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自閉症息子、ルーティンが崩れ強迫性障害が悪化!新型コロナの影響はわが家へも

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強迫性障害だった私


『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。

新型コロナ対策のため「手洗い」「うがい」「除菌」など衛生面での報道が多くなる中、過度なまでに衛生管理にこだわってしまう状況に陥っている人はいないでしょうか。その場合、もしかしたら強迫性障害なのかもしれません。私は23歳のときこの病にかかり、1年間、精神科の病院に入院していたことがあります。

息子も今、治療中です。

強迫性障害とは、本人の意思と無関係に頭に浮かぶ、不快感や不安感を生じさせる「強迫観念」と、それを打ち消し振り払うために繰り返す「強迫行為」からなる病気です。

この症状にはさまざまなものがありますが、代表的なのは「不潔恐怖」です。洗っても洗ってもまだ、汚れているような気がして手洗いを止められません。
手を洗い終えても蛇口を触ることでまた汚れたと思い、永遠に手洗いが続くのです。石鹸1個なくなるまで手洗いをし、手がボロボロになります。外出もできなくなります。蛇口やノズルを触って再び汚れるのを恐れて風呂に入らなくなり、かえって不潔になってしまうという、おかしな結果になるケースもあります。

その他にも、たくさんの種類があります。

確認恐怖: ガスの元栓や鍵の締め忘れが不安になり、何度も戻って確認する
数症恐怖: 特定の数字を見聞きすることを異様に恐れ、外出がままならなくなる
加害恐怖: 運転中、人をひいてしまったのではないかと何度も車の下を確認する
疾病恐怖: 健康なのに癌の不安から逃れられず、受診を繰り返す
不完全恐怖: あるべきところに物を置かないと不安になる
醜貌恐怖: 自分の容姿が人に不快な思いをさせていると思い込む

不安を振り払うための強迫行為は不合理なものですが、それをやめるとまた不安や不快感が起こるため、なかなか止めることができません。石鹸1個を使い切るくらいの不潔恐怖の強迫性障害の患者さんは、今、かなり苦しんでいると思います。

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_compel.html
強迫性障害 | 厚生労働省

自閉症の息子も新型コロナの影響で悪化


息子はトイレ撮影が趣味です。
新型コロナの影響が大きくなる前、トイレ撮影の予定を綿密に計画していました。

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最初、日付も入れていたのですが…

緊急事態宣言が解消されるか延長されるかで、予定が全く立たなかったので、私から「いつ解除されるかわからないから、日付は消しなさい」とアドバイスし、今は電車の時刻だけを調べて入れている状態です。

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それでも「電車の本数が減ったらどうしよう」「時刻表が変わったらどうしよう」と次々に不安が襲ってくるようで、何度も何度も書いた用紙を確認し、強迫行為が治まることがありません。 また、「パチンコに行く人がいるから僕は35歳まで外に出られないかもしれない」とまで言い出しました。

「これはまずいぞ」と思い、外出自粛の中、電話診療も可能だったのですが通院している精神科の病院に行ってきました。

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主治医から

「確認は1分間にしましょう。そうしないと不安が酷くなり、ここに入院しなくてはならなくなるよ。そうなったらトイレも撮影に行けなくなるよね」と言ってもらうようにしました。


実は普段、息子の様子を観察している私が先生から伝えてほしいことを事前にメモで渡しています。白衣を着た医師から伝えてもらった方が言うことを聞くからです。

不安に囚われ、解決しようとしない方がよい


不安を解消しようとする行為そのものが不安に囚われることになり、強迫性障害を悪化させると言われています。

わかりやすい例でいえば…

鍵を閉めたかどうか不安になり何度も何度も家に戻って確認する患者がいたとします。でも、確認すればするほど不安に襲われます。一度、家に戻って施錠を確認したら、その後、外出先で不安になっても自宅にもどらず、不安を抱えながら外出し続ける方がよいと言われています。

息子についても、本人はトイレの予定について永遠に確認行為に没頭したいところでしょうが、1分間だけとか3回だけとか限定し、不安を持ちながら生活してもらいます。またこれを親ではない第三者、医師等に伝えてもらうようにしています。


不潔恐怖が悪化


風邪なのに「コロナに感染したかもしれない」という疾病恐怖の強迫観念に襲われている人もいると聞きます。新型コロナの影響は計り知れません。

「手洗い!手洗い!」という言葉が否応なしに入ってきます。「強迫行為はほどほどにして、不安があってもそのままにしておこう」ではなく、今の状況は強迫行為を社会全体が肯定してくれる状態になっています。全世界で不潔恐怖の強迫性障害で苦しんでいる患者のためにも、何とか新型コロナが早くおさまってほしいと願っています。

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