「子どもの障害、どう乗り越える?」問われて気づいた――一緒に乗り越えてくれた、大切な存在のこと
お世話になった療育園からのお誘い
自閉症のある長男は、3歳から6歳まで通っていた療育園が大好きです。私自身も本当にお世話になりました。なので、園から「在園児の保護者に向けて何かお話してもらえませんか?」というお誘いをいただいたときは、引き受けたいと思う気持ちが強かったものの、話下手な自分に出来るのか?という不安もありました。
しかし、ふと長男が療育園にいた当時、卒園した先輩ママのお話が、とても参考になったことを思い出しました。大した話はできないかもしれないけど、少しでも役に立ちたいという気持ちでやってみようと思ったのです。
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座談会当日。あるお父さんから投げかけられた質問
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座談会では私を含めて3人の卒園児のお母さんが、現在の子どもの状況についてお話しました。ホールは、在園児の保護者の方が30~40人ほど集まっていていっぱいです。そして、真剣な顔で私たちの話に耳を傾けていました。
子どもたちの現状についてお話したあとは、質疑応答の時間。
いろんな質問があったのですが、その中で1人のお父さんから「自分はまだ子どもの障害を完全に受け止めきれていません。皆さんはどうやってお子さんの障害を乗り越えてこられましたか?」と問われました。
発達障害の子を育てる親は皆、悩むけれど
2人のお母さんは、とても真摯にそれぞれの乗り越え方を話してくれました。そして、いよいよ私の番になったのですが、いろんな思いが頭の中を巡り、答えに困ってしまいました。
果たして私は長男の障害を乗り越えたといえるのだろうか。乗り越えるどころか長男の癇癪やこだわりにふり回されて、今ももがいている最中ではないだろうか…。そう思ったので素直にそう言うことにしました(笑)
「私自身が息子の障害を乗り越えられた瞬間というのはなくて…」
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そう答えたのですが、それだけではここに集まった方々を失望させてしまいます。
園の先生にも申し訳ないです。
一生懸命考えました。乗り越えるために私が支えにしているものはなんだろう…第一に浮かんだのは家族の姿でした。
わが子の障害を乗り越えるため、私を支えたのは家族や先生だった
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長男が自閉症と診断されたとき、「自閉症だろうがなんだろうが、かわいい息子であることに変わりはない」と言って支えてくれたのは夫でした。
長男のパニックで疲弊していたとき、「病気の子どもは優しいお母さんを選んで生まれてくるんだよ」と言って気持ちを救ってくれたのは次男でした。
そして長男がはじめて療育園の門をくぐったとき、優しい笑顔で包んでくれたのは、この療育園の先生たちでした。
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壁にぶつかるたび私が自力ではい上がったのではなく、いつも周囲の人間が手をさしのべてくれていました。私だけで乗り越えた壁などひとつもなかったのです。
伝えようとする中で、私自身が気づいたこと
ご夫婦一緒に参加された方、ママ友同士でメモを取られている方…いろんな方が集まっていましたが、その空間は障害のある子どもを育てる人たちの一体感がありました。わが子のために何ができるか模索する親の姿がそこにはありました。
その光景を見て、もうひとつ大きな支えがあったことを、話しながら思い出したのです。
「この療育園で知り合ったお母さんやお父さんたちと悩みを打ち明けあうことも、精神的な助けになると思います」
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そう伝えました。
人には経験しなければ分からない苦しみというものがあると思います。実際に発達障害のある子どもを育ててはじめて分かる、特有のやるせなさがあるのです。私は大した助言はできないけれど、先輩ママの声に耳を傾けることでもいいと思います。辛いときは辛い、苦しいんだと言い合える相手はきっといると思います。
どうかお母さん、お父さん、一人で背負わないでくださいね。