祖父母の障害受容はじっくり熟成?孫の障害、伝え続けて18年。わが家の場合
幼稚園生時代、夏休みの帰省で。「孫に障害はない!」と完全否定する祖母
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私は娘が1歳頃の時から、周りの同世代の子どもとの違いや育てづらさを感じていました。
健診時に指摘などはされていませんでしたが、娘の幼稚園入園前から療育機関などに相談をしていました。
娘は人見知りをしなかったので、年に数回しか会うことがない祖父母は「本やテレビが好きな大人しい孫」「歌やお絵描き好きなおっとりさん」と感じていたのかもしれません。
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おじいちゃん、おばあちゃんっ子だった娘
娘自身もおじいちゃんとおばあちゃんが大好きで、帰省の時は親ではなく祖父母と一緒に寝たがる程でした。
電車に乗れるようになると一人で祖父母の家に泊まりに行ったり、旅行好きな祖母と一緒に旅にも行ったりしていました。高校生になるとPC検定の資格を持つ娘が祖母にパソコン操作を教えることなどもありました。
おおらかで優しいお年寄りと過ごす時間は娘にとっても心地良かったのだと思います。
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初めて、娘のパニックに遭遇した祖母
娘が高校3年生の時、たまたまわが家に泊まりに来ていた祖母は娘のパニックに遭遇しました。
この頃の娘は、就職活動中だったこともあり、とても不安定でした。「学校から配布された資料が見つからない」と家中の引き出しを開けて探しまわりました。
私が「学校に電話して同じものをもらえば良いんじゃない?」と言っても「それは絶対ヤダ!」「あの先生は怖いんだ」と全く聞く耳をも持ちませんでした。
同じ引き出しを何度も開けたり閉めたりすることを止められない娘。しまいには弟の机の引き出しやランドセルの中まで探し始めました。
その時、祖母は…
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祖母が娘をなだめている間に私は学校に電話をし、先生に娘の様子を伝え、翌日同じ資料をもらうことになりました。パニックは1時間ほどで治まりましたが、孫のパニックを目の当たりにした祖母はショックを受けたようでした。
孫の将来を案じて
その後、就職がなかなか決まらなかった娘を心配した祖母に「知り合いの会社を紹介しようか?」と勧められたことがありました。
私は「いつまでも親が子供を守り続けられるわけじゃない。私たちは娘のことを理解して支援してくれるような人(ジョブコーチ)がいる会社を探している」と伝えました。
祖母の思う幸せとは、違うかもしれないけれど
就職後、娘は祖父母のところに行くことはほとんどなくなりました。
孫のことが心配な祖母は、しょっちゅう電話を掛けてきます。
「会社には休まず通っているの?」
「会社の先輩とはうまくいっている?」
「身だしなみはきちんとしているのかしら?」
「お金は足りてるの?」
「親としてちゃんと悩みを聞いてあげてる?」
「また一緒に旅行に行きたいんだけど…」
私はその一つひとつに丁寧に答えます。
「会社は無理して毎日通うより、休み休みでもいいから彼女のペースで長く続いた方が良い」
「娘は人間関係は時間をかけて築き上げていくタイプ」
「完璧でなくても他人を不快にさせない程度の身だしなみはできていると思う」
「まだ職場になれるのに精一杯でお金を使う暇もあまりないみたい」
「職場の悩みを聞くのは親ではなくてジョブコーチという会社の上司なんだよ」
「休みの日は趣味や友達と過ごす時間に充てているよ。もう家族と一緒に出掛ける年じゃないし」
“おばあちゃんの思う『幸せ』とは少し違うかもしれないけれど、本人が辛いと感じることなく毎日を過ごせていれば、それが彼女にとっての幸せなのだ”と時間をかけて伝えていこうと思っています。