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『学校に行きたくない君』の親へ届け!著名人からの熱いメッセージ!

LITALICO発達ナビ

本に登場する著名人から、不登校の子どもの保護者へ。心のこもったメッセージを


話題の本『学校に行きたくない君へ』。日本で唯一の不登校専門紙「不登校新聞」に掲載された著名人への取材記事から20記事を厳選し紹介されています。

前回の記事では、「不登校新聞」石井志昂編集長にお話をうかがい、取材の裏側や、不登校や引きこもりへの想いを紹介しました。

さらに『学校に行きたくない君へ』に登場し、不登校や生きづらさへのヒントを与えてくれた方々へアンケートを実施。「保護者へ伝えたいメッセージとは」、そして「”不登校”という言葉を、もっとポジティブな言葉につくりかえるとしたら?」――そんな発達ナビからの問いに、不登校新聞の編集長をはじめ、田口トモロヲさん、宮本亜門さん、茂木健一郎さん、山田玲司さんが熱いメッセージを寄せてくれました。

また、本書に掲載された心に沁みる「言葉」から、一部をご紹介します。

不登校新聞 石井編集長「その子自身の学校に行かない理由を大切にして」

『学校に行きたくない君』の親へ届け!著名人からの熱いメッセージ!

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――不登校のお子さんの保護者に向けて、メッセージをいただけますか。

石井さん:学校は命がけで通うべきところではないということを伝えたいです。
子どもが学校に行けなかったとしても、それはその子が弱いからでも、怠けているわけでもないということ。

もしかしたら今は不登校の理由を言えないのかもしれないけれど、その子なりの理由があって学校に行かないんですね。だからその行かない理由を大切にしてあげてほしいなと思います。私の場合は「学校に納得できなかったから」。「納得」を私はすごく大事にしているなという気がします。

――「不登校」という言葉を、ポジティブな違う言葉につくりかえるとしたら、どんな言葉にしたいですか。

石井さん:確かに不登校って差別用語だなと思いますね。たとえば女性のことを「不男性」といったらどれだけの差別なのかというのが分かりますよね。
そうはいっても「不登校新聞」という名前をつけちゃってるんですけどね(笑)。

不登校以外の言葉でつくりかえるとしたら、「生徒・学生」でいいんじゃないかな。海外では家で教わっている子はホームスクーラーの子も、イギリスで100年続くフリースクール「サマーヒル・スクール」に通っている子も「student:生徒」って呼ばれているんですよね。だから「生徒」がいいと思う。不登校の子だけを特別な呼び名で呼ぶ必要はなくて、学校に頼らないで生きる生き方が一般化される必要があると思っています。

https://futoko.publishers.fm/issue/4404/
不登校新聞

田口トモロヲさん、宮本亜門さん、茂木健一郎さん、山田玲司さんら著名人からの熱いメッセージ!


今回、俳優・映画監督の田口トモロヲさん、演出家の宮本亜門さん、脳科学者の茂木健一郎さん、漫画家の山田玲司さんにアンケート取材をしました。4名から、不登校のお子さんを育てる保護者に向けていただいたメッセージをご紹介します。

――不登校のお子さんの保護者に向けて一言メッセージを。


田口さん:自分なら、たとえ世界中を敵にしても味方だと思える人に近くに居てもらいたいです。生き続けるために一つだけ好きなこと(支え)を見つけて、人生=生活をこじ開けてほしいと思います。

田口さんはまた、本書の中で次のように話しています。一番近くにいる保護者が肯定し、味方になってくれることは、とても大切なことです。

あきらめると言うと、ネガティブに聞こえますが、肯定することと同じ勇気だと思うんです。僕は自虐的な人間だから「自分を肯定する」という言い方より「ダメなんだから仕方がない」という言い方の方が安心するんで(笑)。

『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)、田口トモロヲさんの言葉より

https://www.amazon.co.jp/dp/4591159663http://mash-info.com/profile/t_taguchi.html
田口トモロヲ(俳優・映画監督)

――不登校のお子さんの保護者に向けて一言メッセージを。

宮本さん:親子であっても、以心伝心はありません。
それぞれが違う人格をもった人間なのです。だから、親自身のたどって来た人生で、これが正しい、間違っていると判断したものを言われても説得力がありません。

お互い、対等で冷静に、この情報過多の時代を生き抜くために、何を選び大切に生きていくか、考え話し合ってください。

――「不登校」という言葉を、ポジティブな違う言葉につくりかえるとしたら、どんな言葉にしたいですか。

宮本さん:「その子どもにしかできないオリジナル性の模索」。「個性を生かし、社会に生きていくための大切なブレイクタイム」。

――その理由・言葉に込めた想いとは?

宮本さん:人は全員違う考えと違う才能を持っています。しかし、学校は知識を入れ込むことで忙しくなかなか教えてくれません。
むしろ、それは親だからできる、子どもと親しくなれる素晴らしい役目。焦らず、それぞれの個性や特性を引き出して、将来大きく花開くように、準備をしてください。

もう一つ、宮本さんが本の中で伝えてくれた、勇気が出る「言葉」を紹介します。

だってこれまで痛みを経験してきたはずです。職種はちがうかもしれませんが痛みを経験してきた役者さんはいい仕事をします。もう一つ、つけ加えるならば、新しいことを始める際に「不安がっている自分」を否定しないでください。「怖いけどやってみたい」、その思いに自分が後押しをされたときには素直に気持ちに従ってみてください。

『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)、宮本亜門さんの言葉より

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宮本亜門(演出家)

――不登校のお子さんの保護者に向けて一言メッセージをお願いします。


茂木さん:お母さん、お父さんは、お子さんの「安全基地」になるのが一番よいのです。安全基地とは、お子さんが挑戦したいことを、見守り、応援するということです。お子さんが学校に行かないという選択をしたということは、つまり、そのような挑戦をしているということです。その挑戦を、見守ってあげてください。

学ぶために、学校に行くことは必須ではありません。今の時代、いくらでも他の方法はあります。もちろん、ふたたび学校に戻るという選択をしてもいい。でも、戻らなくてもいい。
「普通」であることと、学びはまったく関係ありません。

お子さんは、賢い。自分の人生を、切り開こうとしている。そんなお子さんを、信じてあげてください。

――「不登校」という言葉を、ポジティブな違う言葉につくりかえるとしたら、どんな言葉にしたいですか。

茂木さん:「もう一つの学びへの勇気ある挑戦」

――その理由や、言葉に込めた想いは?

茂木さん:学校に行かないことを選択したこと自体勇気あることですし、それは必ずもう一つの学びにつながるのです。茂木さんはまた、本書の中で「多様性に上下はない」と語っています。

脳科学の見地から言えば「不登校は脳の個性である」というのが結論です。毎日、学校に通っても苦痛を感じない個性もあれば、1日だって学校に行けない個性もある。脳には多種多様な個性があり、その差に上下はありません。

『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)、茂木健一郎さんの言葉より

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茂木健一郎(脳科学者)

――不登校のお子さんの保護者に向けて一言メッセージをいただけますか?

山田さん:「不登校」はまともなことで、それで人生がダメになることはありません。「そんなことはない、学校くらい行かないと世の中ではやっていけない」と思う親は明らかな「思考不足」なので、自分がまず「何が正しいのか?」を深く考えてください。

学校へ行くのは「絶対的な正解」ではありません。どんな子どもでも無条件に認めてあげてください。狂っているのは大人達の方なのです。

――「不登校」という言葉を、ポジティブな違う言葉につくりかえるとしたら、どんな言葉にしたいですか。

山田さん:「考え中」「さなぎ期間」「防空壕避難中」「修行中」「自主練」

山田さんは、インタビューでも「絶望を知ること」で跳ね上がっていくことについて語っています。

本書(※)に登場してくれたみなさんが言っていたのは「絶望に効くのは絶望を知ることだった」と。絶望するとそこを機に跳ね上がっていく。もちろん、そこまでいけないときが本当にきつい。「夜明け前の夜が一番暗い」という言葉もあるぐらいですから、真理でしょう。でも「明けない夜はない」というのもまた真理だと思っています。

※編集部注:『絶望に効くクスリ』(山田 玲司著/小学館)のこと

『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)、山田玲司さんの言葉より

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学校に行かないという選択をした子どもたちが経験している「今」だけでなく、その先へのまなざしも感じられます。

https://yamada-reiji.com/
山田玲司(漫画家)

本書に収録、樹木希林さん、西原理恵子さん、リリー・フランキーさんなどの「言葉」を、ちょっとだけご紹介します

『学校に行きたくない君』の親へ届け!著名人からの熱いメッセージ!

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一緒に住んでいる人はホントにたいへんだと思いますが、結局、親はその子の苦しみに寄り添うしかないです。言って治るようならとっくに治っています。最初の話に戻りますが、自分が成熟するための存在なんだと受け取り方を変えるのがいいのではないでしょうか。

『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)、樹木希林さんの言葉より

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この先、あなたはなぜ自分がこんな状況になってしまったのか、考えるときがくるでしょう。でも、その原因究明はするべきじゃありません。原因を究明しても、誰かを悪者にして終わるだけ。誰も助からない。明日、どうやって飯を食うかのほうが、よっぽど大事です。だって、立ち止まったらかならずよどむんです。よどむときついんだ。自分を苦しめてきた存在が3Dになって、いつでもよみがえってくる。

『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)、西原理恵子さんの言葉より

https://www.amazon.co.jp/dp/4591159663http://toriatama.net/
西原理恵子(漫画家)

不登校・ひきこもりを生きる、というのはたいへんな苦悩を伴いますが、じつは私が教えている東大生も、内面の苦悩は、ほとんど同じだと感じています。前者は「自分自身じゃないもの」になろうとしてなれずに苦しみ、後者はなりきって苦しんでいる。でも「自分自身じゃないもののフリ」をすることをやめないかぎり、自分の人生は始まらないんです。

『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)、安冨歩さんの言葉より

https://www.amazon.co.jp/dp/4591159663http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/faculty/prof/yasutomi.html
安富歩(東京大学東洋文化研究所 教授)

不登校もひきこもりも、好きなだけやればいいと思うのは、みんな自尊心も強いんだから、美意識を持ちながらやっていれば、自然と外に出ることも働くことも、なんでもなくなると思います。それに、その時間が糧になるときがきますから。オレなんか、いま物を書いてる内容はそのときに考えていたことばっかり。だから、みんな留学してると思えばいいんじゃない。

『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)、リリー・フランキーさんの言葉より

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ここでご紹介したのは、『学校に行きたくない君へ』に詰め込まれた、心に沁みる「言葉」の、ほんの一部です。そして、一つとして同じメッセージはありません。読者の人それぞれの胸に響くメッセージが、本のどこかにきっとあるはずです。不登校やひきこもりの当事者・保護者だけでなく、生きづらさを抱えるすべての人に読んで欲しい一冊です。

http://www.lilyfranky.com/test/profile/lily.html
リリー・フランキー(俳優・文筆家・イラストレーター等)

樹木希林、荒木飛呂彦、西原理恵子、リリー・フランキー、辻村深月ら総勢20名の先輩たちが語る生き方のヒント。企画から取材まで、不登校の当事者・経験者が、人生の大先輩たちに体当たりでぶつかり引き出した本音のメッセージを収録。社会に出たくない人、人生に迷っている人など、中高生からシニア層まで幅広い世代に突き刺さる言葉が詰まった一冊です。2018年8月発行。全国不登校新聞社編、ポプラ社刊。

撮影:鈴木江実子
取材・文:赤沼美里

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