不登校も経験した娘、涙の卒業式…。辞めたがっていた高校の「学習発表会」で見た成長とは
高校の卒業式で大号泣。小・中学校の式では涙を見せなかった娘なのに…。
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それは卒業式の中盤での出来事でした。
「卒業生の言葉」の途中で娘が泣き出しました。嗚咽だった泣き声は、徐々に号泣に変わっていきました。
小学校でも中学校でも卒業式で涙を見せたことがなかった娘。ましてや高校では「学校を辞めたい」と遅刻や欠席が続いた日もあったのに、なぜ?その理由を私は知っていました…。
卒業式の数日前に開かれた、ナゾの学習発表会
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卒業式を目前に控えたある日、学校から「学習発表会のお知らせ」が届きました。
卒業式の数日前に開催される学習発表会って?授業参観とも違うみたいだけど、今さら何を発表するというの?娘に内容を聞いても「学習発表会は学習発表会だよ」としか教えてくれませんでした。
ナゾの学習発表会、その内容とは…?
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客席には在校生と卒業生の保護者、先生達。
会場の外では卒業生たちが円陣を組んで掛け声を掛けあっていました。らしからぬ雰囲気の中始まった学習発表会は司会進行もスクリーンの映像もすべて卒業生が主体となって行っていました。
一般的に学校の学習発表といえば、一年間で学んだ学習の内容を保護者の前で発表したり、歌や楽器の演奏、お芝居などが主です。
確かに今回の学習発表会も生徒が高校生活で学んだこと、身につけたこと、感じたことの発表でしたが、その内容は赤裸々で「発表」ではなく「告白」に近いものでした。
一味も二味も違う学習発表会の内容は
「私は一年生の時は一人ぼっちでした。クラス行事の時、私は一人で行動してました。すごく辛かったです。
でも二年生になって徐々に友達ができました。
今“友達がいない”“一人ぼっち”だと思っている一、二年生も、あきらめなければきっと友達ができると思うよ。」と発表する生徒。
「私は学校を辞めたくて仕方なかった。休みや遅刻ばかりで一年生の時点で出席日数が足りなくてやばい状態だった。」そう語ったのは今までそんな風に悩んでいたようには見えなかった生徒。
「ダルマって凄いと思うんです。僕は転んでも転んでも起き上がるダルマのようになりたい。」とニコニコと語った生徒はそれまでどれだけ多くの壁にぶちあったてきたのでしょう。
「○○先生から愛をもらった!」と言って先生を驚かせた生徒。
「私は将来、実況者(ユーチューバ―)を目指してます。でもね、後輩のみんなはネットやラインの時間を5分減らしてその時間を家族や自分の為に使うといいよ。
きっとそれが将来の役に立つと思うから。」確たる夢を持ち自分の経験を後輩に伝える生徒。
表面上は毎日を飄々と過ごしていたように見えていた生徒たちが、実は皆、娘と同じような悩みを持ち葛藤していたんだと私は知りました。
「ありのままの自分」って?娘が発表したこととは…
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スクリーンに映し出された「ありのままの自分」というメッセージの前で、娘は、はにかみながら語りました。
「このタイトルからして、皆さん某アニメを思い浮かべるでしょ? 私はずっと周りの大人が望む“良い子”を演じていました。自分を良く見せようとしていた私は“張りぼての優等生”で、就活も空回りして上手くいきませんでした。でも、ありのままの自分を出したら就職も上手くいきました。
本当の自分を出すのは怖かったけど、出したら何だか楽になって今みたくなりました。えへへ」
素の自分を出せるようになった娘に、思うこと
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学校に心を開ける友達がいない。
学校を辞めたい。
就職や自立が不安で仕方ない。
感情のコントロールができない。
大人に反抗したくてたまらない。
もっと自分の好きなことをしたい。
私は高校の三年間、娘のさまざまな悩みを目の当たりにしてきました。
私が一番心に残った娘の言葉は、最後の娘の「えへへ」でした。
(本当の自分を出せて良かったね。
実はあなたの周りにはそんな素のあなたを受け入れてくれる人ばかりだったんだよ。時間がかかったけどそれに気が付けて良かったね。)
私は心から思いました。
発表の内容を知らなかった先生方も意外な生徒たちの一面を知ったようでした。それまでの娘の様子を知っていたお友達のお母さんも「娘さん、吹っ切れたみたいで良かったね。」と言っていました。
この学習発表会を見ていなければ卒業式の娘の号泣の本当の訳は、私には分からなかったと思います。
卒業後にも、きっと深まる関係に
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卒業式では娘以外にも沢山の生徒が泣いていました。
その背中を優しくとんとんと叩く同級生の姿を見て、私は(娘はあの時この学校を辞めなくて本当に良かった)と思いました。
素の自分を受け入れてくれる先生と友達が傍にいた。気づくのが少し遅かったかもしれないけれど、きっとその分これから長く長く素敵な関係が続いていくことでしょう。