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6歳で発語ゼロの自閉症息子。いつか話せるようになる?絵カードを使ったほうがいい?親ができることはーー児童精神科医 三木先生に聞いてみた!

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6歳で発語ゼロ、たとえ発語しても言葉でのやりとりは難しそう


わが家の息子ほぺろうは現在保育園の年長さん。自閉スペクトラム症と中度知的障害の診断を受けています。

ほぺろうはもう6歳ですがいまだに発語がなく…。私としては「喋ったとしても意思疎通として言葉を使いこなすのはまだまだだろうな。だったら発語にこだわらなくてもいいかも…」という気持ちもありつつ、「どこが痛い、具合が悪いくらいは教えてくれるようになってほしい」という願望もあります。

なので発語を促すべく『言葉を浴びせる』ことも日々行っていますが、言葉以外のコミュニケーションに力を入れるべきか悩んでいます。

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ほぺろうはツールに頼ると発語しなくなるかも?


ぼさ子(以下、――): 以前「ほぺろう君は絵カードなどに頼りきると発語しなくなるかも」と言われた経緯があり、わが家では積極的には絵カードを使用していません。もっとちゃんと取り組んだほうが良いでしょうか?

三木先生:言葉以外の方法となると、『ジェスチャー』や『ハンドサイン』などがあって、喋らないお子さんのいる家庭で使っている方は多いですね。
言葉以外のツールを使うことで喋らなくなってしまうかは正直分からないですが、障害のあるお子さんに限らず1~2歳くらいの子どもだとほかの簡単なツールがあると言葉が伸び悩むというのは理屈としては分かります。

ですが、言葉を使う必要性は何か?と考えると「思っていることを伝えたい・相手のことを分かりたい」という『意思疎通したい』欲求なんですね。

それに、『頭の中のことを相手に伝える→相手のことを受け取って理解する』という複雑なコミュニケーションが必要・できるという感覚が分からないと、そんなに複雑な意思疎通をする必要性を感じないものです。例えば、絵カードやジェスチャーならしてくれるけど言葉は使わなくてもいいや~くらいのニーズレベルのお子さんだと、絵カードがなければコミュニケーションしなくていいと思っちゃう…なんてことも見られます。

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『理念より行動』、良い体験の積み重ね


三木先生: ほぺろう君はジェスチャーで意思を伝えてくるんですか?

――「ちょうだい」と「ごめんなさい」の2つだけです。

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三木先生:二ーズからやっているのか、ものごとがスムーズに進むからやっているのか。『理念か行動か』という議論が子育て全般でよくあるんですけど、子どもは小さければ小さいほど『方法から入らざるをえない』んですね。

なんかよく分からないけどこの行動をしたら褒められた→またやろうみたいな。
現象からスタートするものなんです。やりとりする経験を積み重ねることで「人とコミュニケーションするのっていいかも!」と思える貯金をしています。

絵カードにしろジェスチャーにしろ、やりとりした結果が自分にとって気持ち良いものでなくてはならないので、ほぺろう君に合ったツールを使いながら欲求を満たしてあげて、やりとりが楽しいという経験を積んであげると良いでしょう。

自閉の窓が開いたときの経験が心地よければ、閉じていた窓が開きやすくなったり窓が大きくなったりしますよ。

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鍵は『欲求と信頼関係』


――方法はどれにしろ、「コミュニケーションしたい」という気持ちになる所を目指していくということですね。

三木先生: そうですね。それには、閉じた世界の子どもが「コミュニケーションっていいな」と思える構造をつくっていく必要がありますね。例えば、お腹が空いた・喉が渇いた・かまってほしい…など、ニーズを満たしていくことで、安心してもらいつつ、提供者である我々を信用してもらう。
赤ちゃんに対して行うことと近しいかもしれませんね。

―― この人とならコミュニケーション取りたい!という信頼関係ですね。

三木先生:そうそう、カッコ良く言えば『信頼関係』ですね。まぁ子どもには「自分にとって得!」と思ってもらえればいいかな。

――なるほど~、今まで『発語がゴール』みたいに目指してましたが、そうじゃないって思えてきました。

三木先生:コミュニケーションしたくなるのって『ニーズ』とか『伝えたい』もそうですが、『誰かが喜ぶ』というのも大切な動機なんですよね。ただそれは、「自分のアクションに対して発せられた、相手のリアクションを受け止められる」という態勢ができているかもポイントなので、もしかしたらせっかく親が「わー、すごーい!」とやったとしても反応が薄いこともあるかもしれません。

でも、反応が薄くても、「周りが喜んでくれた和やかで穏やかな空気を浴びる」という経験の積み重ねは良いことだと思います。
お子さんのアウトプットに対してこちらが反応したとき、期待するほど沁み込んでいないときもあるかもしれませんが、お子さんにどんなインパクトがあったのか観察してみると良いですね。

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感想

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私は今まで「ほぺろうにとにかく喋ってほしい」「発語が無理ならツールでコミュニケーションしてほしい」と思っていましたが、三木先生のお話を聞いているうちに、「そうか~、ほぺろうは『まだ今は』その段階じゃないかも」と思い、焦っていた自分に気づくことができました(たしかに、ほぺろうは発達年齢が2歳ですし)。

でも、いつか出る芽を育てるために「お母さんとやりとりすると楽しい」とほぺろうに思ってもらいたい。そしてそれには私自身がほぺろうとの関わりを楽しむことが鍵という気がしました。

対談の中で三木先生が要所要所で、「お母さんが無理しない程度に」と仰っていたのが印象的でした。発達ゆっくりのほぺろうの育児は焦燥感との戦い…なんてこともありますが、力を抜いてユル~く接していく方が、案外コミュニケーション欲求を育てる近道なのかもしれません。

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執筆/ぼさ子

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