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ピンチはチャンス!洗濯ができず泣くアスペルガーの娘に、カバーする術を教えたい!

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洗濯の手伝いを頼んだら...

ピンチはチャンス!洗濯ができず泣くアスペルガーの娘に、カバーする術を教えたい!

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10518000376

ある日、アスペルガー症候群のある中学3年の娘に洗濯を頼む場面がありました。普段は私が洗濯をしているのですが、この日は体調が悪く、娘にお願いすることにしたのです。

掃除や皿洗いは難なくこなす娘ですし、洗濯のしかたは何度も教えたことがありました。

サクッと片づけてくれると思っていたのですが…予想に反し娘は洗濯機の前で立ち尽くしています。どうやら洗濯のやり方をすっかり忘れてしまったようです。

泣きそうな顔で立ちすくむ娘。その口からこぼれた「バカでごめんね」という言葉に、私も辛い気持ちになりました。

とはいえ、1つひとつ教えていかなければ前には進めません。
私が側について教えながら、娘はなんとか洗濯機を回すことができました。

ここまでくればできたも同然だろう。私は娘に、「あとは干しといてね」と頼んでその場を離れたのです。

ところが、それから約6時間後。寝込んでいた私が起きだしてみると、洗濯物はなぜか下着だけ干されており、それ以外はカゴに突っ込まれたまま廊下に放置状態。

「どうして干してないの!?」と娘に言うと「え?だっていつもお手伝いのときは下着しか干してないもん」「下着を干したら終わりだと思ってあとは全部忘れた」との答えが返ってきました。しまいには「こんな娘でごめん」と言い、泣き出してしまいました。

娘は怒られると、声もたてず静かにはらはらと涙をこぼして泣きます。
「どうして怒られたら泣いちゃうの?」と聞くと「怒られたらとても怖い気持ちになるから泣いちゃうの」と言ってました。

そこから見えてきた娘の特性

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この洗濯の1件で、以下のような娘の特性が浮かび上がりました。

・手順が複雑なことを覚えることが苦手
・自分の思い込みで作業してしまう
・報告も相談もしない
・何度教えられても自分流のやり方を貫こうとする
・怒られたらいてもたってもいられず泣いてしまう

最後以外は私とそっくりです。

学校に通っていたら、自身の特性もいろいろな場面から見つけることができるかもしれません。ですが、小2から不登校で家にこもっている娘は、行動パターンもワンパターン。しかも苦手なことはなるべく避けようとするので、特性がなかなか見えてこないのです。まさか、洗濯のお手伝いでこれだけ課題となる特性が見えてくるとは思いませんでした。

就労の場でこの特性が出てしまったら...

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この娘の状況には危機感を覚えざる得ませんでした。
というのも、私も同じ特性を持っているので、さんざん職場でやらかしてきた過去があるからです。同時に、この特性はとても嫌われます。

「どうしてそんなに覚えが悪いの?」
「人の話聴いてるの?」
「やる気あるの?」

と言ったような言葉でさんざんなじられた過去の記憶が頭をよぎります。

もし、同じ仕打ちを娘が受けたら、おそらく耐えられないでしょう。そんな辛い目にはあってほしくありません。

知り合いのところやなじみのあるところでアルバイトをすることも考えたのですが、字がゆっくりとしか書けない、計算ができないことを気にして気が進まないようです。

発達障害者支援センターで相談したときも、「おそらく普通の就労は難しいでしょう。手帳を取って障害者枠で働くことを考えた方がいいです。」と言われたこともあり、将来的には就労移行支援事業所などで訓練を受けたほうがいいだろうと思っています。


でも今回はせっかくのチャンス。家庭で苦手なことをカバーする練習はできないだろうかと考えたのです。

ピンチはチャンス!今のうちにカバーする術を教えたい

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失敗を恐れる娘なので、しばらくは洗濯機には近寄らないかもしれません。ですが、直接自分でやらなくても私がやっているところを見せたり、簡単な干す作業を手伝ってもらったりしながら、再チャレンジの機会を狙うことができます。

そうやってスモールステップを本人のペースで踏めるのが家庭のいいところでしょう。お手伝いという気楽さもありますし。

いま私がやっているのは、

・洗濯機の前にマニュアルを貼る。
・使う洗剤の量を実際に見せながら教える
・前回のお手伝いで気になった干し方を「こうしたほうがよく乾くよ」と教える
・教えてもらったときはメモを取ったほうがいいことを教える(「字が書けない」と言われたので「スマホでメモしたらいいよ」といったら大発見って顔をしてました。


少しずつ「分からないことは聞く」、「どこまでしなければならないのか確認する」という風にステップアップしていけたらと思っています。
また、今度頼むときは完璧にこなすことを目指すのではなく、チャレンジできたことを自体をしっかり褒めたいと思います。

「親子」であり「お手伝い」であることを忘れないで

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今回のケースのように繰り返される失敗は娘の特性を知るチャンスであり、 直すことはできなくてもカバーするにはどうしたらいいか教え、それを実践するいい機会になると思います。

ただ、先々を考えた訓練であることを意識するあまり、小言を言うだけにならないように、私自身注意しています、あくまで私の立場は親であり、お手伝いとしてやらせているという大前提を崩してしまっては、娘は心を閉ざしてて聞く耳を持たなくなってしまうと思うのです。

私が高校生くらいの頃でしょうか。私の母が「結婚したとき困るから、お母さんが料理するときは横で手伝いなさい。」と言いだし、ことあるごとに家事についてとやかく言われるようになりました。その母の態度に私は嫌悪感を抱き、意地になって手伝おうとはしませんでした。

お手伝いは今回のように苦手をカバーする練習をしたり、生活能力を身につけたり、働くことの大切さを教えることもできるでしょう。
ただ、その目的が「お手伝い」の範囲から逸脱すればするほど、子どもは嫌になってしまうだけではないかと思うのです。

私にとってお手伝いとは、子どもの年齢、能力に合わせて家事を負担してもらうものであり、その子の状況に合わせて無理なく、柔軟にやってもらえばいいものです。

その過程で、娘自らが気づきを得て、苦手や困難を乗り越えるヒントを学ぶことができればと考えています。

確かに時間こそかかると思いますが、娘と二人三脚で、マイペースに進めることを忘れないようにしたいです。

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