いつか来る「発達障害ってなに?」にどう答える?娘との会話から考えたこと
「発達障害ってなあに?」もし子どもに聞かれたら、どう答える?
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わが家には「自閉症スペクトラム+ADHD」と診断された娘と息子がいます。
病院で医師からWISC検査の結果と診断についての説明を聞いていた時、娘は私の隣にいました。
当時、娘はまだ小学校低学年でしたが、言語IQが異常に高くアスペルガーの要素が強い娘は、私の本棚に並べてあった発達障害に関する本を既に何冊か読んでいたため、医師の話すキーワードを理解してしまったのです。
思わぬ形で「自分は発達障害である」ことを知り、娘はショックを受けていましたが、今は自分の特性とどう向き合えば楽に生きられるかということを一緒に考えながら歩んでいる最中です。
一方、就学前の息子はまだ自分が発達障害であることも、人とは違う部分があることも知りません。
いつか、誰かから指摘されたり言葉を耳にしたりして、「発達障害ってなに?」「ぼくはみんなと違うの?」と聞かれる瞬間が突然やってくるかも知れません。
その時に備えて、慌てずにきちんとした説明ができるように、発達障害とは何かということをよく考えておかなければと思うようになりました。「発達障害は個性かどうか」という議論をあちこちで見かけるたびに、その思いは強くなる一方です。
なんとか「発達障害とは何か」という問いに対する「わが家なりの答え」を導き出せないものでしょうか。
その答えを導き出すカギは、日常生活の中にありました。
ヒントは「たわし頭」にあった!?娘とのある会話
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話は変わりますが、皆さんは、毎日髪をセットするのにどれぐらいの時間をかけていますか?
わが家では、娘の髪をセットするのに10~15分、私の髪も同じぐらいの時間がかかります。
つまり、毎日30分近くを髪をセットするためだけに鏡の前に立ち続けている計算になります。決して特別な髪型やオシャレをしているのではなく、たわしのような髪についてしまった寝癖を直すため、いったん髪の毛を根本から濡らしてドライヤーをあてて伸ばさなくてはならないのです。そうしなければ、瞬く間に髪は広がってぼさぼさになり、不潔に見えてしまいます。
2日で1時間、1週間で3時間、1ヶ月でなんと10時間越え!
「一度も髪を梳いたことがない」という美しい髪の持ち主である姪っ子を見るたびに、毎朝たわし髪と格闘している私たち親子は一体なんだんだろう?とがっくりきてしまいます。
ある日、娘とこんな会話をしました。
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娘「ママ、せっかくこうやって髪型を整えても、姪っ子ちゃんの方がきれいに見えるね…」
私「そうだねぇ。頑張ってるんだけど仕方ないよね。こういう髪を持って生まれたんだもんね。」
娘「他の髪に変えてもらうわけには…いかないよね。」
私「そうだよね。この髪で生きて行くしかないんだから、嘆くよりも、どうやったらこの爆発的な頭を清潔に見せられるか、テクニックを磨くしかないよね。」
娘「そのかわり、私にも誰かから『うらやましい』と思ってもらえるところがあるのかなぁ?」
私「きっと持ってるよ。生まれ持ったスペックってみんな全然違っていて、良いのも悪いのもごちゃ混ぜになってるからね。あなたが当たり前だと思っていることが、誰かにとっては羨ましくて仕方のないところだったりするんだよ、きっと。」
娘「そっか。自分では当たり前だと思ってることが、他の人にとっては手に入れられないものだったりするんだね。髪のキレイな人が私の苦労を知らないのと同じだね!」
そんな話をしてから、娘は毎朝、自分で髪を整えるようになりました。
もちろんブラシでとくだけでは清潔に見えないので、また一から私が濡らしてセットをするのですが、「なんとかしてみよう!」という気持ちが嬉しくて、頭をなでながら「きれいにできたね」と声をかけるようにしています。
そうしているうちに、発達障害の特性もこれと同じじゃないかな?と思うようになりました。
発達障害は、人が生まれながらに持った「スペック」のひとつ
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発達障害の人が抱えるさまざまな特性は、生まれ持ったスペック(=仕様)であって、誰かと取り替えることもできなければ、努力したからといって仕様自体を根本から変更することもできません。
たまたま大勢の人が装備しているスペックとは異なるものを持ち合わせてしまったので、同じ世界では生きづらく感じることもあるでしょう。けれども、それは決して卑屈になるようなことではなく、自分のスペックを最大限に生かすことができれば、とても個性的で魅力的な人間になれるのではないかと思うのです。
ただ、その他大勢の方が手にする「マニュアル」は通用しません。自分なりのマニュアルを作る作業が必要です。
まずはしっかりと自分の装備を確認することで、どんな環境でなら自分が穏やかに暮らせるかを知り、どんなコミュニケーションの取り方なら相手も自分も楽しい時間を過ごせるかを模索する。
それが特性を抱えて生きていくということなのではないでしょうか。
100人いれば、100通りの答えがある
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「発達障害ってなに?」「僕はみんなとは違うの?」
そんな問いに対するわが家なりの答えが出たような気がします。
思うに、「発達障害」という言葉は「こういうグループに属する」という記号のようなものです。
そのグループの中には「個性」では済まされないほど深刻に悩んでいる方もいれば、悩みながらもなんとか社会生活を送ることができているという方もいらっしゃると思います。また、他人から見れば「個性」といえるような特性であっても、当人は非常に苦しんでいるというケースもあるでしょう。
100人いれば100通りの「発達障害って何?」に対する答えがあるのです。それを単純に「発達障害は個性だ」「いや個性ではない」と議論するのは、あまり意味がないような気もします。いろんな答えがあっていいんです。
それが当たり前なんです。
いつかお子さまから「発達障害ってなに?」と聞かれた時、あなたならどう答えますか?
お子さまが劣等感を抱かず、その答えを胸に前向きに生きていける。そんな答えが見つかるといいですね。
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