自閉スペクトラム症の人が「見ている世界」をVR体験!コミュニケーション障害に影響する特有の見え方とは
当事者や家族だけでなく、支援者をはじめ多くの人たちが、感じ方の特性のために起こる生きにくさや暮らしにくさを理解することで、何が必要なのか・できるのかを考えられるようになるのではないか?と考え、実施されています。
どんな研究がされているの?専門家が解説
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ワークショップでは、認知ミラーリングシステムを用いたシミュレータ開発を行う情報通信研究機構の長井志江先生から、自閉スペクトラム症のある人たちはどのように世界をみているのか?脳のメカニズムや、感じ方の特性について科学的な知見に基づいた研究結果について解説講義が行われました。
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また、実際にどのように世界が見えているのか、映像を見ながら知ることができます。
例えば、暗いところから明るいところに出てきたとき、普通の人よりも瞳孔が狭まるのが遅い、そのために一面真っ白な世界になってしまうという例。「ずっと家にいたい」という理由は、実は外が眩しすぎるせいかもしれません。眩しさへの対策なしに、無理やり連れだされることは、視覚過敏のある当事者にとって苦痛でしかないのです。
また、たくさんの人がいる場所では、コントラストが強くなってしまい、人の顔の印影がとても濃く見えてしまう人の場合、相手の表情の変化をとらえにくくなります。
相手の表情の微妙な変化から気持ちを読み取る力は、子どもの頃から経験を重ねて獲得していくものです。見え方の特性からこの経験の機会が少なくなってしまうことで、気持ちの読み取りがうまくできず、コミュニケーションに影響していることもあります。
また、目に映るさまざまなものの情報がすべて入ってきてしまう人の場合、相手との会話に集中するために視線を斜めに外すことで脳に入ってくる情報を制限し、会話に集中しようとすることがあります。
ですが、その様子を見て「人の目を見て話せない、自信のない人だ」と思われることで、見え方が原因であるにも関わらず”人の目を見られるような訓練が必要だ”とか”自信をつけられるような支援が必要だ”など、誤解をされてしまうこともあります。このように、具体的にさまざまな見え方・とらえ方のパターンを知ることでコミュニケーションの障害と考えられているものの多くに、特有の感じ方・とらえ方が関係していること、その特性を考慮しないで支援をしても解決はされることは少ないだろうという理解につながります。