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怒りの中に隠された「第一感情」を探せ!母と娘の「本心」探し

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何を言っても、否定された気持ちになってしまう娘

怒りの中に隠された「第一感情」を探せ!母と娘の「本心」探し

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我が家には9歳の娘と7歳の息子がいます。ともに自閉症スペクトラムと診断済みで、娘は特にアスペルガーの要素が強く出ています。

ある日、ふらふらと歩く弟を見て、私が注意するよりも先に娘が怒りを爆発させました。

「ちゃんと前を見て歩かないと危ないでしょ!」「いつも言ってるのにどうして分からないの!」と怒鳴りつけると同時に、娘は後ろから息子の首根っこを掴んで引っ張ったのです。

体幹の弱い息子は、もう少しでなぎ倒されるところでした。

私「注意してくれるのは本当に助かるし、言ってることは正しいんだけど、そのやり方だと相手には恐怖しか残らないからすごくもったいないなと思うの」

娘「でも、誰かにぶつかってからじゃ遅いでしょ!ママだっていつも相手に怪我させちゃいけないから前見なさいって言ってるじゃない!!!」

そうなのです。娘は弟や私のことを思うあまり、それが怒りとして表出してしまうのです。私は娘に続けます。


私「うん、確かにそうなんだけどね、周りの人がビックリして振り向いちゃうぐらい、すごく怒ってたよ?」

娘「わかってるわかってるわかってる!!!何度言われても怒っちゃう!私なんて最低の人間なんだ!」

娘は、自分がすぐ怒ってしまうことを自覚しています。それでも、どうしても湧き上がる怒りを押さえられず、あとから自己嫌悪に陥ってしまうようなのです。

私「そんなことないよ。ママだって怒っちゃうこと多いもん。あなたがすごく優しい気持ちで弟を守ろうとしてくれたことも、ちゃんとわかってるよ」

娘「そうだよ!私は弟が心配だっただけなのに!誰かにぶつかったら弟だって怪我すると思って!なのにどうしてこうなっちゃうの!もうイヤだっ!」

私「そうだよね、イヤだよね、苦しいよね。せっかく優しい気持ちで行動したのに、ママに注意されると全部否定された気持ちになって、すごく孤独な気持ちになっちゃうかも知れないね」

娘「そう、すごく孤独になる。私なんて、いなくなればいいのにって、そう、思う……」
そんな風に思わなくてもいいよって伝えても、それは難しい様子。私は、その時々の対処法だけではなく、根本的な予防法を考えることが必要だと感じました。


こうして、娘が自分自身を否定せずに怒りと向き合える方法はないものか、探してみることになったのです。

怒りの裏に隠された「第一感情」を、相手に素直に伝えてみよう

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そこでふと気がついたのですが、私も娘も、アンガーコントロール自体についての本はたくさん読みましたが、“感情”というものについてきちんと学んだことがなかったのです。

発達障害を抱える子どもたちは、日々の暮らしの中で、周囲を見て自然と立ち居振る舞いを覚えたり、コミュニケーションの取り方を学んで行くのが苦手です。しかし、道筋を立ててわかりやすく教えることができれば、ものにできることは多いのです。

ならば、感情についてもきちんと学び、「こういうことだったのか!」「こうすればいいんだ!」と整理して頭の中に入れてあげる方が、その都度対処法を伝えていくよりも娘にとってはわかりやすいのかもしれません。

そこで、書店で感情に関するさまざまな本を見て、数ある本の中から選んだのがこちらの本です。

怒りの中に隠された「第一感情」を探せ!母と娘の「本心」探し

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『マンガでよくわかる怒らない技術』嶋津 良智 著 フォレスト出版

これは累計90万部を突破した『怒らない技術』『怒らない技術2』『子どもが変わる 怒らない子育て』の内容がマンガ化されたものです。食品会社の営業部で働く女性が、イライラと怒ってばかりの毎日から脱却していく様子が描かれており、間には解説も書かれています。


この本を選んだのには理由があります。

・「怒りの裏に隠された感情」についてのお話しが、とてもわかりやすく詳しく載っていたこと
・ 大人向けの本であるため、娘が主人公を自分と重ねて自己嫌悪に陥ってしまうことがないこと
・ 大人でも怒りの感情で悩んでいる人がたくさんいると知ることで、自分を否定する気持ちを薄めること
これらを考慮し、数ある書籍の中からこの本を選ぶことにしたのでした。

「ママも感情についてきちんと学んだことがなかったから、あなたと一緒にお勉強してみようと思うんだけど、まずはこの本を一緒に読んでみない?」

この本を手にした娘は、声を出して笑いながら読んでいたかと思うと、「この人の気持ち、すごくよくわかる」としんみりしてみたり、娘なりにいろんなことを吸収してくれたようです。

以前から娘に伝えたかったこと。

・「怒り」というのは第二感情であり、その元になっているのは「不安・心配・寂しさなど」の第一感情である
・「怒り」を感じた時は、それを口にする前にまず第一感情を探り、心配なら心配していた気持ちを、不安なら不安な気持ちを、そのまま素直に相手に伝える

これらが、きちんとした形で綴られていて、娘にとっては大きな学びとなったはずです。
私自身も、とても勉強になる内容がたくさんあったので、手元に置いていつでも見られるようにしておくことにしました。

「第一感情は何だろう?」親子で探す日々

怒りの中に隠された「第一感情」を探せ!母と娘の「本心」探し

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この本を読んでから、娘が怒りを爆発させてしまった時は「第一感情はなんだろう?」と声をかけることで、怒りを一時停止させて自分の心を探る時間を作れるようになりました。

すると娘からは「ちょっとうらやましかったかも」「すごく心配しちゃったから」という回答が返ってきます。
そこから「そういえば、第一感情を素直に伝えるといいって書いてあったね」と娘に促すことで、はにかみながら「私も一緒に遊んでほしい」「お姉ちゃん、君がケガをしたら心配だから手を繋いで歩いてね」などと言えるようになってきました。

今はまだ怒りを爆発させてしまった後で第一感情を探していますが、この手順が定着すれば、いずれ怒りの言葉を口にしてしまう前に自分の本当の気持ちを探る時間が取れるようになるのではないかと思います。

「伝授」するのではなく、対等に「学ぶ」

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娘はもうすぐ10歳。精神年齢が幼いとはいえ、少しずつ自立心が芽生えてきているため、今後は親の言うことを素直に聞き入れるのに抵抗を感じる瞬間も増えてくると思います。親がなにかを教えるという方法では、なかなかうまく行かないことも多くなるでしょう。

そこで、今回は私自身が娘に方法を伝授するのではなく、同じ本を読んで怒りについて学ぶという方法を取りました。

自分自身を直接知らない第三者の話というのは、意外と素直に入ってくるものです。それはおそらく、「一般的にはこうだ」というだけで「自分自身が否定されているわけではない」という距離感を持つことができるからだと思います。


また、同じ本で同じことを学ぶということは、娘と私は対等の立場。いわばクラスメイトのような関係でいられるので、「あっちの本にはこう書いてあったけど本当かな?」「今度やってみる?」とフランクな会話も成り立ちます。それゆえ、親が正しいと思っていることを押し付けられるという圧迫感も少ないのではないかと思うのです。

お子さまが思春期に差し掛かり、話し合いのつもりがついケンカ腰になってしまって、上手く子どもに伝わらないとお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、同じ教材で同時に学ぶという方法を取ってみてはいかがでしょうか?思いがけず、楽しく時間を過ごせるかも知れません。

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