2018年11月5日 07:00
おやつは「ハサミの練習」の時間!?自閉症息子の楽しみを奪ったモーレツ母さんの、14年後の懺悔
でも、それだけを目的にするのはどうなのでしょうか。
ある児童精神科医が、「今の療育はできないことをできるようにする療育。でも、本当にすべきなのは得意な部分を伸ばすこと。脳が喜ぶことをすればいい」と、テレビで言っていました。
これは、ストレングス(本人の強み)視点とか、ストレングスアプローチという考え方です。つまり、“何らかの問題を抱える人が潜在的に保持する強み”を伸ばす療育をしようというもの。息子が幼かった当時は、こうした考えに基づく療育はあまりなかったような気がします。
療育施設の中での競争
同じしんどさ、悩みを抱えている親どうしであっても、子どもの年齢が同じだったりすると、競争心や妬みの気持ちが湧き起こることもあります。
「あの子ができているのに、同じ自閉症の息子ができない訳がない」とさらに拍車がかかります。「どうして○○ちゃんができることが、あなたにはできないの」と声を荒げているお母さんもいました。
そして療育風景を窓越しに見学しながら「あれができて、これができない」と目先のことに一喜一憂し、私の心は翻弄されていました。
子どもとの”今”を楽しんで
もし、過去に時間を戻せるのだったら幼児期に戻り、「今、ハサミを上手に使えなくたって大丈夫。さあ、ゆっくり温かいミルクティーとお菓子を楽しんで」と息子に言ってやりたいです。
そして、過去の私にも、今一生懸命なお母さんたちにも伝えたいのです。「そんなに気張らないで大丈夫。可愛い子どもとの時間を、楽しみましょ」と。
2018年9月10日、医師・松永正訓氏が立石親子を取材、書き上げた新刊が発売に。発達障害がある子と母の、幼児期から今までに渡る育児について綴られています。
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