2018年11月30日 15:30
強烈なトラウマからあっさり解放。必要だったのは苦手意識の克服よりも…
息子より先に学校へ行かないという選択をしたお子さんを育てている友人に相談すると、「大丈夫だよ。うちの子も2年ぐらいは、私がいくら言っても勉強しなくて、最近ようやくフリースクールに行きたいって言い出したんだもん。放っておいても、やりたいことが見つかれば自分から勉強を始めるよ」と返ってきた。主治医の先生に聞いても、同様の答えだった。
好きなことにはのめり込みやすい特性を踏まえたら、確かにそこから学習に繋がるように誘導したほうが良さそうだ。そして息子自身から「やらなくてはいけないと思っているのに、できない。これでも焦っている」という言葉を聞いている。
トラウマと特性とでは少し意味合いは違うかもしれないが、私が「揚げ物ぐらいできるように頑張らないと」と発破をかけられてもできないように、息子だって、毎日の学習を習慣づけろと指導されても、「そんなに簡単なものではない」のかもしれない。
何より学習をするのは息子なのだから、私がとやかく言うのはかえって悪手である可能性もある。
とはいえ、積み上げた教科書やノートを枕にして寝転び、電卓をカタカタ叩きながら、焦点の合わない目で天井を見上げる息子の姿を眺めていると、果たして本当にこれで良いのかと不安が募った。
突如、あっさりとトラウマを克服した私
Upload By 鈴木希望
話は揚げ物に戻る。つい先月、夕食の準備をしようと冷蔵庫を覗いていた私は「今夜は豚肉の野菜巻きフライをつくろう」と突如思い立ったのだ。
息子にせがまれたなどといったきっかけは別段ない。ほんの1か月前の話なのに、そのときの気持ちを思い出すことができない。ただ、無性に「揚げ物をつくりたい!」という欲求に駆られたことはしっかり覚えている。
揚げ物をつくる過程は、母が料理している様子を見ていたので知っている。不思議と恐怖感はなく、いつもそうであるように、淡々と調理していた。初めてのことなので、上手くできるかという不安はあったが…。生まれて初めて私がつくった揚げ物は、われながら上出来で、息子にも好評。「もしかして、これからは家でもとんかつが食べられる?」とはしゃぐような声で息子に問われ、「そうだね。頑張ってつくっていこうかな」と私は答えていた。
つくろうとして材料を並べただけで、実際に火柱を見たわけでもないのにフラッシュバックに苦しみ、つくることができなかった揚げ物。