障害のある子への新しい支援のアプローチや「伝え方」のコツ、漫画で学ぶソーシャルスキルや、水泳の教え方まで!「どう対応すればいい?」と悩むときにきっと役立つ6冊
関係性へのアプローチに着目!『発達障害のある子どもと周囲との関係性を支援するコミュニケーション支援のための6つのポイントと5つのフォーカス』
本書は、学校や児童発達支援センター、放課後等デイサービスの支援者に向けて「コミュニケーション支援」について書かれている本です。LITALICO研究所所長の野口晃菜さん、 LITALICOワークスのシニアスーパーバイザー・LITALICO研究所のチーフリサーチャーを務める陶貴行さんが編著、そして7名の専門家が執筆しています。
著者の野口さんはかねてより、発達支援や特別支援教育の現場では、コミュニケーションに困難さがある子どものみに変化を促す偏った支援や教育が行われていると感じていたそうです。そこで本書では、コミュニケーションはそもそも双方向で行われるものであり、支援には子どもと周囲の人の「関係性」にアプローチすることが重要であることを、数多くの事例を紹介しながら解説しています。専門用語をできるだけ使わずにやさしい言葉で解説されているほか、イラストも多く挿入されているなど工夫が凝らされているため、とても読みやすい一冊です。
自閉症の娘との葛藤と喜びの9年間――『うちの子、個性の塊です』
本書を執筆したのは、LITALICO発達ナビで、発達障害のある子の育児コラムが人気の漫画家、SAKURAさん。長女のあーさんは、自閉症スペクトラム障害のある女の子です。真面目で心優しいあーさんは、今9歳。
2歳のときにあーさんが「ほかの子と違う」と気づいてから今までの記録が書かれています。また、各章ごとに、監修の鳥取大学大学院の井上雅彦教授による解説も挿入されています。
タイトルにもなっている「個性の塊」という言葉は、著者のSAKURAさんが主治医から言われた言葉でした。もともと、SAKURAさんはあーさんが他の子と違うことに葛藤を抱いていたそうです。しかし、この主治医の言葉によって、「娘の個性をもっと楽しもう」という前向きな方向に変わったとSAKURAさんは語ります。
あーさんは今9歳で、家族と楽しく暮らし、学校にも楽しく通っています。そんな幸せな日々を送るための、家庭での療育から、学校との関係、親としての周りの人との折り合いのつけ方にいたるまで、こまやかな秘訣がこの本にはたくさん描かれています。言葉が遅い娘に試みた言語トレーニング、就学先選び、娘の障害告知など、発達が気になる子どもの保護者の皆さんが悩んだり迷ったりすることが多いことについて、SAKURAさんが試行錯誤してきたことを、専門家である井上先生からの視点とともに読むことができます。
学習や行動のつまずきに「感覚統合」の視点がヒントになる!?――『感覚統合の発達と支援』
本書は、保護者が子どもの学習のつまずきや問題行動の原因のひとつに、感覚統合の問題があることに気づき、何が起きているのかを理解して支援するきっかけとなることを願って書かれたものです。
著者は感覚統合理論の生みの親であるアメリカの作業療法士、エアーズ博士。感覚統合理論は1960年に発表され、今ではアメリカだけでなく日本でも感覚統合への認知が広がり、多くの療育支援が実践されています。今回、そんなエアーズ博士の名著が25年の時を経て、より保護者向けの内容にリニューアルされました。
脳の感覚統合という観点から、子どもが抱える困りごとを科学的かつ網羅的に解説した本書は、専門的でもありながら保護者が知りたいと思っている情報を分かりやすく紹介してくれています。「もしかしたら、感覚統合の問題があるのかしら」と不安に感じていた保護者の方だけでなく、現場で支援をする人にも役立ちそうです。
社会スキルが漫画で学べる――『10代のためのソーシャルシンキング・ライフ』
本書は私たちが生きていくうえで欠かせないスキルである、「ソーシャルシンキング」について解説しています。「ソーシャルシンキング」とは、他者の感情や考えを推察することです。
私たちはこのスキルを使いながら「その場に合った求められる行動の選択」を繰り返しています。
私たちは日々さまざまな選択を行いますが、それによって、状況は「いい方向」にも「悪い方向」にも変わります。本書では、同じ状況下で下す選択によって「いい方向」および「悪い方向」にいくパターンを漫画で分かりやすく紹介しています。また、巻末には自身で書き込める「問題解決メーター(感情コントロール)」表と「ソーシャルフォーチュン/ソーシャルフェイトの対人行動マップ」表が付いています。これらを活用しながら、実際に行動をシミュレーションすることも可能です。漫画を中心に分かりやすく説明されている本書は中高生にも理解しやすく、手に取りやすい一冊です。
安全で楽しい水泳の教え方が写真でわかる!――『発達が気になる子への水泳の教え方』
本書を執筆したのは、アクアマルシェ代表の酒井泰葉さん。スイミングスクールでアルバイトをしていた大学1年生のときに、知的障害のある人が楽しそうに水で遊ぶ姿に引き込まれたそうです。
そういった経験から、もっと多くの人に水泳を楽しんでほしいと思うようになったと酒井さんは語ります。
しかし一方で「水が怖い」という不安や恐怖心がぬぐえず、尻込みして全然入れない、水際で嫌がって泣き叫ぶ…そんな経験から、プールから遠ざかってしまったというお子さんも少なくありません。本書では、そういった不安を解決するために細かく段階が設定されており、最初の「水慣れの練習」の章では、子どもが水に慣れ、水の中でも安心して過ごせるという感覚を知るための16の方法が紹介されています。支援方法や、教え方についても写真やイラストを交え分かりやすく解説されているので、泳ぐことが苦手なお子さんが、楽しく水泳に取り組むための指導のヒントをたくさん得ることができそうです。
「こうしたらもっと伝わる」スキルがたくさん――『大人が変われば、子どもが変わる発達障害の子どもたちから教わった35のチェンジスキル』
長年、発達障害のある子とその家族の相談支援に携わってきた星槎大学大学院の阿部利彦教授によって執筆された本書では、発達障害のある子を育てている保護者をはじめ、大人が身につけると良い「応援スキル」が紹介されています。
本書の中で阿部教授はこのように語っています。
「発達障害のある子どもたちを育てている保護者だって、人間です。イライラしたり、つまずいたりしながらも、いつも子どもの一番の応援団でありたいと願っています。」
本書は、そんな保護者が子どもに思いを適切に伝える方法について、具体例を示しながら教えてくれています。
「また怒っちゃった」「いつもガミガミ叱ってしまう」と落ち込むこともあるでしょう。そんなときに本書を手に取れば、前向きになれるのではないでしょうか。どんなふうに接したらいいの?どんな声掛けなら心に届く?そんな疑問や不安にこたえてくれる一冊です。
この記事もおすすめ
提供元の記事
関連リンク
-
コーチ一家が好き勝手やるチームでハブられ親子で孤立、持ち家だけど引っ越してまで移籍させたい問題
-
クリスマス絵本&お風呂おもちゃが大活躍!2歳児ママが選んだ12月購入品8選 | HugMug
-
もっとも泣ける!? いい人すぎる「まさお」の生涯をたどる体験型展示が東京ほか全国5都市で開催
-
新感覚!リング形状×国産米の米粉100%の麺【こめまるめん】を2025年12月25日(木)より発売
-
学研教育総合研究所調べ お正月にもらったお年玉 小学生では平均23,158円、中学生では平均29,533円、高校生では平均27,724円 小学生と中学生は前回調査から2,000円以上増加、高校生は前回調査から減少