました。一緒に遊んで切り替えようと思ったものの、やはり言いたいことを言わずにはいられなかったのです。
私:「どんなに嫌なことがあっても、暴れれば『やらなくて済む』って思ったら、間違いだからね!」と思いっきり強いボールをなげます。
息子:「アタマではわかってるけど無理やねん」ボールが返ってきました。
私:「それでも自分で自分を止められるようにならなきゃ」とまたバシッ。
半泣きになりながら全力で投げ返す息子。ずいぶん強い球を受けられるようになったな、叱ってるのに褒めたくなった、不思議な時間でした。
身体を使ったコミュニケーションは、親子だけのものじゃない
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キャッチボールを通じて、息子と少しずつコミュニケーションが図れるようになってきた私は、進級時に新しく担任になった先生にもこのことを伝えました。
「時間のあるときに、息子とボール遊びしてもらえませんか?言葉じゃなく身体で感じるほうが、ぐっと関係を結びやすいタイプです」と。
その後、ゴム縄くぐり、片足立ち、押し相撲など他の遊びも、思い立ったらすぐ、いろいろやるようになりました。遊ぶときは親も本気で競います。
お互い運動音痴なので、笑えます。
できないこと、困ることはまだまだたくさんありますが、1つひとつ積み上げていけばなんとかなるかも。難しいボールが取れた時の息子の「どや顔」を見ていたら、そんな気がしてきます。
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