「イキがってる」わけじゃない!聴覚過敏の味方、イヤーマフを知ってほしい
「聴覚過敏」で辛い思いをしてきた長男
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聴覚過敏のある長男は、小さい頃から色々な「音」に敏感でした。掃除機の音をひどく怖がったり、ハンドドライヤーの音が怖くて外出先のお手洗いに行けなかったり、赤ちゃんの泣き声が苦痛で赤ちゃんそのものが怖くなってしまったり…。
今でも生活するのがとても大変そうです。
また、大きい音だけに限らずザワザワした空間も苦手です。ザワザワで不安が強くなると更に過敏が強くなって、音の洪水に飲み込まれそうになり耳を塞いで逃げ出してしまうことがしょっちゅうでした。
そんな長男のお守りアイテム「イヤーマフ」
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長男は「音」から逃れるためにしょっちゅう両手で耳を塞いでいました。それでは両手が使えずに危険だと思った私はなんとか耳を手で塞がずに済む手段がないかと手に入れたのが「イヤーマフ」です。
イヤーマフとは大きな音を遮断したりノイズキャンセリングするアイテムで、見た目は「ヘッドフォンのコード無し」みたいなものです。
身近な通販サイトなどでも販売しており、ヘリコプターの操縦士やスナイパーになるつもりでもない限り、1000円程度で買えるお手頃なものも多いです。
我が家が購入したのも「使わなかったら勿体ないから」という理由で一番安い1000円弱のもの。
それでもこのイヤーマフは、今や長男の大切なお守りになっています。
集団生活に雑音はつきものだから
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保育園など集団生活を行うときには教室にイヤーマフを置かせていただいていました。はじめて見るイヤーマフに「これ何?」「音楽が聞こえるの?」「僕にも貸して」とイヤーマフに興味を示すクラスのお友だち。
そんなとき先生は
「Aくんは大きな音が苦手だから、これで耳をふさぐんだよ。大切なものだから勝手に使わないようにね。」
「じゃあAくんがびっくりしないために、みんなはどんな大きさの声で話すといいのかな?」
などと、長男の聴覚過敏についてわかりやすくお友だちに伝えてくださっていました。
そして何ヶ月も経たないうちに、長男が辛そうな時には、クラスのお友だちが長男のもとへ率先してイヤーマフを持ってきてくれる姿も見られ、子どもたちの素直で純粋な優しさにとても感動したものです。
しかし一歩街中に出ると向けられる冷たい視線...
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とはいえ、日々の生活の中でいつでもどこでも「これは音が苦手だから付けているんです」と説明できるわけではなく。
パッと見た目は大人用のヘッドフォンと変わらないため、装着するとどことなく漂う「NO MUSIC, NO LIFE」感。
出かけ先や電車の中でイヤーマフをしていると
「なぜ子どものくせにヘッドフォンをしているんだ?」
「変なイキがった格好をさせて」
「なんか変な子なのか?」「変な親なのか?」と、上から下まで2往復ほど舐めるように見られることが多いのです。
ときには半笑いで、ときには汚い物を見るような目で。卑下するような目線を感じる時は、この視線を子どもが受け取ってはいないだろうかととっても辛い気持ちになります。
ナチュラルにイヤーマフを着こなすために!母が取った苦肉の策
周りからの視線なんて気にしなければいいのかもしれませんが、あいにくガラスのメンタルしか持ち合わせていない私。嫌〜な視線に耐えかねて、なんとかこのイヤーマフを街中でナチュラルに装着できないものかと考えました。
そしてイヤーマフの「ヘッドフォン感」を逆手に取った作戦がこちら
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「NO MUSIC, NO LIFE」そして「Apple」のシールを貼ることで
渾身の「リア充イヤーマフ」を作り上げ、長男に提案しました。
これならば、相変わらず変な子、そして変な親とは思われるかもしれないけれど、
「そういうファッションですけど何か」というバリアを張ることができるはず!
……が、息子は2秒でステッカーを剥がしました(爆)
そうでした。トンカツにソースがかかっていると拒否し、ごはんと納豆は別に食べたいタイプの長男。大切なイヤーマフをプレーンなままで使いたいのは当然のことでした。
知ってほしい「イヤーマフ」のこと
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「イヤーマフを街に溶け込ませるリア充作戦」に失敗した私はもう一つのことを考えました。
【街中の人にイヤーマフのことを知ってもらう作戦】です。
と言っても何か大きなプロジェクトを行えるような超能力は、私のような一介の主婦には無いので、私が今できる唯一の周知方法「発達ナビのコラムに書く」という作戦に出たわけです。
ここまで読んでくださったのも何かの縁、もし今後街中で紐無しヘッドフォンを付けている人を見かけたら
「おっ、あれか!」と温かい目で見守っていただければ…そんな気持ちでこの記事を書いています。
足が不自由な方の車椅子、目が不自由な方の白状のように、「耳が聞こえすぎて困っている人のイヤーマフ」をもっと知ってほしい。
そして、イヤーマフのことを知らない周りの方にもそっと伝えてほしい。そんな風に思います。
「知らない」「得体が知れない」からこそ嫌な物を見る視線を向けてしまうのだと思います。逆に言えば、知っている人が増えればもっともっと温かい視線が街にあふれるのではないでしょうか。
さて、街中で「リア充式ではないプレーンなイヤーマフ」を付けている子どもがいたら、それはうちの子かもしれません。
見かけたらぜひ「おっ、あれか!」と、このコラムのことを(ついでに私のつまらない苦労話も)思い出してニヤっとしていただけると嬉しいです。