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「親も神経質になって当然」なASD息子の感覚過敏事情。でも息子やっぱり息子は可愛くてーー小児科医のアドバイスも

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感覚過敏と感覚鈍麻

「親も神経質になって当然」なASD息子の感覚過敏事情。でも息子やっぱり息子は可愛くてーー小児科医のアドバイスも

Upload By かさはらあやこ

自閉スペクトラム症のある息子は感覚過敏も感覚鈍麻もあります。

この過敏や鈍麻がきっかけでパニックや癇癪が起こってしまうので、いち早く気づいて不快感をなくす、または軽減することに日々意識を集中させています。とはいっても、意思の疎通が困難なため、現時点で息子に出ている症状は、母親である私の予想、想像でしかありません。

また、以前は大丈夫だったのに急に過敏さを感じたり、反対に過敏だったのに大丈夫になったり。その度合いが成長や季節や体調によって変わるので判断がとても難しく、感覚過敏によって実際どのような症状が出てどのくらいつらいのか…?それを分かってあげることはできません。

複雑な触覚の過敏さ

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実際に息子にあると感じている感覚過敏をご紹介します。

まずは聴覚過敏と触覚過敏です。

聴覚過敏は、耳の奥が痛くなったり、頭痛やめまいなどを伴うこともあると言います。
触覚過敏は皮膚に触れるものに対しての感覚過敏で、洋服がチクチクする感覚や、雨や風が皮膚に当たると痛みを覚えたり、他人に触られるのが苦痛という場合があるそうです。

息子の場合は赤ちゃんのころ(現在もですが)、インターホンや郵便配達のバイクの音など、外から聴こえる音に反応してすぐに起きてしまう子でした。私は極力音を立てずに生活をし、インターホンのスイッチを切ったり、夫が出掛ける際や帰宅したときの物音がうるさいと腹を立てたり。周囲に神経質だと言われ、自分でも神経質だと自覚するぐらい気を遣っていました。それぐらい寝かせることに苦労していました。

呼びかけに反応せずあまりにもしゃべらないので、「耳が聴こえていないのでは?」「病院に行ったのか?」と周囲に言われたこともありましたが、特定の音楽ですごく泣いたり、テレビから好きな番組の音楽が流れてくるとどんなに小さなボリュームでもすぐに反応してとんでくるので、絶対に聴こえていると思っていました。

妹が産まれてからは、赤ちゃんの泣き声をとても嫌がり、妹が泣くと息子もパニックになり同時に泣き叫ばれる日々が続きました。今でも、入眠時に妹の声が聴こえただけで酷く怒って泣いてしまうことがあります。


あやそうと抱っこをしてものけぞってしまい、うまく抱けずにより激しく泣き、どうにもできない自分の無力さに泣いていた記憶が頭をよぎります。普段から手を触ったり身体を触ったりしても嫌がられ、抱っこをしても自分の力では抱きついてくれないので、しっくりきません。未だに、求められたときにしか抱きしめられない状態です。たまに甘えてきて頬が触れるようなときも自分の手をしっかり顔の間に挟んで触れないようにガードしています(笑)。

もちろんマスクをつけることはできません。寝るときに使うタオルはふわふわよりガサガサな質感でなければ怒ったり。風が吹くと凄く嫌がったり、飲み物を服に少しこぼしてしまっただけで激しく怒り出すこともありました。

味覚と視覚も

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次に、味覚過敏です。


これこそまさに偏食の原因だと思います。特定のものしか食べることができません。(抱かれるのも嫌がるし)母乳を飲むこともできませんでした。味や食感が少しでも違うとすぐに吐き出してしまいます。特に薬は98%見破るので、飲ませるのに本当に苦労します。

そして視覚過敏。

息子の場合は、光を眩しく感じて目を開けられない過敏もありますが、テレビに登場すると目を隠して嫌がり、パニックになって泣き出してしまうキャラクターが何種類か存在します。そのキャラクターの色が共通していることもあり、もしかすると色に対しての過敏があるのではないかと思っています。


母親もつらくなる感覚鈍麻

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そしてとても困るのが、感覚鈍麻。

息子の場合、40度の熱があっても元気に走り回り、怪我をした瞬間の痛みには反応はありますが、その後はすぐ泣き止み、痛がる様子が分かりづらいので、目の届かない範囲で起こった怪我は気づくのが遅くなってしまいます。

これが感覚過敏と合わさると厄介で、怪我をして、手当をしたくても触覚過敏で絆創膏を貼ることはできず、鼻血が出ても詰め物はできず、熱が出ても冷やすこともできず。薬を塗ることもできず、飲むこともできず…。頭に大きなたんこぶがあるのに、痛みが分からず、自傷行為で同じ場所を何度もぶつけたり、傷ができた場所が気になって、傷口をえぐるような行為をしてしまったり。

痛いときや苦しいときや、不安でどうしようもないとき。何もしてあげられないことが母親として本当につらく…

できれば怪我をさせたくない
できれば風邪をひかせたくない
できれば癇癪は極力避けたい…!!!

そんな思いで日々生活しています。そりゃ神経質にもなるわ!と、そう思っていただけたら本望です。


執筆/かさはらあやこ

(監修:鈴木先生より)
自閉スペクトラム症には感覚過敏が、知的発達症(知的障害)には感覚鈍麻がある傾向にあります。感覚過敏の中でも音(聴覚)過敏が最も多く、それが原因で不登校になるお子さんもいます。教室内のちょっとした音、音楽の時間、大声の先生などです。赤ちゃんのときは新聞をめくる音やお皿のあたる音などにも敏感に反応してモロー反射が起きることが多いです。成人ではアパートの隣や上階の音が気になったり、出かけるとき電車だと他人の話し声が気になるため自家用車で行ったりという人も多く見られます。
視覚過敏の色に関しては、以前赤い服の先生に激しく怒られた既往がある場合、その後は赤い色を着た人はすべて怒られるものだと思い嫌がるといったこともみられます。白いご飯は食べられても、ちょっとゴマがふりかけられていると別物と思い食べなくなります。
触覚過敏で多いのはシャツのタグが首の後ろについて嫌がるケースです。
自分でタグをとるか、その服は着たがらないです。タグのないシャツかジャージーが喜ばれます。電車で横に座った人の足が接触するのも痛がるので端に座る傾向があります。
療育としてはリハビリのOT(作業療法士)が行う感覚統合訓練や、音楽療法士が行う音楽療法を幼少期から受けることによりいろいろな過敏性は軽減していきます。そのためにも、かかりつけ医に相談して専門医に紹介してもらい、早期に診断して支援につなげていく必要があると考えています。

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