女性の発達障害、場面緘黙など、成長とともに変化する「寄り添い方のヒント」が見つかる4冊を紹介
女性ならではの困りごとや、実生活に生かしたい対策を解説!『よくわかる女性のアスペルガー症候群』
女性のアスペルガー症候群の人は、男性よりも症状が目立ちにくいといわれています。どのように振る舞えばいいのか考え、対応しようとすることも多く、本人が困っていても気づかれにくい傾向があるためです。医療機関を受診しても診断されない場合もあるかもしれません。
著者は、これまでもさまざまな女性の発達障害についての本を手がけられてきた司馬理英子先生。精神科医として、専門的な立場から女性ならではのアスペルガー症候群の特徴や困りごとのケースを紹介しているほか、仕事やプライベートの人付き合いの場で役立つ情報がイラストとともにまとめられています!
アスペルガー症候群の女性だけでなく、周囲の人にとっても、本人の困りごとやサポートについて知ることができるかもしれません。(発行: 2019年1月10日)
一人ひとりに寄り添った対応の具体策は?『イラストでわかる子どもの場面緘黙サポートガイド アセスメントと早期対応のための50の指針』
年間200件以上、場面緘黙の相談を受けている長野大学社会福祉学部准教授の高木潤野先生と、場面緘黙の子どもたちの治療に携わってきた小児科医の金原洋治先生の著書。
場面緘黙症の子どもたちは、全く話すことができないわけではないので、支援の対象となりづらいケースがあったり、やる気がないなど勘違いされたりすることも。また、自分から困っていることを発信できないことから、教育・医療・福祉分野の人の中でも適切な支援などについて認知が進んでいない状況があります。
長年の臨床からさまざまなケースを紹介しながら、主に学校現場における環境調整や関わり方、特別支援教育制度の活用についてまで幅広く指針が示されています。場面緘黙のある子どもたちに関わる人に読んでもらいたい本です。(発行: 2018年12月15日)
成長段階にそった症例から発達障害を解説!『発達障害 精神科医が語る病とともに生きる法』
就学前、小学生、中学生、高校生、大学生と、初診時の年代をそれぞれ想定した症例を紹介しています。具体的な生い立ちなどが物語のように語られています。そして、一つひとつの症例に対して、「サングラスの使用はどのような効果があったのですか」「10歳から始まった『イライラ』は、どこからきているのでしょうか」といった質問が並び、著者で精神科医の崎濱盛三先生が回答。この本では、「一般的な症状」を個人に当てはめて語るのではなく、個々のケースを丁寧に読み解くことで、裏付けを浮かび上がらせていきます。
子どもの成長の過程に合わせて、行動の裏にある理由や本人の心の変化などがわかりやすくまとめられています。発達障害のある子どもの思春期に向き合うために参考にしたい一冊です。
(発行: 2019年1月15日)
父がみた息子を取り巻く本当の問題と心の変化。『漢じがすくなくてすいません 中東のある国で息子のディスレクシアがわかった』
異国の地で父子2人暮らしする中で、息子さんのディスレクシアがわかったという父親の武井直紀さんによる手記です。
特に、読み書きができないことに対する同級生からのいじめ、理解のない教員の対応などが息子さんの心に影響を与えたことなどを取り上げています。文字を読めない・書けないといった状態そのものよりも、周囲の無理解さから生まれる心の苦しさが本人にあるということについて考えさせられます。
さまざまな問題に向き合っていく中で、息子さんの心はどう変化してどんな道を選んだのか。衝突を繰り返しながらもその変化をつぶさに見つめた等身大の家族の姿が書き出されています。