愛あるセレクトをしたいママのみかた

 伝えたいことが伝わらず癇癪!発達障害息子が納得するのに必要なのは『屁理屈』!?【児童精神科医 三木先生に聞いてみた!】

LITALICO発達ナビ

伝わるように伝えるということ


ウチノコ(以下、――)
むっくんと暮らしていると、私の言いたいことが思うように伝わらない結果、本人が怒られたと感じて癇癪を起すことがあるんです。そこで生活する中でむっくんの琴線に触れにくい言い回しを意識しています。例えば夕飯前の「お菓子ちょうだい」に対して「今はダメ」と言うと【怒られた】と受け止めて癇癪を起しやすくなってしまうのですが「明日の3時ならいいよ」って返すと、癇癪起こさないんです。これって特殊なのでしょうか?

 伝えたいことが伝わらず癇癪!発達障害息子が納得するのに必要なのは『屁理屈』!?【児童精神科医 三木先生に聞いてみた!】

Upload By ウチノコ

三木先生:へぇ!それで納得してくれるんですね。「そんな先は嫌だ!」とはならないのですか?そんなに見通しが立つのだろうか…?

――見通し…どうだろう、ひょっとしたら見通しよりも「ワード」縛りかもしれません。「ダメ」って言葉や「あとで」なんかが大嫌いなんです。それでそこを避けて、「明日の3時」と時間を具体的に伝えて「いいよ」っていう許可の言葉で伝えることで怒られていないと思うのかもしれません。

三木先生:ああ~!なるほど、それはありえますね。


 伝えたいことが伝わらず癇癪!発達障害息子が納得するのに必要なのは『屁理屈』!?【児童精神科医 三木先生に聞いてみた!】

Upload By ウチノコ

――ありえますか!でも大変なんです、同義語を探す国語問題みたいで。私に余裕がないとできないし、言いながら「私、屁理屈を言ってるなぁ」って思うんですけど、なぜかむっくんは納得するという。

三木先生:あ!屁理屈!!屁理屈であるという認識は良いです。要は相手の論のどこを押さえれば落ち着くかを、とにかく考え続けるってことになるんですよね。僕はあるタイプのお子さんの親御さんに「性格悪くなってください」っていう話をすることがあるんです。要求に対しての答えを「ダメ」だけではなく、『何が』『どうなって』『こうだから』『ダメ』と、理屈でねちっこく順を追って説明することで理解させてあげてくださいって。そのほうが入りやすい子や、そういう関係性もあるんですよ。

――なるほど…友達にこの言い回ししちゃうと嫌われちゃうな~って思っていましたが(笑)私と息子はそういう関係性だと思えばいいのか。


三木先生:いろいろ試して論を繋いだ結果、「これが一番本人が落ち着ける」に達したのならアリだと思います。仮に、子どもがおやつを食事前に食べたがったとして、親の発する「今はダメ」という言葉の奥には、「今は食事前、夕飯食べてほしいから許可できないけど、明日にはまたおやつを食べることができるよ」という意味が含まれている。そう言った曖昧な背景や状況などの隠れた情報をその子と共有できていなかったり、その子にとって意味の分かりにくい言葉を使うくらいなら、誰がどう読んでも伝わる形で、見えない部分も理解できるように細かく本人に伝えていく必要があるんじゃないかと思いますよ。

 伝えたいことが伝わらず癇癪!発達障害息子が納得するのに必要なのは『屁理屈』!?【児童精神科医 三木先生に聞いてみた!】

Upload By ウチノコ

――確かに丁寧に理屈で伝えるほうが伝わる子なんですよね。でもあんまり頑張るとお母さんの話は長い!うるさい!って言われちゃうけど(苦笑)

三木先生:(笑)様子見ながら、ときに短くしたり、伝わらなければ長くしたり、それを何度も繰り返すうちに、本人も全体の構造が分かってくるとこもありますからね。

――確かに以前よりは分かってきているかも。でも先は長いなぁとも思います…

三木先生:繰り返すことで理解できていくこともありますからね。ただ、繰り返してる間に年齢が上がっていくから、あれこれやったのが良かったのか、単純に本人が成長したのかどっちなのか分からないという。


――あ~!それあります。なんかむっくんに起こる変化って、私がどうこうじゃなくて、結局全部本人の成長のような気がするんですよね~。

三木先生:お!そこのまなざしは持っていてもらうとすごくいいと思います。私がこれを頑張ったからこの子はこれができるようになった!と思う親御さんは危ういというか、つまずきやすいんです。私は果たしてどれくらいできただろうか、全部この子が頑張ったからだって思えるほうがいいんじゃないかな。

――そっか……そっか!よかった~(笑)なんだか自信つきました!ありがとうございます。

 伝えたいことが伝わらず癇癪!発達障害息子が納得するのに必要なのは『屁理屈』!?【児童精神科医 三木先生に聞いてみた!】

Upload By ウチノコ

いつもなら深刻になってしまう癇癪の話が、笑いながらできたこと。それがなにより嬉しい時間でした。
癇癪は困るからしないように子どもを変えなくては!という思考ではなく、私はこの子が理解しやすいように、落ち着けるように、言葉を選んで発信しただろうか?という視点を忘れずにこれからもむっくんに関わっていきたいと思います。執筆/ウチノコ

提供元の記事

提供:

LITALICO発達ナビ

この記事のキーワード