愛あるセレクトをしたいママのみかた

不登校中の小2発達障害息子、家庭学習中にウロウロゆらゆら…せわしなく動き回る理由を聞いてみると?

LITALICO発達ナビ

じっとできない!


むっくんは小学校に通っていたころは、立ち歩くことはなく座って授業を受けていたそうです。だけど、家庭学習に切り替えてからは学習中にごそごそウロウロゆらゆらガタガタ。どうにもじっと座り続けることができません。イスはそれなりに座り心地の良い高いやつで、足おきもあります。だけどちょこっと机で問題を解いたらウロウロ。また戻ってきて解きながらガタガタ。今度は床にねそべって続きを解いて、トランポリン休憩をはさみ、ハンモックに乗ってユラユラしつつ問題を読み、机で次を解いたらまたゴソゴソ。どうにもせわしないのです。


不登校中の小2発達障害息子、家庭学習中にウロウロゆらゆら…せわしなく動き回る理由を聞いてみると?

Upload By ウチノコ

どうして動くの?


私から見ていると効率が悪いだけでなく、疲れるのではないかと感じるむっくんの姿。だけど発達障害の勉強会では、じっとできない陰には体幹の弱さから体を支えつづけることが難しい、ユラユラなどの強い感覚刺激を求めている、さまざまな刺激が気になり多動・衝動性からじっとすることが難しい、などいろいろな要因があるという話を聞きました。

きっとむっくんにとっては何かしらの理由や必要性があるから動き回っているのだろうとは思うものの、むっくんが何を感じているのか知りたい!そこで本人に聞いてみることにしたのです。

動き回る理由


「どんな感じで動いてるの?そんなに動いて疲れないの?」私の質問を聞いたむっくんは、しばらく考えてこう答えました。

「なんかじっとしていると、ムズムズするっていうか。体がくすぐったくなるんだよ。勉強しているとその間はじっとするじゃん?じっとするとまばたきで瞼しか動かせないでしょ?ずっとそうしてたらオレはくすぐったくてたまらなくなるけどなぁ」

なるほど、むずむず!むずむずの理由は体幹の弱さなのか、感覚刺激なのか、いろいろと気になってしまうからなのか、分からないけれど。むっくんはむずむずしている不快感を解消する目的で動き回るということに納得です。


動き回っていても、それなりに学習は進んでいることを考えると、動きながらの学習が今のむっくんにとっては集中しやすく心地良いのかもしれません。それなら今はこのままで大丈夫だなと安心した私。さらにむっくんはこう続けました。

「むしろ瞼しか動かせないのに、平気な方がおれには分からないよ。どうしてお母さんは平気なの?」

不登校中の小2発達障害息子、家庭学習中にウロウロゆらゆら…せわしなく動き回る理由を聞いてみると?

Upload By ウチノコ

じっとしている理由


そんなこと、私は考えてこともありませんでした。

どうして私はじっとしていられるんだろう?効率重視だから?じっとしている方が心地良い?体重が重いから動きたくない気はするが?じっとしていることが私にとって本当に効率が良いのだろうか?心地良いことなんだろうか?私は自分のことなのに、思考停止していたことに気がつきました。

むっくんは答えてくれたのに、私は「分からない」としか答えられませんでした。じっと座ることは「いいこと」でウロウロすることは「わるいこと」という子どものころに植えつけられた価値観、学習はじっとしてするもんだっていう思い込み。
それらに疑問を抱くことなく、私はぼーっと生きてきたのかもしれない!なんだかそれはもったいないような気もしてきました。

心地良いを探す


この会話の最中、あっ!と叫んでむっくんは「あるもの」を取りに行きました。それはバランスボール。むっくんのお気に入りで普段からよく使っています。おもむろに自分の椅子を避けて、バランスボールをセッティング。イス代わりに腰かけてぼよんぼよんと楽しみます。

「これなら瞼以外も動かせるし、机で字も書ける!長く座っててもむずむずしない!すごくいい!!」
バランスボールがむっくんの学習お助け隊に入隊しました。

不登校中の小2発達障害息子、家庭学習中にウロウロゆらゆら…せわしなく動き回る理由を聞いてみると?

Upload By ウチノコ

目的を見失わないように


「じっとすること」は子どもがよく大人側からよく求められる姿だと思います。
生きていく中でじっとすることが大切なシーンもたくさんあるでしょう。「じっとすること」が必要なシーンを想定し、無理のない範囲でじっとする練習をすることも大切だと思います。

だけど、日常の学習の目的はあくまでも学習です。目的達成のために学習を邪魔するほかの不快感を取り除き、自分が一番学習しやすい、つまり集中できて頭が使いやすい姿勢でいることのほうがこの場合大切でしょう。むっくんのゴソゴソウロウロは学習に集中するための彼なりの努力なのかもしれないなぁと考えて見守っています。

そして、私にも学びに適した自分にしっくりくる姿勢があるかもしれません。むっくんに負けないように私も自分の心地良いを探求していこうと思います。

執筆/ウチノコ

(監修:初川先生より)
今回もまた、むっくんの見事な言語化に驚きました。
むずむずする、どうして瞼しか動かさなくて平気なの?この問いにどう答えたらよいのかは私も難しいなと思います。

さて、ウチノコさんが書かれているように、立ち歩きは(座って学習できるタイプの人からすると)気になるものですね。立ち歩いているのは集中が切れたからだ、集中していないから立ち歩くのだと暗黙の了解として持ってしまう大人は多くいます。

ただ、むっくんが体現しているように、動いている方が学習や作業に集中できる人はいます。座って、いい姿勢で授業を聞くとなると、座っていることだけで、いい姿勢を維持するだけでエネルギーの大半を使い果たしてしまって、肝心の内容が入ってこない、と語っていたお子さんもいました。大人になると、仕事しているときに、立ってPC作業している方が捗る人、絶えず貧乏ゆすりしながら考え事している人など、どこかしら動いていたり、自由度の高い姿勢を取っていたりする方もいますね。

大事なのは、学習の内容を理解して習得すること。そのときの姿や行動は問わない。
ウチノコさんがご指摘の通りです。それが実は学習という観点からすると一番本質的な捉え方です。もちろん集団の中で学習する場合には、周りの子や授業の進行自体に支障を来さないような工夫は必要になりますが、大事なことは座っていい姿勢で聞くことではなく、内容を習得することです。姿勢や行動は気になりますが、それには惑わされず、学習が成立しているかを確認しましょう。

提供元の記事

提供:

LITALICO発達ナビ

この記事のキーワード