子育て情報『私はマウントの道具でライバル――加害意識のない加害に苦しんで。「今に成績が落ちる」と嘲笑、「ママ友に自慢できなかったじゃない」とがっかりされた思春期』

2021年9月12日 14:15

私はマウントの道具でライバル――加害意識のない加害に苦しんで。「今に成績が落ちる」と嘲笑、「ママ友に自慢できなかったじゃない」とがっかりされた思春期

あなたは裁縫が上手だからきっと優秀作品として張り出されてると思って、◯◯さん(ママ友)に自慢しようと楽しみにしてたのに。がっかりだわ」

私は手先は器用なのですが、ともかく早く完成させたいという衝動性に負けて雑に作業を進めたため、そのときのエプロンはあまり高い評価を受けなかったのです。

母は元来おっとりした人で、こういう文句もいつもどおりおっとりした口調で言います。このため、私は彼女のこうした文句が親の振る舞いとしてはおかしいことに長いこと気づきませんでした。素直に、「母を喜ばせられなくて申し訳なかったな」と反省していたのです。

最近、母のこうしたところについて子どものいる知人に話したところ、「ありえない…」と絶句されて驚きました。仮に似たようなことを思っても絶対口に出さない、子どもにとって良くないから、と続けて言われ、かなりショックでした。

いま振り返ると、母にとって私は自分の栄誉として使える便利なトロフィーでありつつ、自分を超えてはほしくないライバルだったのだと感じます。


大人になってわかったのですが、母は「おとなしくて目立たず、華やかな1位に周囲の注目を持っていかれる」ことについてトラウマを抱えているようでした。

母には歳の離れた弟(私にとって叔父)がいて、彼はやんちゃで騒がしくて怒られることも多い一方、優秀で、容姿にも人目をひきつけるような派手さがありました。どうも母は、弟に良きにつけ悪きにつけ周囲の大人の関心をかっさらう弟に複雑な感情を抱いていたようです。母は派手な顔ではないけれど美人だし、いつもだいたい2番手3番手ぐらいの成績は収めていたのに。

同性ということもあり、自分の延長のように思える娘が1位だと、自分が1位になれたようで嬉しい。でも娘が1位だと、1位になれない自分が再び否定されるようで苦しい… 母はそういった心持ちの中にあったのでしょう。


加害意識のない加害の危険性

振り返るに、私は子ども時代は両親からの悪意のない加害や、少しポイントのズレた接し方の影響を受けていたように思います。

父は父で良かれと思って私に入れ知恵をしたのだろうし、母は自分が娘に加害をしていることも、自分が娘に対して感じていたであろう葛藤のことも自覚できていませんでした。
むしろ、母は自分のほうが被害者だと感じていたきらいがあります。

特に子どもへの加害の場合、加害意識のない加害やマルトリートメント、また一見して加害に見えない加害のほうが悪影響が大きいように思います。

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