「間違ってる!」と言われ続けたぼくが、偏りを“個性”に出来た理由ー作家・市川拓司さんインタビュー
『ぼくが発達障害だからできたこと』著者の市川拓司さん
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『いま、会いにゆきます』(小学館)などで知られるベストセラー作家・市川拓司さんは、昨年出版した著書『ぼくが発達障害だからできたこと』(朝日新聞出版)の中で、自身が発達障害であることを告白しています。
著書の中では、小学生の頃から多動多弁、クラスメイトに迷惑をかけては先生にひどく叱られたといった幼少期のエピソードが赤裸々に語られます。そんな市川少年が現在の大ベストセラー作家になるまで、どのような道のりがあったのでしょうか。また、自身の経験から、発達障害の子を持つ親や成人当事者に伝えたいこととは?お話を伺いました。
ずっと身体の病気だと思っていたーある本との出会いがきっかけで、「発達障害」を知る
ー市川さんは40代で、AS(アスペルガー症候群)とADHD(注意欠陥・多動性障害)にほぼ当てはまると診断されたそうですね。大人になるまで、自分が発達障害だとは全く気づかなかったのですか?
19歳の時、陸上部の活動中に呼吸困難で倒れて、動悸や冷や汗、不条理なほどの恐怖を感じて競技生活を引退しました。今思えば発達障害由来の二次障害、パニック発作でした。でも、当時はずっと内臓系の病気だと思ってました。
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発達障害かも?と気づいたのは、今から24年前に出たドナ・ウイリアムズの『自閉症だったわたしへ』(新潮社)を読んだのがきっかけです。幻覚や身体の代謝の問題など色々な記述にうなずけるところがあって、目の前がさーっと開けたような感覚がありました。そのあと、数年経って仕事関係の知人の紹介でメンタルクリニックを受診して「典型的なアスペルガ―の症状を示している」と言われたんです。
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『自閉症だったわたしへ 』/ドナ ウィリアムズ著
幼少期は、とにかく母親を守ることに必死だった
ーご著書によれば、子どもの時から発達障害の傾向は現れていたようですね。多動で多弁。学校では授業中もひとりで大声でしゃべり続けて、クラスメイトに迷惑をかけては先生に叱られてばかりでしたね。「バカ」とか「宇宙人」とか酷いあだ名も付けられました。学力は中学生時代がどん底。
劣等生です。