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はじまりは2歳ごろ。ひたすら物を並べるASD息子に苛立ち…そんな私が、息子のつくる世界を好きになった日

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2歳ごろから物を並べるように

はじまりは2歳ごろ。ひたすら物を並べるASD息子に苛立ち…そんな私が、息子のつくる世界を好きになった日

Upload By かさはらあやこ

知的障害を伴う自閉症の息子は2歳前後から、物を並べるようになりました。

ミニカー、ブロック、フィギュア、ペットボトル、その他…。自閉症児はどうやら物を並べるらしい、ということを調べて既に知っていた私。最初に息子がミニカーを並べ始めたときは、かなり動揺しました。

そしてそのことを周囲に話すと「うちも並べてたよ、みんなやるよ!」なんて言われて、あぁ…そうなのか…みんなやるのか。と無理矢理 自分を納得させ、モヤモヤをごまかしていました。

ある日、お絵描きをさせようと真っ白い紙にクレヨンを用意しました。私が幼いころは落書きは基本的にチラシの裏だったので、真っ白い紙に絵が描けるなんてとても嬉しいことなのに、息子は白い紙には見向きもせず、ただクレヨンを並べるだけでした。


いま思い返すと、本当に酷い親なのですが、当時はその姿を見ることがつらくて「ねぇ!どうして描かないの⁉︎描かないならもうだめ!ないないだよ!!」と無駄に怒り、クレヨンを取り上げて泣かせる。そんなことを何回繰り返したかわかりません。

2歳半で初めて受けた発達検査

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〝もしかして…〟と思ってから約2年。黙々と検索をして調べたり、そんなはずはないと自分に言い聞かせたり、なぜこんなに指示が通らないのかと叱りすぎて自己嫌悪に陥ったり。

本当に苦しい時間でしたが、児童発達支援の先生に、環境を整えてあげる必要があると言われて初めて、息子は知的障害を伴う自閉症なのかもしれないと気づき、知的障害の有無とその程度はどうなのか、状態を把握するために、2歳半で初めて、発達検査をすることになりました。検査では指示の通りには何もすることができず、結果は全領域 1歳3ヶ月(言語は0歳8ヶ月)DQ50の軽度〜中度知的障害でした。

「発達検査で知ることができるのは、子どものほんの一側面にしかすぎません。10歳のお子さんの発達年齢が仮に5歳だったとして、じゃあ5歳児のように接しましょうとか、そういうことにはなりません。
発達年齢が低かったとしても、いっちゃんが今まで生活してきただけの生きる知恵や、哲学や想いが必ずあるはずです」
心理士の先生がかけてくれたその言葉を、私はきっと一生忘れません。

驚きの事実

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発達検査から数ヶ月経ったある日、いつものようにフィギュアを並べて遊んでいた息子を眺めていました。

なぜかこの日は、並べたあとに離れたところから確認し、また戻って微調整をしてまた離れて…そんなことを繰り返していました。あまりにも長いことやっているので、何がそんなに楽しいのかと息子が確認をしていた位置に立ち、視点を低く目線を合わせてみたところ、驚愕の事実が発覚しました。

なんと息子は、アニメのワンシーンを再現し、夕日がフィギュアに当たるように向きを整え、それが夕映に包まれる様子を離れたところから俯瞰していたのです。

自分の中にある情景を納得がいくまで作業をし、見事につくり上げたその様子を目の当たりにし、鳥肌が立ちました。

並べ方に現れる成長

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それからは、彼のつくり出す世界がとても好きになりました。

散らかった部屋の一部に、きちんと並べられた何かがあったり、錦糸卵を手でちぎって並べたり、お菓子を並べたり。
同じ色で並べたんだな、同じ形で揃えたんだな、凄いなぁ、楽しいなぁ。そんな風に思えるようになりました。

並べ方にも成長が現れます。最初は、同じ色、同じ形を揃えるだけでした。一方向を向いて並んでいたフィギュアは、幼稚園に入園したころには、向かい合わせに並んでいたり、円になったり。なんの規則性もないと思っていたお皿に並べたおままごとの食べ物が、全部オレンジ色の食べ物だったり、自分が食べたことのある物だったり。おままごとのポテトが人のかたちになったときには感動しました。いまは好きな番組の再現で、数字や文字を並べています。


同じ視点に立って、目線を変えてみることで何がしたいのかわかるようになったり、意味がないと思っていたことに意味があったり。息子のつくる世界を通して見える気持ちの変化や成長にいつでも気づける母でいたいと思います。

執筆/かさはらあやこ

(監修:初川先生より)
いっちゃんの思いや意図をお母さんが理解した、その瞬間からまさにお母さんにとっては世界が広がり、色が鮮やかになったように感じられたのかもしれませんね。子どもには子どもの思いや意図があって、さまざまな言動をしています。大人の世界にはそれを狭く切り取ってしまう言葉(例えば「こだわり」「症状」「自閉症の特徴」など)があり、その枠組みで目の前のお子さんの様子を見てしまうと、その枠に合うことしか見えなくなってしまいます。子どもの目線で子どもの見ている世界を見る。それがどれほど大切なことか改めて伝わるエピソードだと感じました。

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