愛あるセレクトをしたいママのみかた

46歳で発達障害者の私が、療育手帳取得にチャレンジしてみた。

LITALICO発達ナビ

知的障害者向けの療育手帳、発達障害の私は取得できないの?

46歳で発達障害者の私が、療育手帳取得にチャレンジしてみた。

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=28174010701

現在、発達障害者のためだけの独自の手帳制度はありません。

発達障害者のための法律は、2005年にやっと「発達障害者支援法」が施行されました。ですが手帳制度は定められていません。
そのため、知的障害者に発行される療育手帳か、精神障害者保健福祉手帳がその代わりになっているというのが実情です。

少し、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の制度について調べてみました。

療育手帳は、1960年に施行された「知的障害者福祉法」には記述がなかったのです。1973年9月に当時の厚生省が出した通知「療育手帳制度について」に基づいて、各都道府県知事(政令指定都市の長)が知的障害と判定した人に発行するようになりました。それ以前にも独自に療育手帳を発行していた自治体もあったそうですが、1973年までは国の法律に基づいた制度ではなかったのですね。


精神障害者保健福祉手帳は、1995年(平成7年)に改正された精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に基づいて、各都道府県知事(政令指定都市の長)が発行しています。

私は、「発達障害で、実際にかなり生活や仕事で困難を感じているのになぜ療育手帳を取ることができないのか?」という疑問を抱いていました。療育手帳では受けられても、精神障害者保健福祉手帳では受けられないサービスもありますし(特に交通関係のサービスは療育手帳の方が手厚いです)。

そして「それなら実際に取得のチャレンジをしてみよう」と決心したのです。

大人になってから療育手帳を取るには、どんな手続きが必要?

46歳で発達障害者の私が、療育手帳取得にチャレンジしてみた。

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10131023407

大人になってから療育手帳を取るためには、まず市役所等の障害福祉課に申し込む必要があります。
申し込んでからしばらくして日時を指定されて、市役所の職員から成育歴や現在の生活の状況などの聞き取りが 約1時間ありました。そして、「取れてB2(一番軽度)ですね。また都道府県の指定機関で検査を受けてもらうので、日時が決まったら連絡します」と言われました。


役所での聞き取りから約1カ月後、都道府県の指定機関から連絡がありました。

そのときに「子どもの頃のことを聞かせてほしいのでご両親に同行してもらってください」と言われました。父はもう亡くなっているので母にお願いしました。けっこうな歳なので申し訳なかったですが。しかも「そんな昔のこと覚えてない」って言われますし。けっこう不安な気持ちになりました。

ちなみに親が高齢で足を運べない場合は、電話での聞き取りになるそうです。

親がいない場合はどうなるんでしょうね…?

検査を受けた結果は、手帳の取得は…

46歳で発達障害者の私が、療育手帳取得にチャレンジしてみた。

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10161012073

検査の流れは、午前中に2時間かけて私はWAIS-Ⅲを受け、その間に母は別の部屋でチェックシートに回答し、それを心理士さんが見ながら追加で質問をいろいろと受けるというものでした。


WAIS-Ⅲは途中で休憩をはさみながらも2時間少々で終わりました。心理士さんはとても手慣れていて、検査のベテランという印象でしたね。

お昼過ぎに母と合流し、20分間待って母と私を担当した心理士さんたちによる結果の見通しと所見の説明がありました。

結果から言うと、「療育手帳の支給はできません」でした。

理由はわたしのIQが100を超えていたこと、成育歴に特に問題もなく、大学に進学したことがトドメになったようです。

療育手帳の審査ではふたつのことを見るそうです。

1.検査でIQを計る
2.成育歴で、18歳までに知的障害の状態であったかどうか

どちらでもダメだったわけですね。

心理士さんにズバリと聞いてみました。
「私みたいな知的に問題のない発達障害の人が検査に来ることってよくあるんですか?」

すると「はい、けっこう多いケースです。やはり手帳を取っていただくことはできませんが」と答えてくれました。

この日も何組もの親子が検査を受けに来ていました。検査を受けに来る人はとても多く、忙しい状態が続いているそうです。WAIS-Ⅲの所見も簡単ではありましたが、説明してくれました。もう少し詳しい所見がきけるのかと思っていましたが、分析する時間もほとんどなかったでしょうし仕方がないのかなと感じました。

最後に、精神障害者保健福祉手帳で受けられるサービスについての案内がありました。発達障害に関する啓発パンフレットも、親子に1セットずつくれました。


WAIS-Ⅲの結果レポートは、頼めば切手代だけで自宅まで郵送してもらえました。私は医師に提出するためにお願いしました。

判定基準は都道府県によって異なります

46歳で発達障害者の私が、療育手帳取得にチャレンジしてみた。

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10417001314

療育手帳の判定基準は都道府県によってかなり異なります。

甥が発達障がいのため、療育手帳の交付申請をしたが、知能指数が基準の75より1高い76であるという理由で却下された。
社会生活に適応できないのに、手帳が交付されないことに納得できない。
知能指数が高い発達障がい者も療育手帳の交付を受けられるようにしてほしい。

私が住む県では、知能指数が高い自閉症などの発達障がい者には、交付基準に該当しないとして交付されないが、他の県や政令市では交付されている例があると聞いた。
療育手帳の交付に当たっては、全国の発達障がい者が平等に手帳の交付が受けられるよう、交付基準を統一してほしい。


http://www.soumu.go.jp/main_content/000081476.pdf
どこに住んでいるのかによって、判定基準が大きく異なるというのは制度として大きな問題があると思いました。

必要な人が手帳を取れる世の中に

46歳で発達障害者の私が、療育手帳取得にチャレンジしてみた。

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10254011903

今回の経験で感じたのは、「発達障害の生きづらさはIQで測れるものではないのに、どうして『実生活でどれだけ困難を感じているか』ということを考慮してくれないのだろう」というむなしさでした。
そして、療育手帳の基準の地域差が公的文書で問題になっているのに、事務的に振り分けられることの理不尽さを感じました。

大人の発達障害は今までほとんど理解されることはありませんでした。

少しずつ社会も変わろうとはしていますが、現実としては「努力してもできない」「なまけているのではない」ということも理解されず、SOSを出したくてもうまく福祉につながれない人が多いと思うのです。

発達障害が社会的に認知されるためにも、そして発達障害のために生きづらい人が顔をあげてイキイキと生きていくためにも、手帳を必要とする人には公正にスムーズに手帳が手に入る世の中になってほしいと思います。

そして、発達障害者のための手帳ができることを心より願っています。

提供元の記事

提供:

LITALICO発達ナビ

この記事のキーワード