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【BOOK】「うちの子、LD(学習障害)かも」と思ったとき、手に取りたい3冊を紹介

LITALICO発達ナビ

LD(学習障害)とは?


LD(学習障害)は、全般的な知的発達に遅れは見られないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力の1つ以上の習得や使用に困難がある状態のことです。

イラストや例でLDの全体像が分かる『LD 学習症(学習障害)の本』


筑波大学教授で発達行動小児科学を専門とする宮本信也先生が監修している本です。

裏表紙に ”きちんとした対応、サポートで、LDの子供たちの生きにくさは、ぐぐっと改善されるのです”とあるように、当事者だけでなく広くLDを知ってほしいという思いが込められています。

内容は「LDとは」「ウチの子がLDだったら」「LD教育とは」という3章に分かれ、イラストと短い文で構成されています。

第1章ではLDの特徴や具体例が挙げられています。鏡文字を書く、似た文字を判読することが苦手、数字の繰上りができないなど、子どもの行動と照らし合わせやすくなっています。また、その行動が引き起こすトラブルについても書かれているので、心当たりのある人もいるかもしれません。

第2章ではLDのサインや相談先、接し方などが説明されています。
LDは育児に問題があったのか、子供にLDについて聞かれたらどうすればいいかなど、さまざまなケースを想定して解説がされています。どのようにサポートしたらよいか悩む保護者に寄り添う内容です。

第3章ではLD教育へと話は変わり、LDのある子どもを持つ親が不安に思う学校の体制などが分かります。特別支援学級など、聞いたことはあっても具体的なことは分からない……というサポートについて知ることができ、LDの子供の将来を考える希望となります。

全体を通してフラットな語り口で、分かりやすく解説されています。1時間程度で読み終わるボリュームですが、一通りLDについて理解することができます。

LDとの付き合い方が分かる『怠けてなんかない!ゼロシーズン』


国際ディスレクシア協会会員で教育ジャーナリストでもある品川裕香さんの著書です。ディスレクシアとは「読み書きのLD」とも言われます。
文字と音が結び付きにくく、読み書きに困難が生じるのが特徴です。

この本ではディスレクシアの特徴やものの見え方感じ方、さらには苦手を緩和する訓練についても書かれています。前述の『LD学習症(学習障害)の本』よりも少し踏み込んだ内容です。日本語の音韻ルールや脳の情報処理システムなど、より専門的な解説が多いのが特徴です。

言葉を聞く力が弱いなら音韻を意識して手を叩く遊び、見て覚えるのが苦手なら神経衰弱ゲームを取り入れるなど、子どもの苦手に合わせた数十の訓練も紹介。苦手、分からない、難しいで終わらず、それを緩和して生きやすくする方法がわかるため、安心につながります。

子どもの苦手をサポートしたいのに何をすればいいのかわからない。苦手をイメージできずどう声をかけてよいかわからない。
不安や焦りで感情的になってしまうときこそ読みたい一冊です。

“どの子もみな、「できないこと、苦手なことが少しでもできるようになりたい」と願っています”

ディスレクシアを個性だからと放置するのではなく、苦手を緩和し社会での不自由をなくしてあげたいと考える著者のメッセージに勇気づけられます。

親の手記に共感『ぼく、字が書けないだけど、さぼってなんかいない』


LDやディスレクシアの概要や特徴が分かる上記2冊と異なり、この本は親たちの手記を中心として編まれた本です。LDを含む読み書き困難を抱えた発達障害の子供たちの苦労、そしてそれを目の当たりにしている親たちのリアルな苦悩が伝わってきます。

編集したのは窪島務先生をはじめとするNPO法人滋賀大キッズカレッジの手記編集委員会。ほかの先進国と比較すると、日本は読み書き障害のある子どもへの対応が遅れていると窪島先生は語ります。LDの子を持つ親が抱く思いや願いをまとめ、学校や行政の理解とサポートを訴える本です。

本書の半分を占める親や本人の手記は、切実な思いであふれていました。
子供の声を聞かない先生、こころない言葉を浴びせる周りの親たち、保護者とのかかわりを避ける学校…読むだけで心が張り裂けそうになります。

でも、もちろんつらい話ばかりではありません。担任が代わったことがきっかけで学校へ行けるようになった子供もいますし、LDに理解を示す友達ができたことで学校生活が楽しくなった子供もいます。そしてキッズカレッジに救われた親たちも。

「もしかしてLDかも」と思った段階で読むには少々苦しい内容かもしれません。LDをとりまく親子の現実に不安と戸惑いを覚えるかもしれません。ですが、そんな現実を知ることで漠然とした不安ではなく、子供とともに何をすべきなのかを考えることができます。

本人や親の生の声は多くのことを教えてくれます。
会ったことはなくとも、先輩として仲間として励ましてくれているように感じることができそうです。

一通り知識を得た後に読むと心に響きます。LDを受け入れ、ともに生きていくことを考えるとき、味方になってくれる一冊です。

まとめ


「うちの子はLDかもしれない」と思ったときに手に取りたい3冊を紹介しました。

どの本も専門的な内容ではあるものの、LDについての知識がなくても読みやすく、分かりやすい文章で書かれています。すらすらと頭に入ってくるので、読み終わったときには「子どもと話してみよう」「本に書いてあったアレをやってみよう」とポジティブになれるでしょう。

いずれも、LDのある子どもとのつきあい方や、サポートのヒントが詰まった本です。

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