「どうして?」息子の障害を実母に嘆かれて。「かわいそう」じゃない!自閉症育児の胸の内
わたしの話に耳を傾けてくれたのは
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まさかこの子は自閉スペクトラム症があるのではないだろうか?そう疑い始めたのは、息子を産んで5ヶ月がたったころでした。
早く気づいたというよりは、妊娠する前からたまたま〝自閉スペクトラム症〟という言葉を知っていたことで、特性を簡単に検索でき、あてはまる項目が多かったという感じでした。
どんなに調べて夫に報告しても聞く耳は持たず、母には「自分の子どもに障害があると疑うなんて…」と言われたり。そのほか身内にも「また言ってる…そんなこと言ってたら本当にそうなるよ」と言われたりしていました。
わたしの話に耳を傾けてくれたのは、息子が1歳4ヶ月のころ第二子を妊娠し母子手帳を取りに行った先で、話を聞いてくれた担当の保健師さんだけでした。(後に聞いた話ですが、保健師さんは私から話を聞いてはじめて息子の様子を見たとき、自閉スペクトラム症があるようには感じられなかったそうです。ですが親身に話を聞いてくださいました)
「どうしてこうなっちゃったんだろうね」
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保健師さんがすぐに自治体の発達相談を勧めてくれたおかげで、心理士さんから児童発達支援に繋がり、〝社会性が低い〟ということで1歳6ヶ月から療育に通うことができました。
そのころはまだ、社会性が低いと言われたことの意味を理解しておらず、確かに公園とか児童館とかに連れていったことがないなぁ…
社会性を身につけないといけないのかと思ったくらいでした。
自分の子どもに発達障害があるとは思ってもおらず、仮に発達障害があるとしても、『ADHD?アスペルガー?それらは個性のようなものだし、生きづらいけど療育に通えば大丈夫(治る)(※当事者の方、ご家族の方本当に申し訳ありません)』と本気で思っていたので、家族にもそう説明していました。
2歳から特性が増え、2歳半で発達検査を受け療育手帳を取得したころ、母に「どうしてこうなっちゃったんだろうね」と何度も嘆かれました。何と言えばいいのか分からず「なんでだろうね…」と答えると、「あんたが前世で悪いことでもしたんでしょう」と言われ。親戚には「乗り越えられるから与えられた試練」だとか、「あなたを選んで産まれてきた」とか、お決まりの悪意のない慰めの言葉をかけられ。息子がご近所さんの敷地に入ってしまった際に障害があることを説明すると、「あら?そうなの!かわいそうにねぇ~下の子は大丈夫なの?普通なの?よかったわねぇ~」と言われました。
いまざっとまとめてみても、とてもつらい時期でした。
「かわいそう」と言われて
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「かわいそう」と言われることが多々あります。喋れなくてかわいそう。
癇癪起こしてかわいそう。食べられるものが少なくてかわいそう。みんなと楽しめなくてかわいそう。
障害がある子どもを産んでかわいそう。障害者はかわいそう、障害児育児は不幸、そう思う人たちを責める気持ちはありません。一緒に暮らしている夫や身近にいる家族でさえ、正確に理解をし、気持ちを慮ることなど無理なのだろうと感じることが多いからです。
ただ、息子は私が産んだ大切な大切なひとりの人間です。
息子にだって、楽しいことや嬉しいことや苦しいことがあって、笑ったり怒ったり泣いたり、今を懸命に生きています。
その命に決して間違いはありません。親にこんなに愛され、たくさんの人たちに支えられて、季節のフルーツを1日3食 4種類も食べている息子のどこがかわいそうなのか?
本人の幸せや不幸は、ほかの人が決めることではありません。理解がないということは、本当に恐ろしいことだと思います。
息子を正しく知ってほしい
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私のコラムは、ただただ、つらいこと苦しいことをつらつらと書き連ね、解決策もなく、悩んでいるみなさまに申し訳ないなぁと思いつつ…
自閉症育児の大変な部分を知ってもらいたい。一人でも多くの人に理解してもらいたい。大変であっても、わが子は愛おしく大切なかけがえのない存在であるということもまた知ってもらいたい。そんな思いで書いています。
今回も過去のことを思い出しながら書いていて、涙があふれて止まらなくなる つらい内容でした。
大切に大切に育てきた息子が、自らを傷つけるような行為をすると、つらく悲しく、ときに怒りすら感じてしまいます。見ているのもつらくて目を逸らしたり、激しいパニック状態に耐えられず、距離を置くことだってあります。親であってもそうなのだから、他人が息子を認め、理解をするのはとても難しいことだと思います。
それでも私は息子を正しく知ってほしい。迷惑をかけてしまう部分だけを見るのではなく、面白いことをしたら笑ってほしいし、可愛いと思ってもらいたい。
このコラムを、身内が自閉症育児をしている方や、支援者のみなさまに読んでもらえたらいいなと思います。そして、同じような思いをする方が一人でも減りますように。そう願っています。
執筆/かさはらあやこ
(監修:初川先生より)
これまでの子育ての中でのつらい記憶をたどって、お気持ちをシェアしていただきありがとうございます。発達障害にまつわる誤解や偏見は残念ながら未だに多くありますね。「かわいそう」という言葉の持つ残酷さをかさはらさんは強く感じるようなご経験をされてきたのですね。
発達障害(そのほかの障害や疾病もそうかもしれませんが)への偏見・誤解の多くは、「よく知らないから」「自分が知っているものとは違うから」生じるものなのだと理解しています。自分の知らないものに対して(多数派と違うからといって)、知らない・よく分からないと感じることは自然だと思いますが、そこからさらに想像の世界に入って「かわいそう」と言うのは、ちょっとご自身の見方が強すぎるな…と個人的には感じます。ただ、お近くに障害のある方がいなかったり、難しい局面だけを切り取った話が広がっていたりする面があるのも事実で、障害があろうとなかろうと、子育てには楽しいとき・悲しいとき・うまくいかなくて困るときなどいろいろあるものですが、そうしたさまざまなときを知るときが少ないですね。だからこそ、発達障害のあるお子さんを育てている保護者の方からのご発信はとても大切です。これからも子育ての中で感じたことを広くみなさま向けにご発信ください。
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