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「嫌いじゃないけど、描けないの」お絵描きを拒む娘が、本当に描きたかったことは?

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幼稚園に貼り出された絵を見てビックリ!

「嫌いじゃないけど、描けないの」お絵描きを拒む娘が、本当に描きたかったことは?

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017007084

まだ娘に発達障害があることなど微塵も考えていなかった頃のことです。

幼稚園に入園して間もなく、園児たちの絵が壁一面に貼り出されました。愛らしい子供たちの絵を楽しく眺めながら、わが子の絵はどこかしら?とわくわく探していた私の目に飛び込んできたのは、なにやら乱暴にぐちゃりと描かれた落書きのような作品でした。

まさかと思いつつ名前を確認すると、それはやはりわが子の作品だったのです。

家でもあまりお絵描きをすることはなかったので、幼稚園で経験を重ねれば、そのうち自由に描きたいものが描けるようになるかな?無理に描かせる必要はないかな?と思っていたのですが、半年経っても娘の絵は変わらぬままでした。

そのうち、担任の先生から「描くこと自体を嫌がっているのか、白紙のまま座っている時間が長いです」「家でも少し練習してください」と言われるようになりました。

できれば絵を描くことを嫌いにならないで欲しい。いつか楽しく自分が思い描くものを描けるようになって欲しい。
そんな私の願いから、娘と私のお絵描きへの取り組みが始まったのです。

「嫌いじゃないけど、描けないの」娘の手を止めてしまう理由は一体…?

「嫌いじゃないけど、描けないの」お絵描きを拒む娘が、本当に描きたかったことは?

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白紙のままだと、どのスペースに描けばいいのかわからなくて描けない子もいるから、四角く枠をつけてあげるといいよ!

お友達からそんな風に聞いて、早速白い紙に外枠をつけて一緒にお絵描きをしてみました。おかげで白紙を前にしたまま固まることはなくなりましたが、少し描くとすぐに「私はもういいから、ママが描いて〜」とクレヨンを放り投げてしまうのです。

「お絵描きが嫌いなの?」と聞いてみると、「嫌いじゃないけど、描けないの」という返事が返ってきます。
この娘の言葉を聞いて私は「嫌いじゃないのになぜ描けないの?」と疑問に思うばかりでした。市販のお絵描きドリルを試す

嫌いではないのなら、と市販の子供向けのお絵かきドリルを何冊か買ってみました。ていねいに描く順番も載せてくれているので取り組みやすいと思ったのですが、結果はすべて撃沈。始めの2、3ページだけ取り組んだドリルが山のように残りました。


あれこれ検討して次に試したのが「空想画」を描く通信教育でした。簡単なストーリーに沿って、小さな画用紙いっぱいに自分が作った世界・キャラクター・模様などを描いていくというものです。

これは今までのどの方法よりも娘に合っていたようで、始めは「本当に自分が考えたものだけ描けばいいの?」と躊躇していた娘が、次第に画用紙を埋められるようになりました。

少しずつ描く楽しみを知った娘ですが、幼稚園では相変わらず筆が進まず、担任の先生と一緒に頭を悩ませていました。

大人向けの本で大変化!娘が本当に書きたかった絵とは

「嫌いじゃないけど、描けないの」お絵描きを拒む娘が、本当に描きたかったことは?

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そうこうしている間に空想画も幼稚園も卒業した娘は、小学2年生になっていました。相変わらず、学校のお絵描きの時間は苦痛なようで、教室に貼り出された絵をいくら褒めても「どうせ私の絵は下手だから」とそっぽを向くばかりでした。

ところがある日、なにか習い事をしてみない?と声を掛けると思いがけず「お絵描きを教えてくれるところに行きたい」と言い出したのです。

驚く私に向かって「遠近法とか物の描き方をちゃんと教えてくれる先生のところに行きたい」と娘は続けました。


その時になってようやく、幼かった娘が言った「嫌いじゃないけど、描けないの」という言葉の意図を理解することができました。

娘は幼稚園の先生や私が想像していたような、いわゆる“子供らしい絵”が描きたかったのではなく、猫なら猫、犬なら犬、家なら家、それぞれをそのままの姿で画用紙に写し出すことを望んでいたのです。いくら子供向けのドリルに取り組んでも興味を示さなかったのは、それが娘の描きたい絵ではなかったから。

あとから娘に聞いてみると、描きたいと頭に思い描いていたものを表現するにはまったく技術が足りず、いくら描いても思い通りにならなくて嫌になっていたのだそうです。そこで、お絵かき教室に通う前に一冊の本を手渡してみました。

それは大人向けの『図解・いきなり絵がうまくなる本』という新書本でした。遠近法を学びたいと言っていた娘の希望通り、どう描けば立体的に見え、リアルな絵になるのかという説明が丁寧に解説されている内容でした。

この本のおかげで、娘は机を描き、机の上に乗っているパソコンや文房具を描き、やっと満足そうに微笑んだのです。


「嫌いじゃないけど、描けないの」お絵描きを拒む娘が、本当に描きたかったことは?

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図解・いきなり絵がうまくなる本 (メディアファクトリー新書)

好きなことが増えると人生が豊かになる!


それ以来、娘は絵を描くことをいとわなくなったどころか、進んでお絵描きを楽しむようになりました。

私も本屋さんで子供向けのお絵描きコーナーをのぞくのをやめ、大人向けの塗り絵やなぞり絵の本を娘にプレゼントすることにしています。

なかでも『なぞり猫』などは、リアルな絵を描きたいと望む娘にピッタリの教材でした。また、子供向けの塗り絵には興味を抱かなかった娘ですが、大人の塗り絵を渡すと何時間も集中して塗り続けています。

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描いて楽しい なぞり猫 (成美堂出版)

発達障害のある子どもたちは、娘のようにさまざまなこだわりを持っています。その理由も多岐にわたっているので、何が嫌なのか、どうして受け入れてくれないのかわからないまま、トライすることをあきらめている保護者の方も多いと思います。

私も娘の絵に関しては、描く楽しみを知って欲しいというのは親のエゴかも知れないと、半ばあきらめていました。しかし、小学4年生になった娘が毎日絵を描いたり、嬉しそうにお絵描き教室に通っている姿を見ると、「見たままの絵が描きたい」という娘のこだわりポイントを理解することができて本当に良かったと思えます。


子供たちは年齢が上がるとともに、少しずつ自分の気持ちを表現できる方法を学んでいっています。親も子もリラックスした状態の時に、「どうしてあれが嫌だったのか教えてほしいな」「もっとあなたの考えてることを知りたいな」と話し合ってみるのも良いかも知れません。思わぬところでこだわりを理解するポイントが見つかって、好きだと思えることが増えるかもしれませんよ。

なかなか周囲の理解が得られず、さまざまな刺激と戦いながら毎日がんばっている子供たち。楽しんでできることが一つ増えれば、そこから少しずつ世界は広がって行くかもしれません。子どもたちが豊かな人生を送るために私たちにできることは、“好き”を一緒に発見していくことかも知れませんね。

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