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スクールカウンセラーとは? 具体的な仕事内容から相談できること、相談する時のコツをご紹介!

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スクールカウンセラーとは?

スクールカウンセラーとは? 具体的な仕事内容から相談できること、相談する時のコツをご紹介!

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スクールカウンセラーとは、学校現場において児童や生徒、その保護者に対して、臨床心理に関する専門知識を生かしながらサポートしていく専門家を言います。様々な心の問題をもつ人たちを、専門的な知識や技法を使って支援する役割を担っています。

近年は教職員に対する心のケアや研修も行ったり、事件や事故が発生した時に被害児童・生徒のサポートを行ったりと、より幅広い業務が求められています。

スクールカウンセラーは、平成7年(1995年)に国が打ちだした「スクールカウンセラー活用調査研究委託事業」により各学校に配置され始めました。その後、いじめ問題や東日本大震災をはじめとする災害の発生、貧困問題などから、子どもの心をケアする重要性が広まり、全部の公立小中学校で、スクールカウンセラーの配置が進められてきました。

平成28年時点でスクールカウンセラーは2万5500校の公立小中学校に配置されていて、これは全公立小中学校の約93%にあたります。また私立の小中学校・高等学校は、公立小中学校がスクールカウンセラーに関する事業を始める前からスクールカウンセラーを配置し始めています。そのため、小中学校全体として、スクールカウンセラーが配置されている割合は年々増えてきています。


http://shinri-kenshu.jp/wp-content/uploads/2016/05/04hirai.pdf
平成28年チーム学校の構想における心理職の役割-文部科学省

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佐藤誠・高塚雄介・福山清蔵/著『続 電話相談の実際 各論編 (相談シリーズ) 』双文社/2005

スクールカウンセラーの仕事内容って?

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具体的に、スクールカウンセラーはどんな仕事をしているのでしょうか。スクールカウンセラーとして最も中心的な仕事が、児童・生徒や保護者へのカウンセリング対応です。

カウンセリングは児童生徒・保護者からの希望で行われたり、担任教員からの紹介で行われたりとさまざまです。児童生徒の場合、カウンセリング内容は友人関係に関するものが多く、他には担任教員との関係、家庭での悩みなどがあるようです。

また、発達障害があり学校生活で困り感を抱いている子どもへのSST(ソーシャルスキルトレーニング)や、災害や環境変化などによるストレスに対して心のケアをなど、様々な支援を行います。

保護者の場合、子どもの友人関係や学校生活での問題行動に関する相談のほか、直接言いづらい学校への不満について相談することで、スクールカウンセラーから学校側へ指導方法について掛け合ってもらうこともできます。また、家庭状況に関するカウンセリングを行うこともあります。

担任教員には直接言いにくい悩みも、第三者であるスクールカウンセラーになら話しやすいのではないでしょうか。
スクールカウンセラーは、中立な立場から、教員と保護者の関係を調整する役割を担ってくれています。

スクールカウンセラーは、教員に対してもカウンセリングを実施することがあります。カウンセリングは、支援が必要な児童生徒・保護者に対し、教員がどうサポートしていけばよいのかに関するアドバイスが主な内容です。

他にも、教員自身に悩みがある時のケアもスクールカウンセラーが行い、教員がより快適に働けるように相談や助言をすることがあります。

カウンセリング対象の児童・生徒はもちろん、すべての子ども達が快適に学校生活を送ることができているかどうかを見るため、子ども達の生活現場へ実際に足を運ぶことも、スクールカウンセラーの大切な仕事です。

授業や昼休みの様子だけでなく、クラブ・委員会活動、学童保育にも足を運び、子ども達の様子を確認し、学校生活を送る環境として適切かどうか確認します。

スクールカウンセラーは、心のケアが必要になった対象者の支援だけでなく、何か問題が発生するのを防ぐためにさまざまな活動をします。

例えば、「スクールカウンセラーだより」のような配布物を作り、スクールカウンセラーという相談窓口の認知を広めたり、児童・生徒・保護者・教職員などにアンケート調査をし、ストレスチェックを行ったりします。
また、スクールカウンセラーは、その多くが臨床心理士の資格をもつ専門家です。そこで、その知識を生かして、保護者・教員向けに、児童・生徒の心のケアや、よりよい教育相談のための研修を行うこともあります。

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石村 郁夫 /著『カウンセリングのすべてがわかる-カウンセラーが答える本当の心理学- (ぐっと身近に人がわかる) 』技術評論社/2010

スクールカウンセラーになるには?

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基本的にスクールカウンセラーになる人は、臨床心理士、精神科医、大学教員のいずれかが多いです。スクールカウンセラーの募集・採用は、各都道府県・指定都市ごとに行っています。文部科学省は、スクールカウンセラーの資格要件を以下のように定めています。

「スクールカウンセラー」

(1)財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士
(2)精神科医
(3)児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学の学長、副学長、教授、准教授又は講師(常時勤務をする者に限る)の職にある者又はあった者

「スクールカウンセラーに準ずる者」

(1)大学院修士課程を修了した者で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験を有する者
(2)大学若しくは短期大学を卒業した者で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、5年以上の経験を有する者
(3)医師で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験を有する者

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/066/shiryo/attach/1369883.htm
このような条件のもと、書類と面接によって選考が行われます。スクールカウンセラーの割合として一番多いのは、臨床心理士です。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/120/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2016/02/12/1366025_07_1.pdf
学校における教育相談に関する資料|平成27年-文部科学省

また、2017年9月15日に公認心理師法が施行されたことによって、心理職初の国家資格「公認心理師資格」が誕生しました。
誕生したばかりの資格であるため、各自治体は順次対応していくようですが、これからはスクールカウンセラーの条件として公認心理師も追加されることが予想されます。

スクールカウンセラーにどんな相談ができるの?

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スクールカウンセラーには、学校に関する悩みだけでなく、その背景にある家庭環境の問題や、個人の心身の問題など幅広く相談できます。例えば、次のようなことについて相談することができます。

・不登校・いじめ問題
・家庭環境
・教職員との関係
・暴力行為・非行・不良行為
・心身の健康・保健
・児童虐待
・学業・進路
・友人関係
・発達障害
・貧困対策
・小中連携
・校内研修・教育プログラムなど

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2016/11/08/1379093_1.pdf
平成27年度スクールカウンセラー等活用事業実践活動事例集

このような問題に対して、スクールカウンセラーはどのように関わり、解決を目指しているのでしょうか。具体的な事例を元にご紹介します。

小学校2年生のA君は、落ち着いて集団の活動に取り組むことができません。担任のB先生は、授業中すぐに席を離れてしまうA君をつい叱ってしまい、自分の指導に行き詰まりを感じていました。

母親との相談の中で、自分の正直な気持ちを伝えたB先生は、スクールカウンセラーとの相談を勧めました。


最初は懐疑的だった母親も、継続したカウンセリングの結果、自分の子どものありのままを受け入れられるようになりました。

さらに、アトピー性皮膚炎の受診と合わせて訪ねた専門医から、LDとの診断を受け、以前は自分の子を好きになれず、手もつなげなかった母親が「この子のためなら何でもしてやりたい」と強く感じるようになり、対応も穏やかになって行きました。B先生も、カウンセラーのコンサルテーションを受け「ほめるときはうんとほめ、叱るときははっきり分かるように短く叱る」という対応を続けた結果、クラスの友達も担任のまねをして、A君をほめることが多くなりました。帰りの会などでも「叩いたけど謝ってくれた」「ちゃんとイスに座っていた」など良いことを取り上げて発言し、それにつれて、A君の行動は次第に落ち着いてきました。

http://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/kokoro/shido/shiryo/77_sc.html
この事例では、スクールカウンセラーが、「落ち着いて集団の活動に取り組むことができない」児童・「自分の子どもを受け入れることができない」保護者・「児童へどう指導してよいかわからず、つい叱ってしまう」教員それぞれに介入しています。

学校生活での問題は、児童・生徒、保護者、教員の誰か1人の問題ではなく、さまざまな問題や背景が絡み合って発生します。スクールカウンセラーの強みは、臨床心理の専門知識を生かしつつ、問題に対して多方面からアプローチできる点にあると言えます。

元気がなさそうな本人の様子に気づき、スクールカウンセラーが声をかけたところ、「小学校 4 年生までは仲が良かった友達から、無視されるようになった」と話す。
話しかけても、「無視してないよ。」と言われるが、たびたび無視されることが続いた。原因が分からず、今まで楽しかった学校が、楽しくなくなってしまった。

■スクールカウンセラーの取り組みと児童の変化

5月:スクールカウンセラーとの相談を開始。
・いつ無視がはじまったのか、何の時間だったのか、具体的にどんな無視の仕方だったのかなど詳細を話してもらった。
・それにともなって、どんな気持ちがしたかを丁寧にききとっていった。
・「また仲良くなって楽しい学校にしたい」という本人の希望を確認し、その目的に向けて一緒に考えていこうと話した。
・困ったことがあった時は、周りの人を頼っていいこと、そして、それはとても大事なことであると伝えた。

5月中旬:どのような無視なのかを一緒に考えていく
・話をしていくうちに、相手の無視の仕方に特徴があることがわかった。

・無視をしてくるのは特定の時間だけであることがわかった。
・相手はどうやら”無視しているつもりはない”と思っていることがわかった。5月下旬:相手と無視について話し合う
・無視について整理できたので、直接相手と話し合ってみることを提案し、スクールカウンセラーも同席した。
・相手は無視のしぐさに全く気付いておらず、言われて初めて気付いた。そのしぐさが無視ではないということを本人が理解できた。
・お互い仲良くしたい気持ちがあることを確認した。
・無視されたと思うことはなくなり、楽しく学校に通っていると、後日、本人から報告があった。

https://www.city.adachi.tokyo.jp/kodomo-kyouikusoudan/k-kyoiku/shochu/documents/soudanjirei2.pdf
子どもにとって、友人関係の悩みは学校へ行くことが苦しくなるほど大きな問題です。スクールカウンセラーの多くは、子どもの学校での過ごし方を把握するために、学校生活の様子を見回っています。その中で、ちょっとしたトラブルの存在を早く見つけ、早期解決を目指すことで、深刻な問題に発展することを予防しています。

スクールカウンセラーに相談するには?

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実際に、「スクールカウンセラーに相談したい!」と思ったら、どのように申し込み、カウンセリングを受ければよいのでしょうか。

以下では、多くの学校が実施している、カウンセリングまでの流れを紹介します。ただし、学校ごとに、スクールカウンセラーに相談を依頼するための方法は異なりますので、必ず自分の子どもの学校のスクールカウンセラーに関する決まりなどを確認するようにしましょう。

スクールカウンセラーに相談したいと思ったら、多くの学校ではまず、事前にカウンセリングの予約をする必要があります。現状、スクールカウンセラーはほとんどが非常勤であるため、多くの学校はスクールカウンセラーが来校する日を決めています。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/052/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/05/07/1357412_02_1.pdf
平成27年3月9日(月)中央教育審議会チーム学校作業部会(第4回)「スクールカウンセラーの役割と活動の在り方」

カウンセリングの予約をするには、担任教員またはスクールカウンセラー担当教員へ連絡を取るか、「スクールカウンセラーだより」のなどの配布物に記載している連絡先へ、直接連絡する必要があります。

多くのスクールカウンセラーは、定期的に学校の様子や心のケアに関するアドバイス、カウンセリング可能日時などを記載した「スクールカウンセラーだより」をつくっています。このような配布物をチェックして、スクールカウンセラーのスケジュールを確認するようにしましょう。

カウンセリングが決まったら、限られた時間で悩みや話したいことを満足に話し合うことができるように、前もって話したいことを考えたり、メモなどに簡単にまとめておいたりするとスムーズです。

カウンセリングは親子で受けるのはもちろん、親だけ、子どもだけというケースも可能です。親だけでスクールカウンセラーに会い、家庭での子育てに関して相談することもできます。何か悩みや困りごとがある時、相談場所の一つとしてスクールカウンセラーの存在を覚えておくとよいでしょう。

まとめ

スクールカウンセラーとは? 具体的な仕事内容から相談できること、相談する時のコツをご紹介!

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スクールカウンセラーとは、学校現場で臨床心理の専門知識に基づき、児童生徒・保護者・教員に対してカウンセリングや支援の手助け、心のケアを行う専門家です。

学校で何か相談するとなると、最も身近な担任教員を思い浮かべがちですが、場合によっては担任教員も当事者であることが考えられます。そんな時、スクールカウンセラーに相談すると、当事者が抱える問題を客観的に、そして専門的に解決してもらうことが期待できます。

保護者のみでスクールカウンセラーと話すことも可能なので、子どもの学校生活や家庭での過ごし方など不安に思った際に相談してみると、解決の手立てが見つかるかもしれません。子どもの学校生活、不安だけど誰に話したらよいかわからない…担任教員には相談しづらい悩みがある…そんな方は、スクールカウンセラーに一度相談してみてはいかがでしょうか。

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