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「当たり前」がわからない!小2発達障害息子に、どう教える?言い争いにならない伝え方とは――児童精神科医 三木先生に聞いてみた!

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「当たり前」に知っていそうなことを知らない?


ウチノコ(以下、――):時々、むっくんが当たり前のことを理解できていないように感じることがあります。以前、むっくんがいとこと遊んでいたところ、置きっぱなしていたおもちゃをいとこのお母さんが拾ったくれたのですが「おもちゃとった!」と大騒ぎになって。

落ちていたから拾っただけと説明しても通じず、そこで「大人はおもちゃそんなに欲しくないからとらないよ!」と伝えたところ「え?そうなんだ!」とびっくりされてしまい。この言わなくても分かっていそうな概念を年齢相応に理解できていない気がするのですが、息子の特性から考えるとそういうものなのでしょうか?

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三木先生:そうですね、僕らって具体例をいっぱい浴びる中でだいたいの一般ルールを理解していくんです。例えば、いろんな子どもや大人をみるうちに「大人ってそういえばおもちゃあんまり触らないな」と感じていく。その中にはたまに、あのおじさんはやたらおもちゃに興味津々だなっていう人も混ざっているのだけど(笑)

そういうのも含めて全体的な傾向から大人はそんなおもちゃに興味ないなと理解していくんです。だけど、ASDのある子は【汎化】ができないところがあるんです。そうなると一般概念の汎化が弱いパターンもあると思うので、この話は説明がつくような気がします。


解る側からすると、その年まで生きてきたら大人がおもちゃに興味ないって知ってるよね!?ってなるんですけど、本人からすると一般化されたルールは説明してもらわないと知らなかったとなるので。そこは説明してあげたらいいと思うし、むしろ説明してあげた方が本人も楽だと思います。

――なるほど!

三木先生:今回「大人はおもちゃをとらないよ」と教えているので、今後は彼の中で一般的な大人とみなした人がおもちゃを拾っても「とった!」とはならないと思うんです。ただ難しいのが、大人はおもちゃを欲しくないの【大人】をどれくらいの幅で理解できているのか?ということなんです。【親戚の大人】はあてはまるのか【自分が遊んでいるときに寄ってきた大人】はどうなのかなど【大人】をどの条件で理解しているかによって、条件から外れる大人に対しては、やっぱり「とった」と思う可能性もゼロではない。――あぁ~…

三木先生:その一般ルールをどこまで認識しているかは、今後の行動を観察しながらから読み解いてあげる必要があると思います。この間は大人はおもちゃをとらないと理解していたのに、今日は大人に「とった」と言う。そういうイレギュラーなシーンを見つけ出して彼の中でどのファクターが一般化されたルールの例外として扱われたのかを拾っていきながら、理解度を見極めていく必要があるのかもしれません。


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三木先生:おそらく今回の件のほかにも【理解できていない一般ルール】があると思うので、それを一つずつ考えていかないといけないですね~

――そうですね、ありますねぇ。でも本当に私が思いもしないことなのでどう見つけるか難しい…

三木先生:今回の俯瞰的な学びとして、この子には【一般ルールが入ってない可能性がある】と知ることはできたと思うんです。今までは彼が怒っても「なんで?」ってなっていたと思うのですが、これからは「とんでもないベーシックな一般ルールが入っていない可能性があるぞ」と頭によぎると思うので「まさかとは思いますが、コレ(一般ルール)を知っていますか?」と言ってみたときに子どもは「ハッ!」っとなるかもしれない。そうしたら、今日も一個潰せたぞ!とお母さんは喜んでいいというワケです。

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――果てしないですね(苦笑)

三木先生:賽の河原の石を積むような感じかもしれませんが(笑)ほかにどんなエピソードがありますか?

――どうだろう…あ!そうか、言い争いになるときが多いのかもしれません。今回の「とった」「とってない」もそうですが、そういうときは何か根本的な認識に違いがあるのかもしれないです!

あと「いじわる」とかふわっとした言葉を使うと揉めますね。先日も弟がテレビを見ていて、そこにちょっかいをかけるので「いじわるしないで!」と言ったら「いじわるしてない!」と言い出して「した」「してない」の言い争いに…。そこで待てよと思って「いじわるって何か知ってる?」ってきいたら「知らん!」って言われました(笑)仕方ないので「弟がテレビを見ているときに注意をそらす行動はやめましょう」と具体的な行動で言い替えたら伝わったんですけど。
三木先生:なるほど~。人の意図が絡むと本人の整理が難しいのかもしれませんね。そのケースだと「いじわる」と言われても本人的には悪意があってやってるわけではない。でも周囲から見ていたら本人の意図はともかく、あまり好ましい行動ではないという意味での「いじわる」ですよね。そのニュアンスの食い違いなんだけど…。

まだ今の年齢で理解することは難しいかもしれませんね。高学年くらいになると自分を客観的に評価して「いじわるって言われたな」と理解できるんだけど。もうしばらくは分からないと思います。


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――えぇ~、遠いですね。

三木先生:でも僕らいつもそんなこと考えて声かけしてないですものねぇ。

――そうですよ~(泣)でも先生と話したおかげで、言い争いになるときにヒントがあるっていう気づくきっかけはつかめました!

三木先生:うん「なんでこんなにかみ合わないんだろう」っていうときですからね!いいですね、ヒントがキャッチできているんだから。もうあとは作業です!一個ずつ埋めていくだけです!と言っても、それが大変なんですけど、五里霧中状態ではない。入口はここにあるってわかっていることはいいことですよ!

――そうですよね!ありがとうございます。前向きに頑張ります~!

あとがき


今回の気づきは生活の中でよく親子で揉める原因なので、その理由を掴むことができて大きな学びとなりました。賽の河原の石を、あきらめず積んでいこうと思います!

執筆/ウチノコ

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