愛あるセレクトをしたいママのみかた

突発性難聴とは?急に聞こえなくなったけど病院に行くべき?症状や治療法も解説します

LITALICO発達ナビ

突発性難聴とは

突発性難聴とは?急に聞こえなくなったけど病院に行くべき?症状や治療法も解説します

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=28144085884

突発性難聴は、突然片耳の聞こえが悪くなる病気です。2000年以降、何人もの人気歌手が発症を公表したことで、多くの人にこの病気が認知されました。

何の前触れもなく生じた難聴のうち原因が不明、もしくは不確実なものが突発性難聴とされています。診断も治療法も確立していないという、まだまだ分かっていない部分の多い病気でもあります。

耳の奥、内耳という部分に何らかの障害が起こっていると考えられています。

突発性難聴の原因は分かっていませんが、いくつか有力な説はあります。

一つはウィルス感染です。ウィルスと言っても、難聴を引き起こすウィルスがあるわけではありません。
インフルエンザやはしかなどのウィルスに感染し内耳が炎症、結果として難聴につながってしまうという説です。

もう一つは内耳循環障害説です。内耳に十分な血液が届かない、血流に問題があるとされる説ですが、ほかの器官は正常です。

ほかにはストレスも関係しているとも言われます。体調不良や過労を含めたストレスは多くの病気の一因となりますし、直接の原因とはならなくとも、発症をしやすくすることはあります。

とはいえすべて原因としては可能性の域を出ません。この原因不明なところが、突発性難聴の特徴なのです。

突発性難聴の症状

突発性難聴とは?急に聞こえなくなったけど病院に行くべき?症状や治療法も解説します

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10248003996

突発性難聴の代表的な症状は病名の通り、突然耳が聞こえにくくなるというものです。
朝起きたときや店を出たときなど、本人には聞こえにくくなった瞬間がはっきりと分かります。

「まったく聞こえない」から「なんとなく聞こえづらい」まで、聞こえにくさの程度は人によって異なります。突発性難聴の診断を受けるまで難聴の自覚がないこともあります。

共通しているのは、片耳にだけ症状が表れるということです。両耳の場合は別の病気である可能性が高いです。ほかに突発性難聴でよく見られる症状は、耳鳴りとめまいです。

キーンという高音、ジーというセミの鳴くような音などの耳鳴りが起こることがあります。飛行機に乗った時のような、耳の詰まった感じを訴える人もいます。


耳鳴りの強さや種類は様々ありますが、それで突発性難聴かどうかを鑑別することはできません。難聴は軽度でも、耳鳴りがあることで突発性難聴と診断されることもあります。

めまいには、目が回る感覚の「回転性」、体がフワフワ浮いているように感じる「不動性」、立ちくらみのような「失神性」などの種類があります。

突発性難聴で現れるめまいは「回転性」です。耳の病気によく見られるもので、ふらついて立っていられなくなったり真っすぐ立てなくなったりします。嘔吐や吐き気を伴うこともあります。

突発性難聴と症状が似ている病気

突発性難聴とは?急に聞こえなくなったけど病院に行くべき?症状や治療法も解説します

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11038023673

突発性難聴は突然片耳が聞こえにくくなる病気ですが、原因がはっきりしていません。難聴、耳鳴り、めまいなどの症状だけでは他の病気の可能性もあるのです。


突発性難聴と症状が似ている病気には以下のようなものがあります。

・外リンパ瘻(ろう)
・メニエール病
・急性低音障害型感音難聴
・加齢性(老人性)難聴
・聴神経腫瘍
・騒音性難聴・音響外傷
・内耳炎

外リンパは内耳の中を満たす液体のことで、それが内耳から中耳に漏れてしまう病気が外リンパ瘻です。主な症状は難聴やめまい、水の流れるような耳鳴りなどで、突発性難聴と誤診されやすい病気でもあります。

突発性難聴とは違い、原因ははっきりしています。原因は内耳と中耳を仕切っている部分が破れてしまったこと。気圧の変化や外傷などきっかけが分かることもあれば、はっきりとは分からないこともあります。仕切り部分が破れてしまうときに「ポン」「パチン」という破裂音(ポップ音)が聞こえる人もいます。

薬物治療や点滴治療で治らなければ、手術で治療を行うこともあります。


激しいめまいが特徴のメニエール病。吐き気や冷や汗、頻脈をともなうこともあります。

回転性のめまい、耳鳴り、難聴と、症状が突発性難聴とよく似ているうえ、多くは片耳だけにその症状が見られることも似ています。

しかし、メニエール病には繰り返し症状が起こるという特徴があり、発症が一回限りの突発性難聴とはこの点で異なっています。

原因は内耳にリンパ水腫ができたことだと考えられていますが、水腫が発生する原因はまだ解明されていません。過労やストレスがメニエール病を引き起こすとも言われ、その点でも突発性難聴と共通しています。

低音の難聴や耳鳴り、耳の詰まる感じが特徴の急性低音障害型感音です。突発性難聴の男女比がほぼ同じであるのに対して、急性低音障害型難聴は圧倒的に女性の患者が多いのも特徴です。


突発性難聴と比べると症状は軽く、再発の可能性もあります。

ストレスや過労で発症しやすくなりますが、原因はメニエール病と同じく内耳の蝸牛部分の水腫です。めまいの有無がメニエール病との大きな違いです。

難聴の中では最も一般的なもので、名前の通り原因は加齢です。徐々に聞こえが悪くなるのが突発性難聴との大きな違いです。

聞こえの悪さにも特徴があります。年齢を重ねたことで聞こえなくなるのはまず高音で、交通機関のアナウンスが聞き取りづらくなります。また、聞き間違いも増えます。


加齢によるものなので治療はできません。日常生活の不便を取り除くため、補聴器をつける人もいます。

内耳から脳へ情報を送る聴神経に腫瘍ができる病気が聴神経腫瘍です。

腫瘍が神経を圧迫することで、難聴、耳鳴り、めまいといった症状が生じます。聴神経のすぐ近くを通る顔面神経を圧迫すると、顔面マヒが起こる場合もあります。

良性の腫瘍で発育のスピードも遅いため、腫瘍が小さければ診断後は経過観察となることもあります。腫瘍が大きくなった場合は耳鼻咽喉科で摘出手術をしたり脳神経外科で開頭手術をします。

どちらも音が原因で起こる難聴です。

騒音性難聴は、長期間騒音にさらされていたことで徐々に進行する難聴です。内耳にある蝸牛の膜が破れたり血流が滞って細胞が傷ついたりすることで起こります。

両耳に症状が現れる点や徐々に進行する点が、突発性難聴とは異なります。長時間騒音を発する場所で働いている人によく見られることから、職業性難聴とも呼ばれます。

コンサートの大音量や爆発音など、短時間の騒音が原因で耳鳴りや難聴を感じるのが音響難聴です。耳の痛みを感じることもあります。

騒音性難聴と同様、蝸牛の細胞が傷ついて起こります。軽度であれば、時間の経過で細胞は修復され、元に戻ることもあります。

主に中耳炎の症状が内耳に広がって起こるのが内耳炎ですが、おたふくかぜやインフルエンザなどのウィルスが内耳に感染する場合もあります。内耳には痛みを感じる神経がないため、炎症があっても痛みは感じません。

症状は突発性難聴と同じく、難聴、めまい、耳鳴りなどです。内耳炎は診察や画像診断で判断します。

突発性難聴の治療法

突発性難聴とは?急に聞こえなくなったけど病院に行くべき?症状や治療法も解説します

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10133000310

突発性難聴の治療には内服や点滴での薬物治療が一般的ですが、症状に合わせて追加治療を行うこともあります。

発症後すぐや症状が重い場合は入院を勧められることもあります。

薬物療法の代表はステロイド薬の投与ですが、「米国耳鼻咽喉科頭頸部外科アカデミーが提唱した診療ガイドライン(2012年)」によると、ステロイド投与は選択肢の一つという程度です。強く推奨されるものではないということです。

しかしステロイド投与以上に科学的根拠の裏付けがされ、有益で害のない治療法は確立しておらず、難聴に伴うハンディキャップを考えると、ステロイド投与が一般的な初期治療になっています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/117/1/117_62/_pdf
【参考】突発性難聴治療のEBM(2014)

http://www.entnet.org/content/clinical-practice-guideline-sudden-hearing-loss
Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss

ほかに血管拡張薬や血流改善薬、ビタミン剤などを併用することもあります。

原因がはっきりと分かっていないため、薬物といっても直接病気の元を絶つものではありません。内耳の血液循環を良くし、細胞や神経に栄養を与えて動きを活性化させる働きがあるものを用います。発症からの時間や症状に合わせて、薬物治療と並行して別の治療法が用いられることがあります。たとえば内耳に大量の酸素を送る高気圧酸素療法や星状神経節ブロックなどです。

高気圧酸素療法は循環改善を目的に行われます。地上よりも気圧の高い環境で高濃度の酸素を吸入し、内耳へ多くの酸素を送り、症状の改善を促します。脳梗塞や一酸化炭素中毒などの治療に使われていましたが、突発性難聴にも活用されるようになりました。

同じ循環改善でも交感神経(星状神経節)を麻痺させて緊張を緩めるのが星状神経節ブロックです。交感神経が過緊張になると血管は収縮し、血流が悪くなります。星状神経節の近くに局所麻酔を注射して交感神経の働きをブロックすることで、緊張がゆるんで血流も良くなるという治療法です。

突発性難聴の治療は通院でも可能ですが、症状が重い場合は特に入院を勧められることがあります。集中して治療に努めることができ、安静にもしやすいというのが理由です。

一般に早期に治療を始めたほうが治りが良いとされています。突発性難聴の診断後すぐに服薬や点滴で治療を開始すると考えると、入院は有効な手段と言えます。

また、ストレスも一因と考えられます。家事や仕事などをせず休養や睡眠をしっかりとって安静にする環境を作るのにも、入院は有効です。

たとえ重症でなくとも、入院できると治療も安静もしやすくなります。病院で診断を受けるときには入院という選択肢も考えておきましょう。

突発性難聴は完治するのか

突発性難聴とは?急に聞こえなくなったけど病院に行くべき?症状や治療法も解説します

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10131000814

2016年の論文には、121例を観察したところ76%が聴力改善に至ったとのデータがあります。聴力改善とは完治以外に、ある程度回復したという状態も含みます。

突発性難聴で完治する、つまり以前の聴力まで戻るのは約3割です。残りはある程度まで聴力が改善した、もしくは変化なし(不変)です。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/audiology/59/1/59_58/_pdf/-char/ja
参考:突発性難聴における聴力改善経過と改善率に関する検討(2016年)
症状が軽ければ治りやすいと思われがちですが、一概にそうとも言えません。

確かに難聴の初期症状が軽いほど治療によって完治する可能性は高いと言えます。しかし同時に、まったく症状が改善しないことも多くあるのです。たとえ症状が軽くとも、しっかりと治療をするのが良いでしょう。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/audiology/59/5/59_519/_pdf/-char/ja
参考:突発性難聴の治療成績(2016年)

突発性難聴は原因、治療法とも確定されていませんが、できるだけ早く治療を受けることが良いとされています。特に「発症から2週間以内の治療を」という文言は多くの病院で言われています。

ですが、早期に治療を開始すると治りが良いというデータの中には、自然治癒の症例が含まれている可能性もあります。治療が早かったことで症状が改善されたのか、自然治癒によるものかは判別できません。

もちろん治療は早く始めるに越したことはありませんが、発症から時間をおいてしまったからといって諦める必要はないのです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/audiology/53/1/53_1_46/_pdf/-char/ja
参考:突発性難聴 ―診断・治療の問題点とそれに対する対応―(2010年)

後遺症には、程度に差はありますが聴力障害や耳鳴りが挙げられます。

高齢であったり難聴の症状が重かったりした場合は回復しにくいと言われます。また、発症して2週間以降に治療を開始した場合も同様です。

聴力が改善せず、日常生活に不便さがあるなら補聴器を使うという選択肢があります。補聴器を使うことで会話もスムーズになり、仕事や人間関係での不便が緩和されます。

難聴と一口に言っても、聞こえの状態は様々です。補聴器も耳穴に収まる小型のものや耳にかけるタイプのものなど、さまざまな種類があります。症状の変化に応じて再調整も必要です。

最近ではインターネットで手軽に買うこともできますが、補聴器を検討する場合はまず耳鼻科で聞こえの状態をチェックしましょう。病院に補聴器外来があったり補聴器相談医がいたりするなら、相談してみるのが良いでしょう。

http://www.jibika.or.jp/members/nintei/hochouki/hochouki.html
参考:補聴器相談医名簿 | 一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会

販売店で補聴器を購入する場合は以下の項目が参考になります。

・日本補聴器販売店協会の加盟店
・認定補聴器技能者の在籍店
・認定補聴器専門店

しっかりと話を聞いてくれ、対応にあたってくれるお店を選びましょう。

http://www.jhida.org/hochouki/description.php
参考:補聴器が必要になったら | 一般社団法人日本補聴器販売店協会

ストレスも突発性難聴の一因とされているため、治療と並行して生活習慣も見直してみると良いかもしれません。

家事に仕事に子育てと、ストレスは気づかないうちにどんどんたまってしまいます。趣味や休養などで定期的に発散させましょう。

突発性難聴の症状としてあげられるめまいや耳鳴りのせいで、寝つきが悪くなったりすぐに起きてしまったりすることもあります。ですが、まとまった睡眠がとれないことを気にしてしまうのは逆効果です。時間ではなく、自分が寝られたと感じられる睡眠をとることが重要です。

突発性難聴の治療法に血流を良くするものが多くあります。その点では適度な運動や入浴も効果的です。食生活では塩分を控え、血流を促進させる食材を積極的にとりましょう。お酒は適量であれば良いのですが、たばこは血管を収縮させてしまうので避けます。

まとめ

突発性難聴とは?急に聞こえなくなったけど病院に行くべき?症状や治療法も解説します

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10736002822

突発性難聴は、ある日突然発症します。まったく聞こえない状態ならすぐ病院へ行く人がほとんどでしょうが、少し聞こえないくらいだとそのまま放置してしまう人もいるかもしれません。

ですが、早めに受診することで症状が改善することもあります。発症に気づいたらすぐに耳鼻科へ行きましょう。

同時に、しっかりと休養をとる準備もしましょう。家事や育児、仕事など、毎日を忙しく過ごしていた場合はストレスがたまっている可能性もあります。リラックスしてゆっくり休める環境を作ることも大切です。

提供元の記事

提供:

LITALICO発達ナビ

この記事のキーワード