【発達ナビの読書週間】星槎大学・阿部利彦先生のオススメ本
阿部利彦先生に聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!
星槎大学・発達支援臨床センター長の阿部利彦先生は、特別支援教育、学校カウンセリングがご専門。
発達障害のある子の魅力やサポート法についての講演・教員研修で全国各地を飛び回り、その取り組みはNHK Eテレなどでもたびたび取り上げられています。
そんな阿部先生に、親子のかかわりについて学べる本や、親子で楽しめる感動作を教えていただきました!
『クラスで気になる子の支援 ズバッと解決ファイル V3 対談編: 達人と学ぶ!ライフステージを見据えたかかわり』
「井上雅彦先生をはじめ、梅永雄二先生、宇野宏幸先生、藤野博先生、川上康則先生など特別支援や教育相談で私が尊敬している専門家の先生方との対話的で深い学びをまとめた一冊です。
なにせ各先生方の思いがいっぱいつまっています。皆さんも聴き手である私と一緒に先生方から支援のヒントをたくさんもらって下さいね。」(阿部利彦先生)
阿部先生と特別支援教育・発達障害児者支援の第一人者が、「気になる子」の支援のコツとワザについて考える対談集を発達障害について学べる本として教えていただきました。
登場されるのは11人の専門家。「気になる子」への支援の基本を学ぶ第一部、ライフステージから見る「気になる子」への支援を取り上げる第二部、「気になる子」の支援の基本に立ち返る第三部に分けてそれぞれの専門分野から学ぶことができます。
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』
「タイトルが結構覚えにくい本書、9歳の男の子オスカー君が主役の物語です。
あの9.11が土台となっている本ですが、ストーリーについては私が説明してしまうと皆さんの楽しみが半減してしまうので、先入観なしに読んでいただきたいと思います。
映画(2011年公開)については、発達障害の知識があるとすごく共感できる作品です。こちらもぜひ。」(阿部利彦先生)
阿部先生が大好きな本としてあげて下さったのが2001年のアメリカ同時多発テロ事件を背景にした小説『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』。
作者ジョナサン・サフラン・フォアはアメリカの若手作家です。世界的ベストセラーとなった本書には「ビジュアル・ライティング」という実験的な手法が用いられています。『リトル・ダンサー』『めぐりあう時間たち』のスティーブン・ダルドリー監督による映画化でも話題となりました。
『ワンダー』
「本書も映画化されていますが、日本ではまだ公開が決定していません。主人公はオーガスト君。
彼は発達障害ではなく生まれつき外見に障害がある男の子です。
10歳にしてはじめて学校に通うことになったオーガスト君と周囲の人たちの視点で物語が進みます。本書のテーマ(例えばいじめ)について親子で話し合ってみるのもいいかも知れません。」(阿部利彦先生)
阿部先生がおすすめする親子で読んでほしい本は、全世界で発行部数500万部を超える児童書『ワンダー』です。
外見に障害がある人に対してまわりの人はどう接したらよいのか、子どもにどのように説明したらよいのでしょうか?
作者のR・J・パラシオさんも、障害のある女の子と出会ったときに子どもたちの前で取ってしまった行動を後悔し、この本を書き始めたとのこと。
本書はいじめをテーマにしていますが様々な人の視点で語られ、感動のあとに明るい気分になれる本です。「人と違うということ」「ふつうとは何か」について親子で考えるきっかけにしてはいかがでしょうか。
阿部利彦先生プロフィール
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阿部利彦(あべとしひこ)
星槎大学・発達支援臨床センター長。
『新・発達が気になる子のサポート入門』(2015年,学研)、『見方を変えればうまくいく!特別支援教育リフレーミング』(2013年,中央法規出版 )、『見方を変えればうまくいく!発達が気になる子の子育てリフレーミング』(2015年, 中央法規出版)、など著書多数。