幼稚園行事が続く秋に起きた、ショックな事件。自閉症息子の「小さな世界」は壊れかけていて…
初めての行事、運動会に参加。「参加させてよかった」と思ったけれど...
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先日、幼稚園に入園して初めての運動会がありました。(今年は小規模なもの。)
ただただ園庭を走り回る息子と、追う先生をハラハラしながら眺めていただけでしたが、それでも息子が行事に参加できていることが嬉しく、日々のサポートを感じ、涙ぐむ場面もありました。なにより息子がとても楽しそうで、参加させてよかったと感じました。
それから、遠足や焼き芋パーティーなどの行事が続き、あることが気になりはじめます。
少しずつ荒れ始めた息子。ある日事件が起きて
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…………最近、荒れてる?
秋になってから睡眠が乱れたり、突然泣き出したりと不安定な部分が増え、癇癪の質が変わったような気がする…と思っていた矢先、事件は起きました。
焼き芋パーティーで焼き芋を一本ぺろりと食べたと連絡帳に書いてあったことに嬉しくなった私は、「いっちゃん、焼き芋食べられたんだね!すごいね!」と声をかけました。
その瞬間...
ギギギギギ!スパーン!ぐいーーー!!
顔を引っ掻かれ、頭を叩いてから髪の毛を引っ張られ、私は呆然としました。
幼稚園でもやっているかもしれない、やっていたらどうしよう。
不安になり先生に報告したところ…数日前から先生を噛んだり、お友達の髪を引っ張ったりしていたことが判明したのです。
療育の先生「いっちゃんは自分の世界で楽しんでいる」
穏やかだった息子が家族以外の人間に手を出した。
ショックと不安でいっぱいになりました。
すぐに療育の先生に相談し、幼稚園へ様子を見に行ってもらい、息子の様子を確認した先生はこう言いました。
「いっちゃんは自分の世界で楽しんでいるから、それを乱されると、ストレスを感じるのかもしれない。」
〝自分の世界で楽しんでいる〟
その言葉をきっかけに、こんなことを考えました。
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息子は卵の殻のようなものの中にいて
中から外はみえない
殻の中は
今までみたことのあるものや聞いたことのある音が流れ
息子の好きなことで満たされていて
とても心地がいい
たまに嫌なことを思い出して
卵の中が恐怖でいっぱいになることもある
小窓があって
その小窓から
自分の好きな時に
周りの世界をみることはできる
殻はそうやって得た外の世界の情報が増えて
成長とともにゆっくり、少しずつ大きくなる
外から勝手に小窓を開けて情報を流し込んだり
卵を揺すって外の世界のことを伝えようとしたら
殻は大きくなろうとするけれど
きっと
痛みが伴うし
ぎゅうぎゅうになって苦しくなってしまったり
ヒビが入って壊れてしまうかもしれない
外が見えないのに
地震みたいに揺すられる恐怖は計り知れない
息子にかかっていた負担に気づいて、わが家が下した決断は
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息子にとってイレギュラーなこと(行事)は刺激であり、刺激はもちろん成長にも繋がるが、それ以上に負担をかけてしまうことにもなる。
6月に入園してから現在までに、コップやフォークを使えるようになったりなど、できることが急激に増えたちいさな息子の心にはどれだけの負担がかかっていたのだろう。
何かができるようになったことを喜んでいたのは周囲の大人で、息子はただ自分で見聞きしたことを模倣して楽しんでいるだけ。本当の意味でそれができるようになったわけではない。
無理をさせすぎた結果、荒れてしまったのではないだろうか。
療育の先生に相談し、話し合いの結果、イレギュラーなことを減らし、安定した園生活を送る方が、今の息子にとってはよいだろうということになり、
行事の晴れ姿を見たいという自分のエゴは捨て、今後行われる小さな行事から大きな行事まで、参加させるのを一旦やめるという判断に至りました。
過度な成長を望むのではなく、息子にとって安心できる場所で、穏やかな日々を積み重ねることが大切だということに改めて気づかされた出来事でした。
これからは無理をさせずに、息子のペースに合わせてゆっくりと成長を見守っていきたいと思います。