解離性健忘とは?記憶を失ってしまうの?解離性障害のひとつ解離性健忘の原因・症状・治療法などを解説
◇限局性健忘・・・ある限定的な間に起こったできごとを思い出せない症状です。解離性健忘のなかで、もっとも一般的であると考えられています。
◇選択的健忘・・・限定された間におこったできごとの一部が思い出せるだけで、他の部分は覚えていないのが選択的健忘です。戦争に赴いた兵士が、連日の激しい戦闘の一部分しか思い出せずそれ以外のできごとを思い出せないといった例があげられます。
◇全般性健忘・・・自分が今まで体験してきたことすべてを忘れてしまう症状です。自分が誰であるのかさえも忘れてしまう場合もあります。ただ、これまでのすべてを忘れてはいるものの、現在からの新しい記憶を追加することは可能です。
日本では、1950年に全般性健忘が初めて報告されて以来、これまで130例以上の報告があります。
ちなみに、限局性あるいは選択的健忘の報告は20例未満ですが、忘れていることの自覚がないために報告されないのではないかと考えられています。
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岡野憲一郎/責任編集『専門医のための精神科臨床リュミエール20解離性障害』(中山書店、2009年)97ページ
◇系統的健忘・・・ある特定の領域についての情報を思い出せなくなってしまう症状です。たとえば「家族」「恋人」など「ある特定の人物」などについての記憶が思い出せなくなってしまうことなどがあります。
◇持続性健忘・・・新しいできごとが起こるたびに、そのできごとを忘れてしまう症状です。
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日本精神神経学会/監修『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版(医学書院、2014年)296-297ページ
解離性のフラッシュバックと呼ばれる症状が起こることもあります。フラッシュバックとは、映像や音、においなどがよみがえり、過去に心の傷を負ったできごとを再体験してしまうことです。突然、止まっている画像で思い出すことが一般的であるものの、動画であったり、声を伴ったりする場合もあります。
フラッシュバックは、本人にとってとても恐ろしい体験です。
過去に引き戻されたように感じる、もしくは同じできごとが目の前でまた繰り返されているように感じてしまうようです。
フラッシュバックに引き続いて、限局性健忘があらわれることもあります。
何がフラッシュバックの引き金となってしまったのか、本人が自覚できないことも多いために、恐怖感がさらに高まってしまうこともあるそうです。