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映画鑑賞中、感動シーンに水を差す発達障害息子の言葉にイラッ!馬鹿にしてる?そこにはある思いが…

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映画鑑賞中、親子喧嘩勃発


むっくんと、(鬼を倒す)大人気アニメの映画をテレビで観ていたときのことです。物語はいよいよクライマックス、思わず涙がこぼれるようなシーン。真剣に映画を観ていた私に、突然むっくんがにやっと笑いながら声をかけてきました。

「ねぇ?泣きそう?」
(えっ、今言う?)と、もやっとしましたが私は映画を観たいのだ!と思い直し、一旦無視します。すると再び

「このシーン泣けるって聞いたよ。ねぇ、お母さんも泣きそう?」

(どうして今絡んでくるかな~!)イラっとしてしまった私は我慢できず言い返しました。

「観てるんだから静かにしてよ!そうやって泣く人を馬鹿にするの私は嫌い!」
「馬鹿にしてないよ!」「いーや!馬鹿にした!」

そして言い争ううちに映画は終了…しょうもない親子喧嘩で、せっかくの映画が台無しになってしまいました。

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どうふるまうと良いのかわからない


結局ぷんぷん怒って場を離れた私。
しばらくして、むっくんがまた話しかけてきました。

「お母さん、映画を観て泣いている人がいるときはオレはどうしたらいいの?」
「え?」
「本当に、馬鹿にしようなんて思っていなかったの。泣くのは悪いことじゃん?だから泣かないように何か言ってあげるほうがいいんじゃないかと思ったんだ・・・」

一生懸命私の誤解を解こうとするむっくん。どうやら本当にからかうつもりはなかった様子。からかうどころか、本人の中では泣いていることはよくない。だから、お母さんが泣かないようにオレが何とかしないといけない、という使命感に駆られていたようなのです。

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そのあと私は一方的に決めつけて怒ったことを謝りました。さらに、感動して泣いたり物語の世界に入り込んで泣いているとき、私はできるだけそっとしておいてほしいと思っていることを伝えました。
「泣いている」にもいろいろあること。今回のように、映画などを観て感動して泣いていることは「悪いこと」ではないのだとも伝えました。

対人スキルの偏り


今回のような場面で必要となる対人スキルは、周囲の人との関わりを通して自然に学ぶことが多いかと思いますが、むっくんはそれがとても難しい人です。専門家からも、「この子は対人スキルが年相応に備わっていない。未体験のことはもちろん、体験していたり、教えてもらっているはずの対人スキルも入りにくい傾向がある」という指摘を受けたことがあります。

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私はむっくんには対人スキルの成長に難しさがあると知っています。それなのに、それを忘れてむっくんの行動や言動に悪意があると決めつけて叱ってしまうこともあります。

今回はむっくんがあきらめずに気持ちを伝えてくれたことで私は勘違いに気づくことができ、むっくんに対応を教えることができました。
だけど、もし怒られたことでむっくんが委縮して黙ってしまっていたら、私は気づくことができませんでした。そう考えると、ただ一方的に「失礼だ!」と怒り拒絶した私の対応は、対人スキルが伸びにくいむっくんの学ぶチャンスを奪う行動だったのだと反省しました。

ぶつかるときこそ相手を知るチャンス


私は家族仲良く暮らしたいと思っているので、ぶつかり合うことは嫌だなぁと思っています。だけど、私には私の、むっくんにはむっくんなりの世界があって、家族であってもそこが全く同じというわけにはいきません。違いがある以上ぶつかることは仕方ないこと。むしろお互いを理解するためには必要で、ぶつかり合いこそ対人スキルを学ぶチャンスとも考えられます。

むっくんのためにも私自身のためにも、これからは相手の言葉にむっとしたときに相手を否定し怒って拒絶することはやめて、まずは「どうしてそう思うの?どうしてそう言ったの?」と相手の世界を知ろうとする言葉からはじめていこうと心に誓ったのでした。

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執筆/ウチノコ

(監修:三木先生より)
発達が気になる子どもたちの感覚や理解は一般的なものとずれていることも多いので、行動だけを見るとぎょっとすることもあります。
ただ、そこで先入観を外して「なんでそう思うの?」と聞いてみると、こちらが考えていたことが邪推だった、ということもよくありますよね。相手の場面に限ったことではないですが、こちらが「決めつけてしまう」ことも多いんだろうな、と思って相手の考えを聞いてみるのは、いろんな場面でとても大切なことだと思います。

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