子育て情報『映画『梅切らぬバカ』監督・脚本の和島香太郎さん、自閉症の「忠さん」を好演した塚地武雅さんを取材。当事者、地域の人々、双方の視点で描いた背景や想いとは?』

2021年11月5日 11:15

映画『梅切らぬバカ』監督・脚本の和島香太郎さん、自閉症の「忠さん」を好演した塚地武雅さんを取材。当事者、地域の人々、双方の視点で描いた背景や想いとは?

ですが周りの大人から「あの子と一緒にいると危ない」と言われていたら、「あの子は危ない子だ」とインプットされてしまうかもしれませんね。


愛される存在として描かれた「忠さん」

映画『梅切らぬバカ』監督・脚本の和島香太郎さん、自閉症の「忠さん」を好演した塚地武雅さんを取材。当事者、地域の人々、双方の視点で描いた背景や想いとは?の画像

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――ところで、撮影した中で、塚地さんにとって印象的だったシーンは?

塚地:乗馬クラブでの馬とのシーンですね。なにしろ、馬ですからねぇ(笑)、なかなか思った通りに動いてくれなくて。びっくりして逃げてほしいところで逃げなかったり、違うところでびっくりして興奮がおさまるのを待ったり、一筋縄ではいかなかった!しかも、雨の夜で、肌寒い時期に僕はパジャマ姿だったし…、このシーンの撮影は朝までかかるかもしれないと思っていました。

――(忠さんになり切って演じていたとおっしゃっていましたが)馬に「想定通りに動いて!」と思ったりする瞬間も、忠さんとして見ていましたか?

塚地:撮影中はもう考えないようにして、忠さんとしては楽しい状況なんだから、忠さんとして楽しもうとしていましたね。自分の撮影ではないときに、馬に「(走り出すのは)そっちじゃない!」と言いたくなったりはしましたけど(笑)。

――自分とは世界のとらえ方が異なる、自閉症のある人を演じるむずかしさは、どんなところにありましたか?

塚地:感情の表現です。
忠さんの表情って、赤ちゃんのような喜怒哀楽なんです。うまくいかないこととか、責め立てられたことに対して怒りや憤りの感情が自分に向かうことが自閉症の方には多いと伺いました。そこはリアルに演じないとならないから、自分で自分を叩き自傷するシーンでは本気で叩きました。でもね、映画ですから何カットも撮り直しするわけでね…痛いんですよ(笑)。だけど忠さんになっていると、手が抜けないから本気で叩く。監督が納得できる絵になるまで叩き続けたのは大変だったなぁ。

――演じることのプレッシャーはなかったですか?

塚地:めちゃくちゃありました。実際に自閉症のある子どもがいらっしゃる親御さんから見たら、全然わかってないと言われる可能性は大きいし。
今も、公開されてからどう思われるか不安ですよ。

僕自身がお笑い芸人で、素性も知られているじゃないですか。もしかしたら、まったく知られていない新人の俳優さんが演じたほうが、リアルに感じられるかもしれない。そういう意味で、僕でいいのだろうかという不安はありました。

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