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「またなるかも…」不安に敏感な息子の腹痛、本当に必要だった対処法

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不安がもとで登校前に腹痛が始まる

「またなるかも…」不安に敏感な息子の腹痛、本当に必要だった対処法

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息子が登校前に腹痛を訴えるようになったのは2ケ月ぐらい前から。その以前にも、登校中にお腹が痛くなってトイレに行きたくなることがあり、登校班を抜けて学校まで一人で走って行ってしまうこともありました。

登校班は歩幅の狭い低学年の子も多く、途中でほかの子どもと合流するために待ち合わせもします。学校自体は自宅からすぐの場所にありますが、結構ゆっくりなペースで進むため、我慢できなかったようでした。息子はお腹が痛いという理由があったにしろ、登校班を抜けだしたことで「みんなに迷惑をかけてしまった」という気持ちに押しつぶされていたのでした。

登校中にまた一人で走っていくことになったらどうしよう――。息子は毎日のように不安を訴えるようになりました。

そのうちに、朝は登校時間ギリギリまで20分近くもトイレにこもるようになってしまったのです。
登校時間になって私が「もう大丈夫?」と声をかけると、半泣きで出てきます。「お腹が痛い」「治らない」と。最初は週に1~2回程度の訴えでしたが、次第に頻度は増していきました。そのうち毎日腹痛を訴えて、トイレにこもるようになってしまったのです。

朝の忙しいタイムスケジュール。20分トイレにこもられてしまってはたまりません。私は息子だけ30分早く起床させ、トイレにこもっても大丈夫なようにしていました。けれども、日に日に事態が深刻になっているような気がして、私は普段からお世話になっている子ども相談室の臨床心理士の先生に相談してみることにしました。


パニック障害を乗り越えた経験が息子にも生きるはず…そう思っていたけど

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以前私はパニック障害に苦しんだ時期があり、逃げ場のない場所や人がたくさんいる場所になると発作が起きてしまうことがありました。そのとき、「予期不安」といって「発作が起きたらどうしよう」という不安が必ずあり、それが発作に繋がっていくという悪循環を繰り返していました。私はこの予期不安を克服するために、少しずつ怖い状況に直面していくという「曝露療法」を試みた経験があります。

電車が怖いのであれば、まずは1駅乗って発作が起こらないことに自信をつける。翌日は2駅乗ってみる。そうやって恐怖の対象に直面しても発作が起こらないということで、私のパニック障害は少しずつ寛解に向かったのでした。

その経験から、息子が登校時の不安で腹痛がしてしまうことについて、私のパニック障害と同じように「いざ行ってみたら大丈夫だった」と思うようになるに違いない、と思い込んでいました。

怖い状況から逃げるのではなく、直面してみることで、「なーんだ大丈夫だったじゃん」と思ってくれれば…。
そう思って私は息子をなんとか登校班で学校に行かせていたのでした。

けれども子ども相談室の先生の言葉は思ってもみないものでした。

「それは、登校と腹痛反応が完全にリンクしてしまうことになりますよ。このまま放置しておくとますます症状が悪化して、克服に大変な時間がかかることになります。登校班が不安の対象なのであれば、まずはそのネガティブループを切ってみましょう」

私の頭の中は「?」でいっぱいになって大混乱。「不安に直面したほうが自信がつくのではないの?」「私のパニック障害とは違うの??」。自分の認識が全く違っていたのです。

不安に立ち向かう意味…大切だったのはその先で得る体験

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先生のお話を詳しく聞いていて、私の考えは大事な部分を見落としていたことに気づいたのです。
それは、恐怖や不安に向き合う先には「成功体験」がなければならないということ。目的はあくまでも「自信をつけること」であるということ。

私がパニック障害だったときは、まさに「成功体験」と「自信」を積み重ねることを大切にしていました。電車に1駅乗れた、発作が起きなかった、次は映画館に行って映画を観ることができた、このような感じでステップバイステップで自信を取り戻していったのです。

けれども息子の場合、登校班に参加させることは「成功体験」も「自信をつけること」にも繋がっていませんでした。「不安に耐え忍びながら学校に行く」ということを毎日繰り返していくうちに、息子はどんどん自信をなくしていき、それに相まって不安も高まり、ネガティブなループをどんどん強めていっている結果にしかなっていなかったのでした。

何かあったらお母さんが助ける

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そこで臨床心理士の先生に指導されたとおり無理に登校班で行かせることをやめ、私が一緒に学校まで行くことにしました。

そして、「途中でお腹が痛くなったら、ちゃんとお母さんが助ける。
だから、朝トイレにこもるのをちょっとやめてみよう」と提案してみました。さらに私は息子に具体的な提案をしました。「お母さんと二人なんだから、お腹が痛くなったら一緒に学校まで走ればいい。家が近かったら一緒に家に戻ろう。その後は車で送ってあげる。そうすれば時間通りに到着できるでしょう」

もしものときはどうするのか、というところまで見通しを立てて、私は息子と一緒に学校まで行きました。最初は「不安。不安。
お腹痛くなるかも」と言っていた息子でしたが、そのたびに私は「大丈夫。お母さんが助ける」と言い続けました。

その結果、息子はいつの間にかお喋りに夢中になっていました。校門まで送ったところで、「よし!大丈夫だったね!」と声をかけると、「あ、ほんとだ。大丈夫だった」と本人も驚いていました。これまで登校中はずっと腹痛のことしか考えていられなかったのでしょう。

この一件をきっかけに、私は改めてどんなことでも「成功体験」「自信をつけること」という目的を忘れてしまってはいけないのだな、と肝に銘じたのでした。

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