愛あるセレクトをしたいママのみかた

「僕だってママといたい…」自閉症の兄をうらやむ弟になんて言ったらいいの?

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自閉症の長男が通う療育。はじめは親子通園日は次男も一緒だったのに


自閉症の長男は、3歳3ヶ月を過ぎたころ療育施設に通い始めました。その施設は、基本は長男1人で通園するのですが、週に2回ほど親子で通園する日があります。親子通園日には、私と長男が一緒にバスに乗り、療育施設で3時まで過ごし、バスで帰ってくるという日課になっていました。

幼かった双子の次男も、その日は一緒に療育施設に連れて行くことになります。

「お兄ちゃんの園は、お友達と上手に遊べなかったり、ごはんが一人で食べられなかったりする子ども達に、先生がやり方を教えてくれるところなんだよ。ママも先生に教えてもらうんだ。だからお兄ちゃんと一緒に行くんだよ」そう説明しておきました。

すると次男はこっくり頷き、嬉しそうについてきました。


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療育施設では、長男と同じクラスで特別に椅子をかしてもらい、手遊びしたり歌をうたったり……

先生方も次男に細やかに気を遣ってくださいました。

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私や長男、そして子ども達の輪に入れてもらい、幼稚園入園までの1年ほど、次男はそこで楽しい時間を過ごしたのです。

幼稚園に通い始めた次男。長男と私が療育に行こうとすると…


次の年、長男はそれまでどおり私と一緒に療育施設へ、次男は幼稚園に通い始めました。急に環境が変わったことで次男も戸惑いはあったでしょうが、初めは楽しそうに、今日遊んだお友達の名前を教えてくれたりしました。

けれどある朝、私が台所でサンドイッチを作っていた時です。

「わあ、サンドイッチいっぱいあるね。それ朝ごはん?」と次男が聞きます。

「うん。
でも半分はママのお昼ごはんだよ。今日はママ、シュウちゃんと一緒に行くからね。」

そう答えると次男の顔が曇りました。

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泣き出しそうな次男の顔を見て、私も胸が痛みました。

「ごめんね。ママはシュウちゃんと行かなきゃいけないんだ。帰ってきたら一緒に遊ぼうね」

それからというもの、長男との親子通園日になると次男は元気がなくなり、靴ひとつ履くにも時間がかかるようになりました。少しずつ次男のストレスが溜まっていくのが分かります。

「ママはシュウちゃんと僕、どっちが好き?」

そんな質問も投げかけてきます。
どちらも好きと言う言葉は次男は望んでいないでしょう。

だから私は笑顔で伝えました。

「君が一番大好きだよ」

すると次男はほっとしたような顔をして靴をはき、カバンを背負いました。必死で気持ちに折り合いをつけているのを感じ、見ていて辛くなったことを覚えています。

「ママはやっぱりシュウちゃんの方がかわいいんだ!」次男の感情がついに爆発


そうして夏休みが過ぎ、最初の登園日がやってきました。

「今日はママ、お兄ちゃんの園に行くから延長保育だよ」

そう言ったときです。次男は顔色を変え通園カバンを投げました。

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「幼稚園に行きたくない!」

真っ赤な顔で大粒の涙をこぼしながら叫びます。


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と言い、小さな体を震わせていました。

どうしてママはシュウちゃんについていくの、僕はひとりで幼稚園に行くのに……

そんな思いが抑えきれなくなったのでしょう。

「シュウも普段1人でバスで通っているよ。ママが行くのは1週間に2回だけだよ」

どんな言葉をかけても次男は聞こうとしませんでした。

お兄ちゃんが通う園は病気の子どもたちが行くところだから、ママがつきっきりでも仕方ないんだ――頭では分かっていたと思います。けれど幼いゆえ、自分だけが一人で幼稚園に通うことを、不公平だと感じるのは無理からぬことだったかもしれません。

「ママはやっぱりシュウちゃんの方がかわいいんだ!」

そんな風に感じ、我慢が限界を超え爆発してしまったのでしょう。

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それに加えて次男は、療育に3人で通っていた日々がとても居心地のよい記憶として残っていたのだと思います。
療育のクラスの子どもたちは、まだ発する言葉も少なく穏やかです。けれど幼稚園の男の子たちは戦いごっこをし、動きも活発です。ふたつの環境を見ていた次男は自分が幼稚園の子どもたちとどう接していけばいいのか、戸惑いを覚えていたのかもしれません。

きょうだい児だからこそ「君が一番」の時間をつくる


次男の気持ちは分かっていたつもりですが、私自身どうすることもできません。ただ幼い子どもには、きちんと言葉にしないと愛情は伝わらないんだ、ということは実感しました。だから次男に言葉をかけるときには「必ず君が一番」と言い続けることにしよう……。

そして楽しみを用意して、しゃくりあげる次男の頭をなでてやるしかすべがありませんでした。

「必ず週末は一緒にお出かけするよ。
大好きなドーナツ一緒に食べようね」

そうすると次男は重い腰をあげ、覚悟を決めてカバンを背負いました。

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幼稚園へ向かう小さな背中を見送りながら私も切なくなり「がんばれ!」と強く念じていたのを覚えています。

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