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発達障害娘の入社3年目での休職で母もダウン!支援者との面談を重ねるうちに、自らのグループホーム入居を前向きに考えるようになった娘。気に入ったのは…?

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休職2カ月目


娘は、障害のある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された『特例子会社』に勤めていましたが、メンタル面の不調から体調を崩し入社3年目(2020年)に会社を休職しました。休職から2ヶ月、投薬の調整もあり精神的に徐々に落ち着いていきた娘。でもフルタイムで出勤する自信はまだないようでした。

そんな娘は、休職中でも生活リズムを崩さないために、感染対策を心掛けつつ日中はなるだけ外出するようにしていました。コロナ禍でいろいろと制限もありましたが、卒業校や基幹相談支援センターに相談に行ったり、かつて放課後等デイサービスや居場所として通っていたNPO法人へもできる範囲で訪れていました。

発達障害娘の入社3年目での休職で母もダウン!支援者との面談を重ねるうちに、自らのグループホーム入居を前向きに考えるようになった娘。気に入ったのは…?

Upload By 荒木まち子

支援者との定期的な面談を重ねるうちに娘は「家は居心地悪いけどほかに行くところもないし。どうせならこの休みを使ってグループホームの見学や体験をしてみようかな」と言うようになりました。これは娘と支援者との間に信頼関係ができていたからこそ出てきた言葉なのだと思います。
もし親が「グループホームの見学や宿泊体験に行ってみたら?」とでも言ったなら彼女は「親が私を家から追い出したがっている」とネガティブに捉えていたことでしょう。

こうして休職を“前向きな休み”にするための、娘のグループホーム探しがスタートしたのです。

それまでの私たち親子がグループホームについて知っていたこと


娘→高等特別支援学校の主催の勉強会(机上)

私→放課後等デイサービス主催の勉強会、学校での説明会、役所のへの相談、保険会社のネット講座、基幹相談センター主催の講演会、友達のお母さんの情報

・娘の卒業校(高等特別支援学校)の先輩でグループホームに入居しているのは男性のみ(女性向けのグループホームは数が少ない)
・人気のホームは空きがない。順番待ちに2年かかる場合もある ※自治体によって違いがあります
・引っ越し代などの初期費用(※)と、数ヶ月分の家賃程度のお金を貯めてから入居するのが良い
・日中は仕事や作業所に行く必要がある
・区分認定により補助金の額が違う

程度で、自分たちが住む地域の詳細な情報や具体的な申請手続きの方法などについてはほぼ知りませんでした。※ここでの初期費用の内訳
・引っ越し代
・部屋の間取りに合わせた収納や家具、寝具
・自室用の小型テレビやパソコン、モバイルWi-Fi、ミニ冷蔵庫(本人が必要と感じる場合)
・ランドリー小物(洗濯カゴ、洗濯角ハンガーなど)
・風呂小物(風呂桶、椅子)⇒グループホームにもよる
・部屋によってはカーテン
・個人の消耗品(シャンプーやリンス、ボディーソープ、洗顔料など)

7年かけて構築された信頼関係


私たちの地域では基幹相談支援センターがグループホームの相談などに応じてくれる体制がありました。

娘は中学校3年生のときから基幹相談支援センターの余暇支援活動に参加していました。高校生のころにはセンター内のショートステイを利用し、その後も時おり支援員さんと面談をしていました。入社一年目に体調を崩した際には、この基幹相談支援センターが中心となり学校や職場と連携してケース会議を開いてくれました。


このように長年の付き合いがあり、娘のことをよく知っている相談員さんにグループホームや娘の計画支援をしてもらえたのはとてもラッキーなことでした。相談員さんは現時点で空きがあって、娘に合いそうなグループホームをいくつか紹介してくれました。

グループホームの種類


見学を通して私たちはさまざまなタイプのグループホームがあることを知りました。

・貴重品の管理や薬の管理もしてくれる手厚い支援があるところ
・食事以外は基本自由で、一人暮らしに近いような自立重視のグループホーム

・外部から料理をする人が来て、朝夕の食事提供するスタイルのところ
・弁当形式のスタイルのところ
・“使った食器は自分で洗う”などのルールがあるところ

・入居者の年齢層や障害の種類や程度はグループホームによってさまざま
・男性専用棟や女性専用棟などがあるグループホームもある

見学と宿泊体験


グループホームの宿泊体験には受給者証が必要です。事業者と打ち合わせをして体験日程が決まったら役所に宿泊体験の申請をします。宿泊体験に費用がかかるかどうかは事業所によって異なります。

基幹相談支援センターでのショートステイの経験がある娘は、2泊3日程度の外泊には慣れていました。グループホーム体験宿泊を経験してみて、娘は職場に近く、自立度が高い個人重視のタイプのホームが気に入ったようでした。

一抹の不安はあれど


私と支援者が心配していることがありました。それは娘が気に入ったグループホームが県外にあったことです。もし、そこに入居するとなると娘は今住んでいる自治体から『転出』することになります。
福祉サービスは自治体によって違いがあります。今までとは異なる環境下で新たな支援者との信頼関係を一から構築していくことの大変さを伝えても、娘にはピンとこないようでした。きっと経験してみないと娘には分からないのかもしれません。私たち家族は彼女の意志を尊重することにしました。

娘のグループホーム入居に向けた取り組みはまだまだ続きます。


執筆/荒木まち子

(監修:初川先生より)
休職中とのことですが、調子が上向いてきて、そしてかつてお世話になっていた方々との再会やつながりの回復により、娘さんのやる気・意欲が湧いてくるのを感じます。就職、自立に関しては、地域によっても、お子さんの特性などによってもさまざまな展開があるので、荒木さんのこのコラムを拝読して私も「なるほどー」と勉強になりました。地域の基幹相談支援センターと娘さんとの信頼関係がベースとなって、次の一歩を踏み出そうというところ。どの地域であっても、地域の中心となる機関やキーパーソンとつながっていることはとても大切だと改めて感じますし、(おそらく読者の方のお子さんはまだ未成年であることが多いのではと推察しますが)信頼できる家族以外の人、信頼できる地域の人・機関を見つける、その方とお子さん自身が良き関係を築けるということの準備を子ども時代にできるとよいのだなと感じます。そして、最後に書かれていますが、自治体を移ることのインパクトは保護者のみなさんよくご存じかと思います。福祉の充実も自治体によってだいぶ違いますね。娘さんのその後がとても気になります…!

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