発達障害の娘の成人式――着慣れない振袖姿を見送って。母の心配をよそに、いじめを受けた中学時代の同窓会にも参加した娘は...準備は早めが肝心なワケも
女子の成人式の準備は2年前から始まる!?
晴れ着のDM(ダイレクトメール)が届くようになったのは成人式の2年ほど前からでした。
DMには振袖のレンタル、販売のほかに
“ヘアメイクと着付けのセット”
“ドレスや袴も着れる前撮り付き”
“式前日、会場の近くのホテル宿泊プラン”
“卒業式の袴レンタル割引”
“浴衣と髪飾りプレゼント”
など色々なプランや特典が記載されていました。
娘は私が成人式で着た振袖を着ることを希望していたので、着物の購入やレンタルの予定はありませんでした。
私達はチラシを「へぇー、今はこんな感じの振袖やヘアスタイルが流行りなんだねー」と軽い感じで流し読みしていました。
その後DMの数は徐々に増していき、成人式の1年前になるとDMが届かない日は無い、というほどになりました。
その頃にはチラシに目を通すこともなくなり、毎回ビニールの封筒→プラごみ、チラシ→紙ごみに分ける作業を機械的に行っていました。
セールスの電話も頻繁にかかってきました。(個人情報ダダ漏れ)
やはり信頼できるのは先輩ママの口コミ
我が家は成人式の1年前に、近所の先輩ママに聞いたおすすめの美容院に着付けとへアメイクの予約をしました。
「1年前ならまだ好きな時間を選べるけど、ギリギリになってからの予約だと早い時間(午前4時とか)しか選べなくなってしまう」という情報はとても役に立ちました。
私達の地域の成人式は数万人規模のイベントホールで行われます。(住んでいる場所で午前と午後に分かれる)開始時間は入場券が届くまで分からないのですが、娘は午前の部を想定して予約をしました。
初めての本格的な着付けに気分が悪くなった娘
成人式当日はバタバタするだろうと思い、写真は成人式の半年前に撮ることにしました。
撮影当日、予約をした美容院でヘアメイクと着付けを済ませた後、近くの写真館に移動しました。
馴染みの写真館だったにもかかわらずなかなか笑顔になれなかった娘。徐々に顔色が悪くなり、終いには「気分が悪い」と言い出しました。
撮影を早々に切り上げ帰宅してすぐに着物を脱いだ娘。
よくよく話を聞くと、「本格的な着付けは初めてだから着崩れないようにきつめに着せてもらった」のだそうです。普段着に着替えるとすぐに落ち着き、写真撮影の様子を見に来ていた祖父母と食事に出かけるほど元気になりました。
式当日のハードスケジュールを心配して...
前撮り時に気分が悪くなったことから、私は娘に
「成人式に親は同行できないから、何かあっても助けに行けないよ。もう写真も撮ったし式は欠席したら?」
と言いました。
でも娘はどうしても式に参加したいようでした。さらには、
「成人式の日の夕方に、中学の同窓会があるから行こうと思う。ホテルでドレスコードがあるから髪の毛をアレンジして洋装で行く。」とのこと。
朝5時に美容院で着付けをし、1時間以上かけて電車で成人式会場に行く。
数万人規模の成人式会場から帰宅後、着替えてホテルでの同窓会に参加...そんなハードなスケジュールを娘が一人でこなせるか一抹の不安がありましたが、もう見守るしかありません。
いよいよ成人式当日
当日朝5時、私は娘を美容院に車で送りました。外はまだ暗く、美容院とコンビニだけが営業していました。
美容院に着くと、既に晴れ着姿の新成人が何人もいました。
Upload By 荒木まち子
着付けを終えた娘に問題発生!?「着物用の小さいバッグが閉まらない」
2時間後、美容院から着付け終了の連絡が来て、私は娘の着ていた服を引き取りに美容院に向かいました。
前回体調を崩したことを踏まえ、娘は緩めに着付けをしてもらったようでした。体調は大丈夫そうで一安心。
しかし、美容院で私と別れそのまま電車で会場に向かうはずの娘は何やらもたついている様子でした。
どうしたのか声を掛けると「バッグが小さすぎて閉まらない」と言う娘。
まさかと思ってバッグの中を見ると、予想通り小銭とカードでパンパンに膨れ上がった『ずっしり財布』がバッグを領占していました。
その場でお財布を整理して小銭と不要なカードを私が預かり、娘は軽くなったバッグを手に会場へと向かったのでした。
親の杞憂
体調を崩すこともなく無事に成人式を終えた娘は軽食を取った後、洋装に着替え中学の同窓会へ向かいました。
小学校高学年~中学時代は娘にとって(私にとっても)暗黒の時代です。娘は中2の途中で支援級に移籍していて、中学卒業時の謝恩会にも出席しませんでした。現在、娘は就職しているけれど多くの同級生はまだ学生のはず。
娘はどんな気持ちで当時の友達と会うのだろう?
もし当時娘をいじめていた同級生に会ったら…?
私は少し心配でした。
でも、私の心配は杞憂に終わりました。
「○○ちゃんに会ったよ!髪の毛染めてた!!」
「ほら、いつも優しくしてくれた△△ちゃん、覚えてる?
すっごい久しぶりに会ったら眼鏡をコンタクトに変えててさ。
『きゃーっ、久しぶりー!』って声を掛けてくれたよ」
「××君は美容師を目指してるんだって!」
「先生は相変わらずだったよ」
帰宅後笑顔で矢継ぎ早に話をする娘を見て、失敗や挫折を繰り返しながらも娘が強くたくましく成長していたことを改めて感じた成人の日でした。